Sk

 

 

モーリス・スクラール

Maurice Sklar

BWV.1001-1006

 

 

 

ヴィンセント・P・スコウロンスキー

Vincent P. Skowronski

BWV.1004

1996

 

 

バイバ・スクリデ

Baiba Skride

BWV.1004

 

 

 

アルバート・スポルディング

Albert Spalding

CHACONNE

1951

 live

 

パヴェル・シュポルツル

Pavel Sporcl

CHACONNE

1999

 

 

ララ・セント・ジョン

Lara St. John

BWV.1004

1996

 

 

ララ・セント・ジョン

Lara St. John

BWV.1001-1006

2006

 

 

セルゲイ・スタドレル

Sergei Stadler

BWV.1002/4/6

1988

 

 

アンドレ・アルメーヌ・スタキアン

Andrée-Armène Stakian

BWV.1004

1987

 

 

アーノルド・スタインハート

Arnold Steinhardt

BWV.1004

1966

 

 

ヨゼフ・スーク

Joseph Suk

BWV.1001-1006

1970

 

 

カール・ズスケ

Karl Suske

CHACONNE

1975

 live

 

カール・ズスケ

Karl Suske

BWV.1001-1006

1985

 

 

ジョセフ・スウェンセン

Joseph Swensen

CHACONNE

 

 

 

アンタール・サライ

Antal Szalai

BWV.1004

2001

 

 

ミクローシュ・セントヘイ

Miklos Szenthelyi

BWV.1001-1006

2001

 

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1001-1006

1955

 

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

CHACONNE

1961

 

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1004

1961

 live

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1001-1006

1967

 

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

CHACONNE

1967

 live

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1004

1975

 live

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1004

1976

 live

 

ヘンリク・シェリング

Henryk Szeryng

BWV.1004

1981

 live

 

ヨゼフ・シゲティ

Joseph Szigeti

BWV.1001-1006

1954

 

A B C D E F G H I J Ka Kr L M N O P Q R Sa T U V W X Y Z &


 

モーリス・スクラール
Maurice Sklar

19
chaconne=
( MAURICE SKLAR (un-numberred))


 聖職者でもあるモーリス・スクラールは、ジャズ発祥の地として知られるルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのロシア系ユダヤ人。4歳からヴァイオリンを始め、ガラミアンなどにも師事した。

 全曲を、ゆったりとしたテンポで奏で、3CDに入れている。
 自主制作盤らしい。スクラール自身のHPから購入。
 HPに掲載されているCDと私の手にしたのとでは、ジャケット・デザインが異なっている。あっちのほうがいいように思う。こちらはどうにも安っぽく、いただけない。ほのぼのとした図柄はかわいらしいけれど。

(2007/07/08)



 

ヴィンセント・P・スコウロンスキー
Vincent P. Skowronski

P1996
chaconne=
16:08
(
Vincent P. Skowronski S:CR-01  CD-USA )


 ヴィンセント・P・スコウロンスキーはアメリカのウィスコンシン州生まれ。
 1970年、第4回チャイコフスキー国際コンクールにアメリカ代表7名のうちの1人として出場。予選で敗退するものの、聴衆は彼を評価した、という。また、ショスタコーヴィチなどは、彼の演奏する自作品を称賛したという。ちなみに、このときの優勝者はクレーメル。

 第2パルティータ全楽章完演。なかなか聴かせる。自主制作盤のようだが、充分カネをとれる演奏である。今年も新作をリリース。しっかり仕事もしているようだ。

(2007/07/08)



 

バイバ・スクリデ
Baiba Skride

P2004
chaconne=
16:18
( SONY CLASSICAL-Germany SK92938  CD )


 いい音がしている……。聴いていて、ふとその楽器が気になることがある。このCDがそうだった。
 ここでバイバ・スクリデ(スクリッドとも)が弾いているのは、日本音楽財団から貸与されたストラディヴァリウス「ハギンス」。
 終始一貫落ち着いており、決して荒らげない。まるで音で静寂を表現しているかのようだ。かなり好きな演奏。カップリングはイザイ、バルトーク。バルトークの替わりに第3ソナタを入れてくれたらよかったのに、と思わずにおれぬ。

 彼女はラトヴィアのリガ生まれ。ということはクレーメルと同郷というわけだ。
 現在は、やはり同財団所蔵の「ウィルヘルミ」(1725)を使っているらしい。で、「ハギンス」はどうしたかというと、ハチャトリアンが借りているという。名器というのは、いろんなとこを巡っていくんですな。
 眠れぬ夜に、静かに耳をかたむけたい無伴奏である。

(2007/07/08)



 

アルバート・スポルディング
Albert Spalding

Nov 7, 1951
chaconne=
( Allegro 1675 )


 アルバート・スポルディングは晩年、ボストン大学でヴァイオリンを教えており、その期間、学内でしばしばリサイタルを開いた。
 これはそこで拾われた実況音源である。
 クロイツェル・ソナタ(26/May/1952)がメインとなっており、余白にシャコンヌが入っている。ちなみに彼は1953年に没しているから、最後の録音かもわからない。

(2007/07/08)



 

パヴェル・シュポルツル
Pavel Sporcl

Feb, 1999
chaconne=
16:09
(
ARCODIVA UP-0012-2 131 CD )


 シュポルツルと読むらしい。彼のデヴュー盤という。オール無伴奏プロ。テクに自信がおありのようだ。
 たまに出てくるね、こういうタイプが。やんちゃを気取り、異端をアピールする。たいてい、たいしたことはないのだが……。ま、『夏の名残のバラ』を入れてくれているので、イヤミを言うのはやめておこう。

 ラストにシャコンヌを据えている。そこまでは元気があって悪くないのに、シャコンヌに入ると突然、昔の恩師に出くわしたようにマジメになってしまう。おもろいようでもあり、残念なようでもあり……。

 1999年2月、プラハのDemoninaスタジオにおける録音。
 パベル・シュポルツルは1973年、チェコ生まれ。「百年に一度の逸材」(某招聘元)と目されているそうだ。
 100年に一度。こんな陳腐なキャッチ・コピーを平然と使う、そのセンスに驚愕する。どうせなら、もっとハリこんで、「1000年に一度」くらいにしたらどうか。

(2007/07/08)



 

ララ・セント・ジョン
Lara St. John

Feb, 1996
chaconne=14:57
( WELL TEMPERED PRODUCTIONS WTP-5180  CD )


 なんとなく「?」、よくよく見つめてみれば「!」となってしまうジャケットだ。ヴァイオリンの向こうでスッポンポンになっておられる。
 辻久子氏は家を売ってストラディヴァリウスを手に入れた。ララ・セント・ジョンは服を売ってまでして、ガダニーニを買ったのか。ならば、あっぱれ大丈夫の志と言わねばならない。
 いずれにせよ、この体当たりジャケが奏功し、爆発的に売れたとか。レコード会社もしてやったりだろう。しかし、これくらいの露出度で飛びつくのもどうかと思われる。

 演奏もステキである。気合いが入っている。文字どおり、裸でぶつかっている。
 第2パルティータ全楽章完演。第3ソナタとのカップリング。セント・ジョンのデヴュー盤ということである。
 ま、その、とにかく、いい無伴奏です。楽器は1779年製ガダニーニ「Salabue」。

 このジャケをながめつつ、セント・ジョンがヴァイオリニストでなく、フルーティストだったらよかったのに――なんて思っちゃったアナタ、不謹慎ですゾ。

(2007/07/08)



 

ララ・セント・ジョン
Lara St. John

Aug 28-30, 2006 & Jan 2-4, 2007
chaconne=15:39
( ANCALAGON AR-132  CD-USA )


 ララ・セント・ジョンの最新盤。
 はやくも全曲録音か……と思ったら、あれから10年の歳月が流れている。
 ジャケットで客寄せをやっていたころと、どう変わったかが興味深いところである。前作もデキはよかった。あの水準で全6曲を入れてくれても、まず文句はない。ちなみに前作のバッハは、ジャケ・パワーもあってか、50000枚以上のセールスを記録したそうだ。

 いい意味での派手さが加わった。刺激的でより聴かせる演奏となっている。化粧が上達したという印象である。テンポを動かし、音の強弱などもはっきりとして自信に満ちており、心地よい躍動感がある。これは予想以上の完成度。 
 ルーカス・フィルムのスカイウォーカー・サウンドでの録音。音響プロ集団の本拠であり、そのあたりも関心の的となろうが、聴いた感じでは、とくに変わったことをやっているふうではない。
 セント・ジョンは1971年、カナダ・オンタリオ州のロンドン市生まれ。使用楽器は、前回と同じガダニーニ"Salabue"の由。

 ところで、今度のジャケはやや不発か(前のもいいとは思わんが……)。
 今回のは、これが原因で売れるということにはなりそうにない。どうせなら裏の写真を使ったほうがよかったのではないか。でもマ、今の彼女の実力なら、もう関係ないでしょうがネ。
 とはいえ、制作者はこのジャケに、こだわりというか、自信があるらしく、ロケーションの詳細なデータを記載。場所はハワイ、ララのバックに写っているのは溶岩の固まったやつ、カメラはマミヤの67、フィルムはフジを使用しました……などと音楽とは無関係なことまで解説している。写真を見てくれ、と言わんばかりである。そのわりには、あまりいい写真とは思えぬ。銀塩健在なのはうれしいが。
 また、丈夫な紙製三つ折り仕様であり、それはいいとしても、装丁重視のあまり、ディスクの出し入れがひじょうにやりにくい構造となっているのは困りもの。ハイブリッドCD。

(2007/10/25)



 

セルゲイ・スタドレル
Sergei Stadler

Dec, 1988
chaconne=14:30
( ART & ELECTRONICS TECC-30022  CD )


 セルゲイ・スタドレルは1962年生まれ。1982年の第7回チャイコフスキー国際音楽コンクールで同じロシアのムローヴァと第1位を分け合っている(※2位に加藤知子。なお、ムローヴァはこの後亡命)が、その後の人気、活躍ぶりは、両者間でやや差がついているようだ。
 もっとも、このコンクールの優勝者は意外に出てきていない。ムローヴァはむしろ例外と言える。
 そのヴァイオリン部門の歴史をながめてみても、現在、いわゆる大物≠ニいえそうなのは、クレーメルとトレチャコフくらいのものだ。
 ちなみに、歴代優勝者でバッハの無伴奏全6曲をレコーディングしているのはクレーメルのみである。(※この後、第8回優勝のイリヤ・カーレルが、2007-2008 に入れた。〔NAXOS〕……2008年05月記)

 スタドレルは無伴奏パルティータ3曲を、ART & ELECTRONICSに入れている。テクニックにも音色にも文句はなく、悪くはない。スキを見せない演奏で、失礼ながら、もしかすると、それがコンクールでは有利にはたらいたのかもしれない。しかし、独自性に欠け、この曲の未発掘部分にスコップを入れるまでにはいたっておらず、そこに不足感が残る。
 すでに加藤知子の項で触れたが、82年のチャイコフスキーのヴァイオリン部門における上位3人がパルティータ全集をレコーディングしており、それだけの比較でいくと、私の見解は、加藤が優勝、ムローヴァ2位、スタドレルはその次となる。
 1988年12月の録音。場所は不明。

 A&E はソ連のソフトとアメリカのハードがタッグを組んで設立されたレーベルだった。少々長いが、ジャケにある説明文を転載する。
 「ソ連の3つの巨大機関(作曲家連盟、コンサート開催機関ソユーズコンチェルト、消費者電子製品の製造・販売権を持つエレクトロニカ)と、高音質録音技術で有名な米国モービル・フィデリティー・サウンド・ラボ社(MFSL社)が、共同して国際的文化機関である「ART & ELECTRONICS(A&E社)」という合弁事業を設立しました」
 ――ということであり、「ソ連の音楽とアメリカの録音技術のドッキング」というふれこみで、なかなか期待を抱かせる会社ではあったものの、ほどなくソ連が崩壊したために消えてしまった。日本ではテイチクがリリース。所有盤もそのテイチク盤。
 このスタドレルのバッハをはじめ、A&Eの音源は今もどこかの倉庫に積まれたままになっているのだろう。もったいない。だれか、その倉庫のカギを開けてくれぬものか。

(2007/12/10)



 

アンドレ-アルメーヌ・スタキアン
Andrée-Armène Stakian

P1987
chaconne=18:18
( GALLO 30-510  LP-SWISS )


 スタキアン女史による無伴奏アルバム。バッハのほか、フランス現代作曲家のアンドレ・ジョリヴェ(1905-1974)の狂詩的組曲、指揮者として著名なマルティノンの無伴奏ソナタ第6番が入っている。
 アンドレ・アルメーヌ(アルメーネ)・スタキアンはスイスのヴァイオリニスト。現在の彼女自身のHPをのぞくと、"Andrée" は外されている。
 シャンドール・ヴェーグ、アンドレ・ジェルトレルという名手に学び、長らくソロで活動していたものの、近年はオーケストラ・メンバーとして演奏しているとか。Rene Spalingar という人が設立、みずから指揮をするモーツァルト祝祭管弦楽団≠ノ招かれ、そこのリーダーを務めているということだ。

 のんびり、おっとりしたパルティータで、感情に走ることがなく、端麗そのものである。内容が薄いというほどではないものの、もうすこし表情づけ、緊張感があっていいかも。
 バッハのシャコンヌに人生のヒントを求めるような人には「もの足りぬ演奏」となるかもしれない。
 そのシャコンヌに18分以上かけており、鑑賞者側にもたしかに18分かかったという実感が残る。
 録音は優秀。

 私の所有するのはLPであるが、CD化されていて、あちらはさらに一曲多いようだ(+ヒンデミットの無伴奏)。にもかかわらず、このアナログ盤が市場に出ると、なかなかいい値段がついている。
 1987ごろの録音であるし(※デジタルではないようだ)、音質にしても、両者間にそれほどの差があるとは思えない。よほどこの演奏を気に入った人(=オリジナルで聴きたいという?)がいるのだろうか。ただ、この謎めいたジャケはLPサイズでのほうが愉しめよう。
 ムローヴァの第1パルティータ他のアナログなども、信じられぬ金額で取引されているが、まったくもって不可思議なのはファン心理というものです。GALLO はスイスのレーベル。

(2008/05/07)



 

アーノルド・スタインハート
Arnold Steinhardt

Feb, 1966
chaconne=
( SHEFFIELD S-7  LP )


 アーノルド・スタインハートは1937年カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。グワルネリ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者として知られている。クリーブランド管弦楽団にいたこともあった。第2パルティータ完演。

 表情にとぼしく、人にたとえれば、いいヤツか悪いヤツかわからない、そんな演奏だ。
 カップリングは第1ソナタ。高音質でオーディオ・マニアに人気のあったシェフィールド製作のLP。残響を極力抑えた、直接音重視の録音である。

 スタインハートは映画『ミュージック・オブ・ハート』(メリル・ストリープ主演。いい女優です)に、スターンやパールマンとともに、ほんのちょこっとだけ出演していた。

(2007/07/08)



 

ヨゼフ・スーク
Josef Suk

Sep, 1970
chaconne=14:57
( EMI CLASSICS 5 73644 2  CD )


 どういうわけか縁のなかった演奏である。これを初めて聴いてからまだ5年も経っていないだろう。
 興味を抱いたころ、すでに3LPは廃盤、市場には詰めこみ2枚のバラ売りでしか出ていなかった。それで手を出しかねていたのである。
 そのままずるずると月日は流れ、CD時代となり、さらに時間が経過、あるとき《タワレコ》の店頭で激安廉価CDとなって生まれ変わっているのを発見し、やっとこさ手にするにいたった。
 聴いてみて、こんな名演奏を今まで知らずにいたとは、と自嘲しきり。

 ヨゼフ・スークはこれとは別に、第3パルティータの最初の2楽章をスプラフォンに入れている。
 70年09月の録音。万博が閉幕したころであるな……。

(2007/07/08)



 

カール・ズスケ
Karl Suske

Jan 13, 1975
chaconne=
( ETERNA 8 26 745  LP )


 1975年の年始、東ドイツの著名演奏家が集合してシュヴァイツァー生誕100年コンサートを開いた。
 本盤は、そのときの実況録音。
 カール・ズスケがシャコンヌを演奏している。参加メンバーはほかに、Pシュライアー、Tアダムなど。

 シュヴァイツァーはたしか、湾曲弓の肯定論者だか、考案者だか、提唱者だかのはずだが、ズスケはそれを無視している。
 カール・ズスケはのち、83年から88年にかけて全6曲を録音した。

(2007/07/08)



 

カール・ズスケ
Karl Suske

May, 1985
chaconne=15:06
( Deutsche Shallplatten / TOKUMA JAPAN TKCC-70027  CD-JAPAN )


 銀のジッポ(STERLING。オイルライター)を使いこんでいる人には経験があると思うが、銀というやつはほっておくとすぐにくすんでしまう。それをまた使いはじめ、握りしめたりポケットに入れたりしているうちにそのくすみは剥落してゆくが、完全に消え去ることはない。取りもどした輝きのなかに、わずかにあのくすみが生きていることに気づく。
 ズスケの演奏もそれに似たものがある――といえばわかるだろうか。くすみ≠ェほのめくのである。まことに個人的な体験、独善的なたとえとはいえ、このような印象をもったものとして、ほかにトーテンベルク盤が挙げられる。
 「いぶし銀」という言葉もあるが、そんな手垢のついた表現で片づけてしまうには抵抗がある。

 カール・ズスケによる全集。たいへん大きな説得力をもつ演奏で、ファースト・チョイスにもいいが、3組目、4組目に聴くとこのズスケ盤の魅力をより大きく深く享受できると思う。録音もいい。ロケーションはドレスデン・ルカ教会。

 この無伴奏は、壁がくずれる以前の東ドイツで、一部LPが出ていた(※おそらくBWV1001&1002)。それが東京・中野にあった《サンタディスコス》というレコード店に入ったことがある。
 ちょうどそのころ、東京へ行く用事があり、目的地が高円寺だった。中野は近いので店に立ち寄り、ズスケの無伴奏はあるか? とたずねたところが、「そんなもん、とっくにあるかいな」という顔をされた。そんなことを記憶している。

幻の無伴奏≠熏。はCD化され、いつでも手にはいるのだからありがたいことだ。それも2000円の廉価盤である。一枚当たり1000円。内容よろしく、値段も手ごろとなれば、これはもう MUST-HAVE でしょう。
 二千円札を、「そのうち値打ちが出るのではないか」「なんとなくもったいないような気がして……」「贋札みたいで気色悪い」などと使いかねている人はこの際、思いきってこのズスケの無伴奏を買ってみてはどうでしょうかネ。 

(2008/03/15)



 

ジョセフ・スウェンセン
Joseph Swensen

P1983
chaconne=15:23
( Musical Heritage Society MHS-4790H  LP-USA )


 ジョセフ・スウェンセンは1960年、ノルウェー人と日本人のあいだに生まれた。生粋のニューヨーカーであるということだ。
 1982年、NYでのデヴュー・リサイタルは大成功をおさめたらしく、ニューヨーク・タイムズは「感動、驚異、荘厳!」と絶賛した――とジャケ裏にはある。シャコンヌ単独演奏。

 MHSは積極的に他社の音源をLPにしているが、オリジナル録音もある。これもおそらくそうではないかと思う。
 『夏の名残のバラ』が入っているのがうれしい。

(2007/07/08)



 

アンタール・サライ
Antal Szalai

2001
chaconne=15:24
( Budapest Music Center Records BMC CD 047  CD-HUNGARY )


 アンタル・サライは1981年ハンガリー生まれ。5歳でヴァイオリンを始め、ペーター・コムロシュ(バルトーク四重奏団)、ローランド・フェニヴェス、ティボール・ヴァルガらに学んだ。
 これを録音した時点で20歳であり、彼はまだニューヨークのマンハッタン音楽院でピンカス・ズーカーマンに教わる学生だった。その後も、いくつかのコンクールに出場。ハチャトリアンが優勝、日本の松山冴花が4位に入賞した2005年のエリザベート国際では、ファイナリストになっている。

 まだまだこれからと思われる彼が無伴奏アルバムとは、このBMC(Budapest Music Center Records) というレーベルも思い切った人選をしたものだ。ここにはかなりの期待料がかかっているのに違いない。
 演奏は朴訥そのもので、田舎から出てきた純粋で不器用な若者といったふうである。クソまじめすぎ、不快感はおぼえぬものの、若いんだから、もうちょっとはねっかえりぶりをみせてくれてもよかったか。
 その点、シャコンヌのみの比較ながら、上述のハチャトリアンや松山冴花(※NHK放送音源)のほうがおもしろく、今のところ彼らのほうに興味がある。
 ハンガリーの人であるし、新録音に期待したいところ。

 ジャケットは100%紙製の見開き、と凝っているが、ディスクへの印字は、レコード番号やこまごました文章はなく、会社のちいさなマークとサライの名、曲目だけというたいへんシンプルなもの。

(2008/02/14)



 

ミクローシュ・セントヘイ
Miklos Szenthelyi

Sep 3-5, 2001
chaconne=13:37
( HUNGAROTON CLASSIC HCD-32071/2  CD-HUNGARY )


 HUNGAROTONの録音である。H社の無伴奏といえばコヴァーチュ盤だったが、21世紀到来を機に引退させ、ミクローシュ・セントヘイを起用、あらたに無伴奏全曲をリリースした。
 演奏は期待に応えるものとなっている。好きな演奏の一つである。

 フンガロトンにはほかに、エステル・ペレーニ女史なども無伴奏(BWV1001&1005)を入れている。
 前身のクオリトンまでさかのぼれば、コチシュ(BWV1001&1004)やメニューイン(※ハンガリーで全曲を入れたという説がある。BWV1003&1004は未確認)も。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

1955
chaconne=14:00
( CBS-France 78317  LP-FRANCE )


 ヘンリク・シェリングによる全曲の旧盤である。
 新盤よりもこちらを上位に置く人も多い。私的にも、やや旧盤のほうが好みかもしれない。
 これは仏CBSの再発3LP。

 オデオンのオリジナルは争奪戦の激しいアイテムだ。財力のぶつかりあいである。私のような復刻歓迎派は、そんな戦場とは、いよいよ無縁となる。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

Sep 13, 1961
chaconne=13:55
( ELECTRECORD ST-ECE 01047  LP-ROMANIA )


 シェリングは1961年、エレクトレコードにバッハのコンチェルトとともにシャコンヌを入れている。
 この録音は何度か装丁変えされて再発されている。たしか10インチ盤もあった。これも再発盤。

 シェリングのシャコンヌ!……なのにあまり話題にならない。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

Nov 19, 1961
chaconne=
( MELODIYA M10 49429 008  LP-USSR )


 1961年モスクワ・ライヴ。メロディアのLPである。第3ソナタとの組み合わせ。
 モノラル録音。
 この2曲に上記ルーマニアでのコンチェルトを加え、DOREMIがCD化している。

 シェリングをナマで聴いたのは一度だけ。その日は協奏曲プログラムで、無伴奏は一部をアンコールで弾いたのみだった。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

Jul 8-20, 1967
chaconne=14:22
( DG-Japan MG-8037/9  LP-JAPAN )


 世評高きDG盤である。無伴奏のナンバーワンを決める投票などでは、判で押したように、これが第1位に選ばれることになっている。
 私のなかではベスト5にも入らない。
 人気の理由は失点のすくない演奏であるからだと思う。全6曲でそこそこのポイントを上げているため、総合点が高くなる道理である。

 シャコンヌだけに限れば、ベスト10をも外れてしまう。
 悪い演奏ではないし、私のヒネクレも入っているかもしれないが。
 1967年録音。これは日本盤。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

Oct 29, 1967
chaconne=15:02
( TESTAMENT SBT-1353  CD-UK )


 定評あるDG盤からおよそ3ヶ月後の録音。演奏時間はこちらが約40秒長い。BBCのスタジオにおけるライヴである。シャコンヌ単独演奏。テスタメントが掘り出してきた。
 モノラルながら、音質はまず問題のないレヴェル。DG盤のほうがあきらかにリラックスしており、このBBC録音には、どこか無骨な感じがある。一発録り、あるいはそれにちかいものと、編集可能なレコーディングとの違いかもわからない。

 このCDのメインはクレンペラーと組んだベートーヴェンのコンチェルトであり、シャコンヌは余白を埋めるために引っぱり出されてきたらしい。このベートーヴェンがまた、なかなかの名演だ。
 まず、クレンペラーがすばらしい。一方、ここでのシェリングのヴァイオリンは艶やかで美麗。重厚なクレンペラーとは一見ミスマッチのようであり、モノクロとカラーの合成写真のような印象を受ける。しかし、それも最初のうちだけで、聴きすすむうちにとっつかまっている自分に気づくのである。

(2007/10/14)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

1975
chaconne=
(aura AUR-203-2)


 イタリーライヴ。このディスクの魅力はブックレットにある。かつて劇場の芸術監督をしていたPiero Rattalinoによって語られる、音楽家と酒にまつわる話が愉しい。そういう話を持ち出してくるということはつまり、シェリングも楽屋で一杯やるクチであったのだ。それがステージへ出ると神と化した、という。

 演奏前にヒッカケる人はけっこういて、ベロベロになる方もいらしたそうな。なかでも傑作なのは、演奏前にチンボツし、演奏中にまたチンボツするという、まるで古今亭志ん生のようなピアニスト、ライゼンアワー(リストの弟子とか)のエピソードである。
 本番で、「皇帝」の最初を弾いただけで寝てしまう。指揮者が起こすが起きない。オケはしばらく同じ部分をリピートする。続かずにストップする。静寂がおとずれる。聞こえているのは寝息だけ。
 ピアニストが目覚める。リハーサルしたことも憶えていない。今夜のプログラムも忘れてしまった。聴衆は静かに待っている。 オケのメンバーは微動もしない。ピアニストは考えた。ああこれはピアノから始めるやつやな、と。自分が始めんから始まらんのや、と。そうすると曲は……そうだ! あれしかない! そこで、腕を持ちあげると、同じベートーヴェンの第4コンチェルトを弾きはじめた……。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

Apr 12, 1976
chaconne=14:10
( TDK Original Concert Selection TDK-OC010  CD-JAPAN )


 東京文化会館でのライヴ。TDKによるリリース。シェリングのシャコンヌではこれがもっともよい。ライヴの緊張感、録音の良さ、しかも入手易。

(2007/07/08)



 

ヘンリク・シェリング
Henryk Szeryng

May, 1981
chaconne=14:27
( 'Fachmann Fur Klassischer Musik' Society  FKM-CDR-2001  CDR-USA )


 1981年のライヴ。場所は不明。 第2パルティータ全楽章完演。演奏家の晩年期の録音というのはやはり意義深いものがあるだろう。彼は88年3月に没している。

 海賊CDRである。その是非を論ずる気はない。正規メーカーが見向きもしない音源を拾ってきてくれるのだ。すくなくとも、聴く者にとってはありがたい存在であることはまちがいない。例によって、チャチなジャケである。

 ここでのシェリングの集中ぶりはすばらしい。ほとんど明鏡止水の心境だったのではあるまいか。
 録音はまずまず。
 シャコンヌの最後の最後で、パチパチと手をたたきはじめたのがいる。信じられぬフライングであり、唖然というよりほかはない。ひょっすると、寝ていたのではないか? ふと目覚め、寝ぼけて拍手を送ってしまった、と私はそう想い、笑ってすますことにしている。会場にいた人はブチキレだっただろうが。

(2007/08/28)



 

ヨゼフ・シゲティ
Joseph Szigeti

1950s
chaconne=
15:58
( KING RECORD K18C-9289  LP-JAPAN )


 岩肌むき出しといった感じである。心臓をわしづかみにされているような気になる。すさまじい気魄だ。こんな無伴奏はほかにない。まさに神がかり的、歴史的名盤である。それだけに、たびたび聴くにはチトしんどい。何年かに一度、滝に打たれ、心身ともに清めてから、静聴するのがよろしかろう。私はそんなことしませんが。
 
 ヨゼフ・シゲティのシャコンヌ録音はこのスタジオ全曲中のものしか出ていない。探せばライヴ音源が見つかりそう。
 所有盤はキングの日本盤。

(2007/07/08)



chaconne

FeFeFe