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渡辺玲子

Reiko Watanabe

BWV.1004

2000

 

 

エリザベス・ウォルフィッシュ

Elizabeth Wallfisch

BWV.1001-1006

P1997

 

 

クリストファー・ホワイト

Christopher White

BWV.1004

 

 

 

ワンダ・ヴィルコミルスカ

Wanda Wilkomirska

BWV.1004

1969

 

 

ポール・ヴィント

Paul Windt

BWV.1004

1998

 

A B C D E F G H I J Ka Kr L M N O P Q R Sa Sk T U V X Y Z &


 

渡辺玲子
Reiko Watanabe

Dec, 2000 & Feb, 2001
chaconne=13:52
(TELDEC WPCS-11101)


 大物感のただよう渡辺だが、録音に関しては今イチ積極的でないのか、順調でないのか、実力を全開させたものはまだ出ていないようだ。この無伴奏も、たしかに立派ではある。しかし、これで許すわけにはいかない。もっとやれそうな、隔靴掻痒感がどうしても残ってしまう。
 シャコンヌはかなり満足度の高いデキだが、それでもやはり、まだ上積みの余地はだいぶありそうにも思える。サラバンドもいいが、装飾が唐突な感じでよくない。

 中堅クラスの演奏家のものなら、これで満足すべきかもしれない。だが、私は彼女にはもっとすごいやつを期待する。
 秩父ミューズパーク音楽堂での録音。1709年ストラディヴァリ作「エングルマン」使用。

(2007/07/08)



『渡辺玲子が奏でるグァルネリの響き』 雑感 ―― 2008年03月18日大阪いずみホール


 渡辺玲子のリサイタルを聴くことができた。 
 曲目は、モーツァルトのK304、ベートーヴェンの『クロイツェル』、バッハの第2パルティータ、『ツィゴイネルワイゼン』、アンコールにタイスの『瞑想曲』……となじみの曲ばかり。さらに伴奏は信頼度抜群の江口玲。使用されたグワルネリは、1736年製ムンツ=B
 音色は彼女の名のとおり玲瓏、その演奏は躍動美、突進力にあふれたスリリングなものであり、スケールがでかく、テクニックは文句のつけようがない……となにやら全部そろっている感じで圧倒的。モーツァルトからアンコールのタイスまで、オール当たり≠ナ、大満足だった。

 第2パルティータについては、CDよりも、はるかに堅牢、快速、攻撃的、それでいて重厚、厳格、弛緩部分皆無等々……まさに一気呵成、迫力満点のバッハになっていた。サラバンドの、例の「唐突な装飾」は消えるなど、いっそうストレートな、いさぎよいものになっていたのはすばらしい。
 シャコンヌではなく、ジーグの前でひと呼吸置き、ジーグからシャコンヌへ減速せずに突入していったのは、たまたまだったのか。いずれにしても、好ましいやり方である。シャコンヌ冒頭和音の、ゾクッとするほど妖艶なきらめきなども忘れられない。
 ムリクリ、好みを押しつければ、たとえばジーグに、もうすこし軽みが添わればよかったか。

 それにしても、カッコいい。現役の邦人ヴァイオリニストのなかでは、ひょっとして最高ではあるまいか?
 『ツィゴイネルワイゼン』もまた魅力的だった。叙情性じゅうぶんであり、一方、終結部分ではスピードに乗りすぎるなど、ひじょうに危険で凄みのある演奏。あそこまで思い切りよくやってくれるところが、まったくたのもしい。

 ついでながら、バッハ無伴奏全曲録音を完成させる際には、ぜひ、CD未録のものだけを追加するのでなく、既録音3曲もあらたに入れなおしていただきたい。
 それよりも、ちょっと録音がすくなすぎませんかネ。いろいろ、じゃんじゃん入れてもらいたいが、まずほしいのはブラームスの協奏曲だ。彼女に合いそうに思える。

 いやとにかく、ひさしぶりにヴァイオリン一挺にしびれた。ごっつぁんです。

( 2008/03/20 )



 

エリザベス・ウォルフィッシュ
Elizabeth Wallfisch

P1997
chaconne=12:15
( hyperion dyad CDD22009  CD-UK )


 古楽器礼賛ではない。が、これはかなり好きな演奏だ。

 たとえば第2パルティータの冒頭、町外れの洋館でひっそり弾かれているようなおどろおどろしいムードがよろしい。
 ときおり、他の弦に触ったときのものか、妙な、情けない音が聞こえたりするのはどういうものかはわからないけれども、とにかくそれがまた人間らしくもあり、愉快である。
 また、楽器から音が「しもる」ような感じがあって、まさに素人意見であるが、安モンのヴァイオリンで弾いているような、そんな印象を受けたりもする。
 しかし、このウォルフィッシュのヴァイオリンはまさしく木の音がしている。彼女は、そんな楽器の特質を最優先させており、きわめて自然体なのだ。
 そしてなにより、聴いていて愉しい。
 ピリオド楽器でやるなら、これくらいの一貫性、統一性、根性や覚悟、やる気、こだわりがほしいと感じる。

 録音もすばらしい。ディスクには、上記のようなウォルフィッシュの演奏が理想的に収録されている。

 エリザベス・ウォルフィッシュは最初、モダン楽器で演奏家としてのキャリアをスタートさせ、数々のコンクールで優秀な成績を収めた。のちに手にしたピリオド楽器に魅了させられて以後、そのエキスパートとして活躍中とのことである。
 使用楽器については、"Petrus Paulus de Vitor, fecit Brescia, 1750" とある。

 hyperion はこれより12年後に、イブラギモヴァを起用して、やはりみごとな無伴奏全曲ディスクを世に送っている。

(2009/10/26)



 

クリストファー・ホワイト
Christopher White


chaconne=13:41
( MELISMA PRODUCTIONS(un-numbered)  CD )


 第2パルティータ完演。クリストファー・ホワイトは、1963年ロンドン生まれ。幼少のころよりヴァイオリンを始め、のちカナダに渡り、フェニヴェスやラレード、グリューエンバーグ(※ストコフスキーの『シェエラザード』でソロを弾いていた人だ)に師事。室内楽を中心に活躍中とのことである。

 番号なしCD。あるいは自主制作盤か。

(2007/07/08)



 

ワンダ・ヴィルコミルスカ
Wanda Wilkomirska

P1969
chaconne=15:51
( Connoisseur Society CD-4069  CD )


 高音質で知られたコニサーソサエティ原盤。LP・CDとも、国内盤で出ていた。
 第1ソナタとのカップリング。演奏も録音も一級品。

 オリジナルのアメリカ盤、国内初出CDの2種が手元にある。
 ジャケ写真はCDのもの。オリジナルとほとんど同一のデザインである。
 LP(CS-2040)では左上のConnoisseur Societyの文字が白抜きになっており、右上にやはり白抜き文字でレコード番号が入っている。
 廃盤になっていたのが最近、CDで再発されたが、ほかの演奏との同居を強いられたために、この魅力的なジャケは復活しなかった。

 ワンダ・ヴィルコミルスカ(ウィウコミルスカ、ウィルコミルスカ)は1929年ポーランド生まれ。コニサーソサエティへは、ほかにもすばらしい演奏をレコードしている。

(2007/07/08)



 

ポール・ヴィント
Paul Windt

P1998
chaconne=15:27
( BEARSWAMP STUDIOS CD#PW-0998  CD-USA )


 ポール(パウル)・ヴィントによる無伴奏アルバム。自主制作盤か。
 ヴィントはピッツバーグ生まれ。生年などについては不明。
 出身地ピッツバーグでヴァイオリンを始め、最初ミヒャエル・ストラレフスキー( Mihail Storalevsky )という人から習った。その後、オーマンディとスターンの推挙により、カーティス音楽院に入学。そこでヤッシャ・ブロドスキー( Jascha Brodsky )とエフレム・ジンバリストに師事――とブックレットに記載。
 このアルバムは、これら3人の教師に捧げられている。

 いきなり、野太い、どこかカブトムシを連想させるような力感あふれるヴァイオリンが聞こえてくる。
 優雅さや淑やかさとはまるで無縁。まさに男の演奏である。それでいながら、荒さも粗さもないところに、ヴィントの芸術性が感じられる。テクニックも文句のないレヴェル。
 こういう演奏はあまりないので、ひじょうに新鮮だった。
 ほかに、バッハの第3ソナタ、イザイの第3ソナタ、ミルシテインの『パガニーニアーナ』が収録されており、いずれにも同様のことが言える。完成度のきわめて高い、すぐれたアルバムだ。

 解説によると、この録音にはちょっと聞かないめずらしい細工が施してある。
 まず、ペンシルバニアのスタジオにて録音。さらにこれを、同じペンシルバニア州にあるロック・リッジ公園というところに保存されている古い鋳造炉?にて再生、そこで発生した残響もろとも録音して完成させたということである。つまり、このヴァイオリン演奏部分は録音の録音というわけであるな。聴いていても、その残響がやや過剰かと思える程度で、鑑賞上、違和感は覚えない。音源が一点である無伴奏ゆえであろう。オケもので同じことをやれば、なにがなにやらわからぬことになったかもしれない。

 Helmuth Keller ( Philadelphia ) という人による1980年製のヴァイオリンを使用している。使用弓はPaul Serdet ( Paris ) の1900年製の由。

 アルバム・タイトルは "Violin Alone"。『無伴奏』と訳しておけばいいのかもしれぬが、ここは『ヴァイオリン一挺』としてみたい。そんな孤高ムードを感じさせる剛毅な演奏である。
 これだけの腕をもったヴァイオリニストが、ネットでもほとんど引っかからない。不思議だ。愛好家としては、そのぶん、発見したよろこびが大きい、と言えるのではあるが……。

 入手の容易なディスクなら、問題なくオススメ盤としたいところです。

※アメリカ人なのでとりあえず、Paul=ポールとしておきます。

(2009/01/23)




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