森田療法

「神経質」「心配性」「内向的」といった性格の人は、「もっと外向的になれたら・・・」と憧れることはないだろうか?そんな性格の人にピッタリの心理療法がある。森田正馬によって1920年頃創始された森田療法は、正に人を外向的にする事を目的とした療法である。
この稀有な日本独自の心理療法の言わんとするところは、「”あるがまま”に、なすべき事をなせ」の一言に尽きる。「あるがまま」というのは、不安や心配事は無理に消し去ろうとせず、それを感じながら、という意味である。同じ意味で「気分本位から物事本位へ」とも表現される。つまり「気分などどうでもいい。ウダウダ言っていないで、仕事や勉強をとっととやれ」という荒っぽい治療方法なのである。例えば「人前に出るとアガる」と心配している人には、「アガっても、声が震えても、伝えるべき事を伝えればそれでいい」と教える。「やる気が出ない」と怠惰になっている人には、「やる気が湧かない気分のまま、やれ」と諭す。実際に患者にはどんどん作業を与えて、ビシビシと実行させる。
しかも、「そんな心配事など、やるべき事をやっている内に忘れてしまうものだ」というさらに荒っぽい治療論が続く。それどころか「別に治らなくても、やるべき事が出来るようになればそれでいい」とさえ考えられている。これは確かに戦前という時代の「思想」なのである。

こんな治療法が今でも盛んに行われている理由は一つしかない。効くからである。最も得意とする対人恐怖症の改善率は約80%とも言われている。確かにこの身も蓋も無い、気分など完全無視の態度は新鮮である。
神経質な人はいつも「気分的に出来ないから、出来ないに違いない」という気分本位の考え方に陥る。「やる気が湧かないから出来ない」といった具合に。
しかし森田療法「気分や人格など変えなくてもいい」という立場を取る。この「気分と出来る・出来ないは無関係」という考え方に触れれば、「気分の呪縛」から解放される。こうして多くの神経質な人達が生まれ変わってきた。