
中国、モンゴル共和国、トルコの3大主産地の中では、中国産のカシミヤが綜合点ではトップです。


中国産のカシミヤは繊維が細く(14〜16ミクロン)ホワイト・カシミヤが多くて、平均的にセンイが綺麗
です。しいて難点を言えば、繊維の長さが短いことですが、カシミヤは殆ど紡毛糸にするので、
あまり問題とはなりません。
「チャイニーズ・カシミヤ」という表示は品質が良いことを意味しますが、中国で製品加工したものは
必ずしも高級品とはいえません。
モンゴル産のカシミヤは、中国産よりも繊維がやや太い(15〜17ミクロン)のですが、繊維の長さは
中国産よりも長いので、カシミヤとウールを混紡して疏毛糸を作るのには敵しています。
難点は黒毛(ブラック)の混入がやや多いことですが、濃色に染める場合には問題ありません。
イラン産のカシミヤは、繊度がやや太く(18〜19,5ミクロン)黒毛の混入が多いのが難点ですが、
光沢の点では中国産、モンゴル産より美しいと評価されています。従って,濃色で光沢の美しい
製品を作る時は、イラン産カシミヤが使われます。

高級スーツ地に「スーパー100‘S」という表示をみかけます。
この「100番手」は糸の番手ではありません。「羊毛番手」です。毛織物の原料、羊毛の番手の項で
説明したように、17~18ミクロンの「スーパー。ファイン・ウール」の100番手の羊毛を原料の使って
いるということを表しているのです。100番手の「糸」を使っているということではありません。
ですから「スーパー100`S」のスーツ地は、必ずしもライト・ウェイトとは限りません。
スーパー100‘Sの原毛を使って、48番手の糸で織ったスーツ地は、厚手の織物であっても
「スーパー100‘S」と表示するからです。


厳密に言うと、「サマー・キッド・モヘヤ」という呼称は、モヘヤの3大主産地のうち、南アフリカ産の
ものだけに使われます。
南アフリカとアメリカ・テキサスのモヘヤは年2回刈取ります。
南アフリカでは、6〜7月頃に仔山羊が生まれ、半年後の翌年1〜2月頃に最初の刈り取りが行われます。
南アフリカは、南半球に位置していますので、1〜2月は夏の気候となります。
ですから、この最初に刈った仔山羊(キッド)の毛を「サマーキッドモヘヤ」と呼ぶのです。
そして7〜8月頃に刈る第2回目のモヘヤを「ウインター・キッド・モヘヤ」と呼びますす。
これに対して、アメリカ・テキサスでは、生後半年で初めて刈るモヘヤを「フォ―ル・キッド・モヘヤ」
またはNO.1・キッド・モヘヤ・と呼びサマー・キッド・モヘヤとは呼びません。
またトルコでは、年1回刈り取るため「サマー」と「ウインター」の区別はなく、最初の年に刈ったモヘヤを
「キッド・モヘヤ」と呼ぶだけです。
いずれにしても「サマー・キッド・モヘヤ」は、生後6ヶ月ぐらいの仔山羊から刈った、最初でしかも
一生うち1回しか取れない価値のあるモヘヤで、繊度は細く(24ミクロンぐらい)しなやかでキメ細かい
光沢を持っています。
なお、「アダルトモヘヤ」といわれるものは、生後2年以上たったアンゴラ山羊から刈ったモヘヤを

上質のメリノ種は、1頭で約4Kgの原毛が採れます。原毛は、不純物を洗い落としたり、糸にするまでの
段階や織りの段階でロスが出たりするので、最終的にはメリノ種1頭の原毛で、1着分のスーツ地が
作れるという勘定になります。

モヘヤの繊維は、太い上に絡み合う性質が劣るため、細番手の糸を紡くことができません。
夏服地は目付けを軽く仕上げなければならないので、通常52番双糸より太い糸は使えません。
モヘヤ100%では、せいぜい30番手ぐらいの太い糸しか紡けませんので、これを双糸にしては
夏服地には使えません。
そこでモヘヤ・トロの場合は、タテ糸にモヘヤの単糸を使っては強力が弱くて織れませんので、
縦糸には細番手の双糸の疏毛糸を使い、ヨコ糸にだけモヘヤ糸の単糸を使うことになります。
タテ糸に2/60の疏毛糸、ヨコ糸に1/30のモヘヤ糸を使えばタテ、ヨコとも同じ太さの糸使いとなります。
このようにモヘヤ・トロの場合は、タテ糸にモヘヤ糸は使えませんので、ヨコ糸に100%のモヘヤ糸を
使っても、織物全体としてのモヘヤの混率はせいぜい60%ぐらいが限度です。
モヘヤの混率を高くするために、タテ糸の疏毛糸を細くしたり、ヨコのモヘヤ糸の密度を増やしても、
織物全体としてモヘヤ100%のモヘヤ・トロは作ることは出来ません。


1、 綾目が右上がりとなっている方が表。
(但し、シャ−ク・スキンの場合、織り方を右上がりにすると、柄の出方は左上がりになるので、
、通常は左上がりに見える方が表)。
2、 ヘヤー・ラインが経方向になっている方が表
3 表面の毛羽が短くて、きれいに剃られている方が表。
4 柄の出方がきれいで、規則正しく出ている方が表。
5 光沢のある方が表。
6 補修の跡が残っている方が表。

フィラメント(長繊維)は、エンドレンスの長い1本の繊維のことをいいます。
例えば、まゆからとった絹糸や、ノズルから吹き出させた合成繊維のように、切れ目のない繊維で、
これを束ねて糸にしたものをフィラメント・ヤーンといいます。
スパン・ヤーンは初めから短いj状態の綿や羊毛の繊維を紡いで1本の糸に、
したたもので紡績(スパン)糸ともいいます。フィラメントを短くカットして紡績糸にすることもあります。

ザックリしているわりには腰があり、着崩れしないツイード・ジャケットなどには独特の味わいがあって
洋服通の人のワードロープには欠かせないもののひとつです。
このツイードに関しては英国製「スコットランド製を含めて)に敵うものはありません。
その秘密は原料にあります。

英国には、英国でしか産出しない種類の羊が沢山あります。
その気候風土が生み出したこれらの英国種羊毛には、門外不出のものもあって
他の国では絶対に出来ないツイードの味が生まれるのです。
ハリス・ツイード、シェットランドツイードなどがその例です。

「毛織物の基礎知識」の中で、合成繊維の解説をするのは場違いの感がありますが、最近の
ファッション業界では無視できない「話題の商品」ですので、簡単に説明しておきます。
「新合繊」を定義しますと、昭和の終わりごろから、合繊メーカー各社が、競争で開発した新しい
発想のポリエステル繊維で、これまでにない新しい質感を持った高感性の素材郡ということができます。
従来の合繊は○○ライクというように、ウールやシルクなどの天然繊維に近ずけるような発想で
開発を進めていました。しかし、この新合繊は、合繊でしか表現できないような新しい質感を創りだす
ことをモットーに開発されたのです。
その特徴は「ふくらみのあるソフトさと軽さ」「ゆたかなドレープ性」が共通した質感で、どちらからというと
婦人服に向く素材でした。しかし、紳士のスーツ地にも向くような素材も開発されているので、
これからは紳士服の分野でも話題の商品として注目されるでしょう。
いいます。