ルーマニア点描
ブラショフ市ITセンター、ドナウデルタなど

縁あって、2002年5月から6ヶ月、ルーマニア、ブラショフ市のITセンターの開設と講師に行ってきました。ルーマニアの表情と自然をちょっと紹介。
「吸血鬼ドラキュラ、体操のコマネチ、チャウシェスク独裁政権を倒した民主革命」。私も行くまでは、それしか知らなかったけど、もちろんそれだけの国ではありません。
人口:2200万人、 面積:24万平方キロ(日本の本州と同じ)
平野部が多く、トランシルバニアもカルパチア山脈内部の広い高原で、実質は日本より広そう。冬は長く寒いが、夏は小麦、コーン、向日葵、野菜など豊富に取れ、羊、豚、牛も多い。
自然と史跡、人情に恵まれ1度来ると夢中になる人も多い。ドナウデルタ、トランシルバニア、ブコビナはヨーロッパ最後の秘境と呼ばれ、動物、野鳥、植物の宝庫です。
日本との政治、経済の関係はあまり深くありません。その分利害関係がなく安心して友好の図れる国です。
ご覧のように、国の形は金魚が小さな口を黒海に開いたようです。海岸線は短く殆ど内陸の国です。
民主革命後も経済は低迷していたが、2000年からは漸くプラス成長に転じた。インフレがひどく対ドルレートは下落の一途だったが、この5年は、1$=約33,000Leiでほぼ安定しています。
非能率や、ぼったくり精神も目に付くが1人当たりGDPも2000$を超えたとのことで近くTakeoffするものと信じます。
パン、ジャガイモ、野菜は非常に安い。ジャガイモ1kgが40¥、出盛りには30¥。お百姓さん可哀そう。肉も(美味しくないけど)1kg、約400¥。でも、こちらの人はお肉は高価いといっています。でも食料が安くて豊富なのは救いです。
観光その他 ドナウデルタの自然、トランシルバニアのドラキュラさんに山・避暑・スキー、ブコビナの5つの修道院など観光資源には事欠きません。ただ道路、ホテルなどのインフラが今一で、外国人と見るとぼるのはやめて欲しいな。
でも、ヨーロッパにまだこんな自然がある。ぜひ一度行って見てください。今一番の経済協力は観光に行くことと思います。安くて美味しいワインやツイカ(地酒)の輸出や、せっかくの豊かな農産品の加工や輸出がもっと進むとよいのですが。
ブラショフ市 ブラショフは、ブカレストの北170km、人口30万、標高700mの美しい高原都市です。緯度は稚内と同じで、夏は涼しく、冬は非常に寒い。ブラショフ周辺はブカレスト住人憧れの避暑地、スキーリゾートです。
市の中心部(チェントゥル)の西、ツンパ山の頂上から旧市街の赤い三角屋根を見下ろすと中世にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。
日本の武蔵野市と友好都市の関係にあり、友好10周年記念事業で、武蔵野市と、武蔵野に本部のある医療法人プロジェクト・ホープが、パソコンとソフトを寄贈して、ブラショフ市がITセンターを設立。立ち上げ時の講師に、相棒の若手技術者、森田さんと、私、樋口が派遣されたわけです。パソコン、プリンタ、ソフトウェアのご寄付を頂いた日本ヒューレット・パッカード社、日本マイクロソフト社に厚くお礼申し上げます。
この町には、武蔵野市が、「日本武蔵野センター」を開設、日本からの所長が常駐、日本語教室や日本の図書・情報の提供などを行っています。
幸いに、武蔵野センターの歴代所長のNさん、Oさん、青年海外協力隊のIさん、Sさん、現地のブラショフ市役所やセンターのスタッフや日本語教室、ITセンターの生徒さんと協力して楽しく任務をはたすことができました。
ルーマニア人はローマニア人、ローマ植民の子孫です。ルーマニア語とイタリア語は今でも通訳なしで通じるとのこと。ルーマニア人はこのアイデンティティーに強いプライドを持っています。ブラショフ市役所の前には伝説のローマ建国の英雄、狼に育てられた双子の兄弟ロムルスとレムスの像があります。
偏狭な民族主義に毒されなければ、このプライドは悪くないはずです。ここでも普通の人はルーマニア系、ハンガリー系、ドイツ系、協力して仲良く暮らしています。悪い奴らの扇動にさえ乗らなければいいのです。
ブラン城 ドラキュラの城で有名なブラン城はここからバスで約50分。山から、広く開けた平原の際にあるきれいな城です。たたずまいが日本の犬山城に似ています。
ついでながら、ドラキュラのモデル、ブラド・ツェペシュ公は、オドロオドロした感じはなく、この国ではトルコと戦って独立を守った英雄として、なかなか人気があります。この国ではどの町にも、Strada Vrad Tepesつまりドラキュラ通りがあります。

ITセンター全景
ルーマニアもIT化には熱心です。特に若い人は日本と同じくコンピューター大好きです。でも子供がお年玉で買えるわけでもなく、安い講習会もありませんでした。
1クラス10人、1期4クラスで、2学期80人を教え、現地の講師に引き継いで来ました。特に第1期の熱気はすごかったなー。こんな機会を待ちに待っていた人が全部集まったみたいです。
終わりに、名刺や自己紹介のWebページを作らせましたが、作品にもこちらの若い人の夢や希望が垣間見えます。イヤ若い人の夢は希望はどこでも同じです。

Mさんは若手の家具エンジニアです。木材工学科出の才媛ですが、可愛らしすぎて始終中学生に間違われるのが悩みの種です。彼女のMy Dreamは「山と音楽を一緒に楽しんでくれる夫、そしてもちろん2人の子供」。きっと夢は実現することでしょう。
高3のM君のMy
Futureは「俺は将来カナダに行くんだ。カナダで良い人に囲まれて、良い学校に行って、良い職に就くんだ」。まるで夢の国ですね。叔父さんかお兄さんがもう行っているのかも知れません。若い人の夢がこのルーマニアでかなうともっと良いのですが。
40歳のIさんは失業していましたが、北部に職が見つかり中途で去って行きました。Congratulationと言って送り出しました。
高校生などのパソコン坊やのレベルはすごいです。この中から将来のビル・ゲイツが出るかもしれないと期待しています。
まとまった休みがなく、ボランティアの金欠出張で、あまり旅行もできませんが、ここだけは行きたかった。
ドナウの河口の最後の100kmは、面積4000平方キロ(東京都の2倍)の広大な三角州です。このうち陸地は13%で、あとは湖沼と湿原です。動植物、魚、鳥(鶴、ペリカンなど)の宝庫です。

スフントゥ・ギョルゲの船着場 ついに黒海が見えた
ブカレストからバスで5時間、デルタの入口トゥルチェア市から船で5時間、黒海の河口の村スフントゥ・ギョルゲに着き、村で1軒のペンション、マレーアに宿泊。これ以外の行き方は、ヘリコプターでも使わないとありません。でも自然を守るにはこれぐらい行き難くて良いのかも知れません。
このペンションでは、ルーマニアにはめずらしくお魚料理があるのが嬉しい。次の日、歩いて30分、黒海が見えたときは感激しました。

村で1軒のペンション・マレーア ガイドのフローリン君(大学生)と船頭さん
圧巻は、slow boatをチャーターしてのドナウデルタ・クルーズ。あまり高価ければあきらめるつもりでしたが80$とのことで、思い切って行って来ました。

カナール 高圧線の上の鶴の巣
湿原の樹木、花を眺めながら、カナール、湖沼、ドナウ川をめぐります。高圧線の上に鶴が巣をはっていました。ペリカンの大きなこと、飛ぶ早さの早いことに驚きました。
自然の驚異、自然の奇跡などという言葉が、素直に信じられる旅でした。
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Last modified 2006/09/22 by M.Higuchi