ブギーポップは笑わない
■監督/金田龍
■脚本/村井さだゆき
■原作/上遠野浩平
■出演/吉野紗香 黒須麻耶 竹田啓司 酒井彩名 三輪明日美 清水真実 広橋佳以 沢木哲
高野八誠 笠原秀幸 黒石えりか 馬場喬子 皆川香澄 安田良子 柴木丈留 螢雪次朗
海野けい子 八木橋修 坂上香織 寺脇康文

おもしろい作りの映画だった。
平行するいくつかの物語が断片的に描かれ、それが最終的には一つの物語として完結する。 最後の物語で描かれることは、最初に見ていたものとは全く違う側面がある。 どこにでもいるような高校生たちの切ない物語と、死神とか殺人とか人喰いといったような 非現実的なファンタジックな物語が表裏一体となっている。
竹田啓司や木村明雄が見ているものと、ブギーポップや霧間凪が見ているものとは 同じものなのに、全く別世界のものだ。 男の子が見ている世界が現実的で、女の子が見ている世界が非現実的なファンタジックなものだって いうのは、ちょっとおもしろいかも。 男の子は、女の子の夢見がちなところが理解できないものだし。 ただし、それでいてこの映画全体としては、完璧に男の子の視点で描かれているっていうところがまた おもしろいとこではある。
で、登場する男の子の中で、「ファンタジックなもの」の側にいるのが早乙女正美こと 高野八誠だと言うのは、興味深い。

竹田啓司側の世界とブギーポップ側の世界は、 どちらかが真実で、どちらかが虚偽の世界と言うことではない。 竹田啓司が見ていた世界、宮下藤花とのちょっと紆余曲折のある普通の恋愛物語も、それはそれで一つの 真実なんだよね。
この普通の高校生としての物語が、ちょっと郷愁を感じるっていうか、切なかったです。

吉野さやかって、あんまり好きじゃなかったんだけど、いい味だしてたなあ。
ブギーポップになった時が、最高によかったです。 表情もそうだけど、ブギーポップになった時の声とか、話し方とかが、 藤花とは全然ちがってて。

あと、三輪明日美ちゃんが、よかったです。 キュートっす。

好きだった場面は、百合原美奈子が一人で本を読んでいるところに、 早乙女正美が来て、 「僕だけの特等席だと思ってたのに」 っていうところ。
たとえば、学校の中に自分だけが知っている秘密の場所があり、 そこに一人でいることで、癒されたり安らげたりするとしたら、 そこに別の人間がいた時、その誰か別の人間に対して感じるものは どういう感情なんだろう。 反発なんだろうか、それとも、仲間意識?
早乙女正美は、「ま、いいけど」、そんな言葉で百合原美奈子を受け入れた。
早乙女正美と百合原美奈子の普通の高校生としての恋愛物語は、 秘密を共有できること、、っていうか、同じものを同じように見て、同じように感じる人が いるっていうことの喜びだったのかなと思う。


もどる