■ 46話〜49話

第46話:タイガは英雄  脚本/小林 靖子  監督/長石 多可男
「誰かを守るというのは、究極ああいうことなんだ」

優衣を助ける、ということで揺るぎの無い蓮。
それに対して、迷い続ける真司。
蓮の言葉に、真司はどんどん追い詰められていく。 本当に、誰かを助けるために戦うのは正しいことなのか? どんなにひどいやつでも、それが自分を陥れた人間だとしても、その人間が危なくなれば 助けてしまう真司。極悪非道な浅倉のような人間でも、存在することに意義はあるんじゃないかという 真司。 真司は裏表がなく、純粋で、ストレートな人間だけど、ストレートなことが 逆に矛盾を生んでしまう。 誰も傷つけたくない、でも大切な人を守りたい。ライダーの戦いにおいて、この二つは 決して両立しないことだから。 そして、そのために自分自身が追い詰められてしまう。

「ライダーなんて、サイテーな奴ばっかりだよ」
とか言いながら、車にガソリンをかける東條。 ここって、笑うとこですか? 重苦しい展開の中で、ふっと笑わせてくれる、そんなひとときですか?
「ライダーなんて、サイテーな奴ばっかり」っていう中に自分も入ってるんすかね?>サトちゃん。 ま、北岡も自分のことはさしおいて、「あんな奴がライダーなんて」とか言ってるから、 みんな自分だけは違うとか思ってんでしょうね。

「英雄ってのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ。 お前、いきなりアウトってわけ」

北岡秀一、さすがライダーたちの中でも年長組なだけはありますね。含蓄のある言葉です。

そして、「英雄」になって死んでいった東條。 東條は、ずっと自分のすべきことを自分で考えることはしなかった。 妄信している香川先生の言うことだけを正しいと、それを自分の意思として、行動した。 香川先生やインペラーを倒したのも、それが香川先生の意思だと信じていたからだ。 まちがった解釈ではあったけど。 そして、最後の最後で、自分の意思で「車にひかれそうになった親子を助ける」という 行動に出る。誰かに指示されたことではなく、自分の意思でしたことで 東條は命を落とすことになった。東條の考えている「英雄」とは ちがう「英雄」として、東條は死ぬ。それは皮肉なことなんだけど、でも、それでよかったのかも しれないね。

この回で好きなところ。
401号室で対峙する神埼と真司。
神崎士郎が「お前も本当の意味で仮面ライダーとして戦え」と言った後で、真司のアップ。 真司は神崎を見ている。表情が変わる。神崎が消えたところを 真司の表情だけで、表現している。 須賀貴匡は目と、ちょっとした顔の動きで神崎が消えるところを演じている。
ちょっと気の利いた演出だと思いました。

「踏み台として、お役に立ってるぞ。椅子があるのにな・・・」
編集長・・・

第47話:戦いの決断  脚本/小林 靖子  監督/長石 多可男
アトリのドアを開ける前に、意を決したように真司は笑顔の仮面をつける。

「ただいまっ!」

空元気の真司。
20話で、手塚が蓮について、
「俺が秋山なら無理にでも浅倉と同じ側の人間になろうとする。  はずれかけた仮面をつけ直すにはそれしかない」
と言っている。そういえば、蓮も、悩んで迷って、苦しんだ。 そして、蓮もまた、仮面をつけていた。 蓮の仮面は、浅倉のような「冷酷な人間」の仮面だったが、真司のそれは 自分の悲しみを隠す「笑顔の仮面」だ。
空元気の真司を見つめる蓮の表情。真司の気持ちは痛いほどわかる。 真司がせいいっぱい元気ぶっていることも、よくわかっている。 でも、蓮にもどうすることもできない。 思えば、蓮が自分の中の矛盾に迷いに迷っていたときは、真司の他に手塚がいた。 真司といっしょに引き戻そうとしてくれた。 でも、今の真司には蓮しかいない。

「むずかしいこと考えないで、ばんばん戦って行くよ、オレは。
蓮も覚悟しとけよ」

真司のベッドのカーテンの前で、真司に声をかける蓮。
蓮がカーテンを空けると、顔に笑顔の仮面を貼り付けた真司が。 その笑顔を見て何も言えなくなる蓮。 そして、蓮がカーテンを閉めたあと、表情を曇らせる真司。 痛々しい。
真司の笑顔、ほんとは全然笑ってない笑顔。
真司は、自分の中の矛盾を消化することができずに、どんどん迷路に入っていく。 考えて考えて、何度も何度も出した答えは、どれも正解ではなかった。 どの答えに対しても、自分の意思を貫き通すことができなかった。 真司は自分を責める。 自暴自棄になる。 きっと、真司は、無意識のうちに、誰かに倒されようとしてたんじゃないかと思う。

「できなくていいんだって。なんか、もうさ。ほんと、できなくていいよ」

北岡の「できなくていいよ」っていう言葉は、吾郎ちゃんに言ったようで、ほんとは自分自身にも 言ってたのかな。もうライダーの戦いなんて、どうでもよくなってきた、みたいな。

第48話:最後の3日間  脚本/小林 靖子  監督/石田 秀範
「戦いが終わるのはつまらんが、勝ち残って戦いが続くように願うのも、いい」

浅倉は、スタンスが変わらないから、こういう時、他の主人公が迷って揺れてる時には なぜかほっとするから不思議だ。

「優衣ちゃんこのままじゃかわいそうだ」

この状況で、「優衣ちゃんがかわいそうだ」と言う真司。 消えてしまうことじゃなくて、閉じ込められて自分の選択したことが できない状況にある、そのことで優衣がかわいそうだと、 そういう風に考えることのできる真司。
だから、、、
「お前は、そうやって何でも飲み込もうとするから、迷うんだっ」

「へぇ。やっぱりバカは、立ち直り早いのかね」
「確かにあいつはバカだが」(真剣ににムっとする蓮)
「俺やお前よりはマシな人間、でしょ?」

北岡と蓮は、自分たちが同じ側の人間だと思っている。 真司は違うけど。 そういう真司が、この戦いに組み入れられたことは、彼らにとってどんな意味があったのか。 真司がどの程度、神崎士郎や蓮や北岡に影響を与えたのかっていうのは、賛否両論あるけど、 私は、けっこう影響があったと思ってる。真司の存在が全てではないけど、蓮や北岡は、 真司によって、変わったと思う。それが二人にとって、、ライダーとして戦うと決めていた 二人にとって、よかったのか悪かったのかは、わからない。 それは、永遠に答えのない問いなんじゃないかな。

北岡がいないのでむしゃくしゃしている浅倉に八つ当たりされる、レイドラグーン。 弱くて相手になりません。一方的にやられっぱなし。気の毒。

第49話:叶えたい願い  脚本/小林 靖子  監督/石田 秀範
変身を解いた真司に向かって令子さんが言う。
「あなたが、仮面ライダーなの?」
そういえば、1話だったか2話だったかで、優衣が出会ったばかりの真司に、同じような ことを言っていた。
「あなた、仮面ライダー、なの?」
ほとんど同じような言葉なのに、状況も意味も全く違う。
この1年−物語上はどのくらいの月日がたったんだっけ? その間に、一人の普通の青年だった真司の世界は、全くちがうものになってしまったのだ。 真司自身は、その時と同じ「普通の」青年なのに。

真司は、神崎に向かって 「兄貴のくせに優衣ちゃんの気持ちがわかんないのかよ」などと言う。 なんていうか、ミラーワールドだとか戦いだとかモンスターだとか言ってる時に あまりに普通の言葉だ。 迷って悩んでいる真司だけど、普通の青年としての、その立ち位置は終始かわらなかった。 それが逆に、真司の個性を際立たせる。どういう状況でも「普通の青年」でいられるという ことは、単純なようだけど、ほんとうはすごくむずかしくて、すごく辛くて、すごく強く なければできないことなんじゃないか、そういう風に思える。

「蓮、お前はなるべく生きろ」


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