形の無い たからもの
ぬらりひょん・がぁるの オリジナル の 詩集です。

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   月に寄せて

  「月光浴」         

閉じた瞼に           

甘い光を いただきましょう

月の光に 浸した眼差し 

月の微笑み 

私から あなたにも

あげたいから

優しい力 心に満たして    







          「傷ついた者へ」

      日の光が 差し伸べる手は 遠すぎて
        残った力を振り絞って
         しがみつく事への ためらい 気恥ずかしさ 屈辱・・・・・

       明るすぎて 焼かれてしまいそうな
        その手の先を 見るのが怖かった

      何も見なければ 知らずに済むんだ
         全てを塞いで うずくまる 小さな影・・


      月は ただ ただ 見ているしか 術が無かった
      けれども その光は 甘かった


      好きなだけ 其処に 居ればいい
       月は 居場所を 与えてくれる

      だから せめて そのことにだけは
        何時か 気づいて欲しい




          わたしもかつて そうだったから。
          




    「きんもくせい」

夜のうちに 月の光が
ひたひたと こぼれた

黒い地面に こぼれた光は
オレンジ色に 広がって
ひとつ ひとつ みんな
星の形をして
とろりと 甘い香り

朝が来て 昼になっても
甘く光っている






   「夢」

もう、おかえり 君の世界へ
朝の光に 溶けてしまえば
再び君に 逢うことは
出来ないよ?

ためらいがちな 蒼い時
ブラックダイヤモンドの光


  消えてなくなる瞬間を 
  貴方の心に とどめて欲しいの。
    
   私がかえれば 貴方は忘れてしまうだけ・・・・・・・


それでも 僕の夢に棲んでいて

翻る 裳裾 流れる 髪
醒めても風に 君が薫るよ 


(エリック・サティー ジムノペディー1番に寄せて)





           「秋の夜」

          いっぱい鳴いてる
            いっぱい泣いてる

           誰も出ない
           鳴り止まない 電話

          たくさん
               たくさん

           届かない想い
             溢れる 草叢



  「蜉蝣」

美しい一夜
あなたと踊った 水の上
かぼそい三ヶ月が 滲んでた

体を 打ち震わせて
唄っていた 虫たち・・・

夢のうちに
命尽きたい







                「月の光に」

              貴方は 垣根に咲く 白い薔薇
              汚れたものなど 知らずにいて
              眠られないで 居るのなら
              歌いましょう 子守唄
              悲しく 綺麗な歌ばかり
              泣き疲れたら 透明な
              心だけが 眠りに落ちる

              月のひたひた みつる夜は
              光る波が 打ち寄せて
              とうに乾いた 体を
              ふいに 揚がる飛沫が
              凍った こころ
              とっぷりと 濡らして

                ああ・・・
                 思い出してしまったんだね・・・・・・



              貴方は 銀の光に熔けて
              夜へと 還ってゆきました




   「音の無い歌 」

こんなにまでも冷たく青い空へ
何を信じてか 疑うことなく
枯れた木々は 枝を差し伸べている

飾る言の葉も もう要らない
心に流れる想いの 確かな暖かさ

しなやかな枝で 夜の月を抱いた木
何のしがらみも無く
ただそれだけで 満たされていた

2004年1月06日


 ***混沌***

    「添」

   時間や 空間を
   共にする

   邪魔にも 足しにも
   なんにもならずに
 
   ごく自然に 

   そんな 自分の居場所を

   探している



 
      「螺鈿」

   終わらぬ迷い 背に負いて

   両手で塞いだ 心を閉ざし

   潮に打たれ 岩となりて

   暗いうみそこ うずくまる 貝

   内なる虹を ついぞ 知らぬ



    
   「花」

青い花は なぐさめてくれる
オレンジの花は 元気をくれる
白い花は 責める
赤い花は たぎらせてくれる
桃色の花は 甘える
黄色い花は 悲しんでくれる



だから、黄色い薔薇だけは
育った ためしが
無いのです。



     「風切羽」

  今日は、心の風切羽が 
  折れてしまった

  良い風が吹いている
  やわらかい陽射しの中を  
  飛んでいるみんなは 
  キラキラしている

  けれど私は、この枝に 
  とまっていよう

  今までより 強い羽が
  新しく生えてくるだろう

  冷たい雨 はげしい風の中を
  飛ばなきゃならない日も
  きっとあるはず

  風に負けない強さを
  今は、この枝で 待っている   2003/ 2/24




    「虹」
ごらん、
厚い雲間から 
一筋の光が 降りている
少し遠いかも 知れないけれど
あの場所まで 走るんだ

もし君が 光の下(もと)に立つならば
虹は 君から生まれるだろう
七つの光の輝きは
まだ、
君の心に 眠っている    2003/ 9/22





         「焚き火」

      寂しい秋の日
      インセンスを焚く

      そう、落ち葉焚きの煙も

      煙は 帰らない日
      交わせない言葉を
      思い出させる

      純粋に 悲しい

      秋だから

      泣いているのは、
      心の落ち葉焚き

      すっかり燃えて 後は
      澄んだ空    2003/10/13



   「咲く」

散った後を知って咲く 花

知らずに咲き尽す 花

散る事も許されぬ

ただ にんげんの為だけに
造られた 花

花はそれぞれの 命の火
儚く 燃え立つ   
        2003/10/27






   「向かい風」

時には 逆らわず
身をゆだねてみる

暖かく 柔らかな
風は私に 吹き込んでくる

大きな 何かが
充填された

穴の開いた私を
満たす為に 吹いてきてくれたんだね

気が付かなかったな
今までは     2003/11/ 9





  「くれいろ」

窓辺の緑色の 洋酒の小瓶が
夕日を受けて 綺麗。

少しだけ 体いっぱいに
違う色を 受けとめる
短い秋の 寂しい夕暮れ

恋って そんなかなあ

秋って こんなだなあ。   2003/11/11




   「朝」

朝は 水を換えた水槽のように
冷たくて 透き通った
気持ちの良い空気が流れている

新しい空気に 新しい音が 
ぴぃーんと 輝いている

  去った嵐は 忘れなさい
  新たな光と供に、立ちなさい

それは「時」の優しさかも知れない

ほどけ始めた 花の蕾
点したてのトワレの トップノート

真新しい物たちの 緊張感に
まっすぐに歩いてゆこうと 思う時



       「紫外線殺菌灯」

     藤棚の下を 歩いて通ったら
     甘い香りと紫の光のシャワーで
      少し
     腐りかかっていた心が
     しゅわーーーーーーーっと
     消毒されました。

             もう、大丈夫です。




「夕暮れを歩いて」

私は 雨の上がった夜の車通りを歩いていた
今まで出会った人達のことを 考えながら・・・

車の明かりは 濡れた地面やもやの細かな粒に反射して
ぼんやりと 燃えて沸き立っていた

私は 歩きながら何処までも続く 暖かい光に 
足元から包まれていた

一人では 無いんだ・・・・・

こんなに沢山の 温かい想いに包まれているんだ・・・・・・

そう思えて 幸せでいっぱいになった


冬の始まりの 少し寒い夜だった
2003/12/10






「渡」

大きな翼 たたんだままで
大人になったと気づいた冬空

今は 山の向こうから来る風
強く 強く 感じてる

「期」は、訪れるもの

立ちすくんでも
ひざを抱えても
希望のともしび 絶やさぬ所へ

風に乗り 
空を吹き 地を廻り
季節を運んで
2003/12/22




        「足跡」

     自分の足跡は
     ぴったり おんなじに
     たどることは難しい

     それは 多分
     人間はみな
     いつも 新たに歩き始める事を
     課せられているから

     ほんの少しでも 
     昨日とは違う道を

     朝が来るたび
     また新しい 足跡を
     今日も歩く      2003/12/27




   「夢の行方」

高く澄んだ 木枯らしの空
雲ひとつ無く 果てし無い広さ
時には 孤独を感じたり
大きな青い壁のように 思えたり

だけど 自分を塞がないで

夢を描いた あの雲達は
今頃何処か 遠い海で
お水を いっぱい飲んでいる

みんなの頭上に もくもくと
元気に帰って来るでしょう
        2004/ 1/ 9




      「空の贈物」

     霧の夜に 破いた手紙

     青すぎる空に 捨てた涙

     荒れ狂う嵐の 千切っていった胸騒ぎ

     春の午後の あくび

     落ち葉踏む夕暮れの 溜息

     木枯しに惑う 孤独

     星凍る夜の 遠吠え


     照り返す陽射しに乾いて
     空っぽになった 心

     降りそぼつ雨に濡れて
     重く沈んだ 心

     捨てられ 
     忘れ去られようとした 想い達を 
     空は ずっと 預かっていた

     重く暗い色をした それらを
     白くて軽い 雪にして
     人々の許へ 還してくれる 

     どんな迷いや 苦しみも
     人それぞれに 大切な物だから
               2004/ 1/28




   「うつろい」

廻る季節は ひとつづつ
芽吹き 膨らみ 熟れてゆく

私のこころは 季節をたべる 

若い季節は みずみずしい
熟れた季節は 甘くて だるい

それらも半ば 終わる頃
こころは 季節を食べ飽きて
なんにも入らなくなってしまう

そしたらこころは さなぎになって
さなぎの中では ぜんぶ溶けて
暫く どろどろしているばかり・・・

だけど 
またひとつの季節が 芽を出す頃には
私のこころは 殻を抜け出し
きっとおなかを 空かせているんだ
2004/3/9


 「ハーブ酒」

ハーブ酒を漬けながら
良い知らせを待っている

こっくり こっくり
琥珀色

溶け出していく
ハーブのエキス

ローズマリーは
明日への力を与えてくれる

熟成も終わる頃には
丁度結果がわかるはず

濃くなっていく瓶の中
琥珀の色に思い巡らす

2004/ 5/20


「眠れる水」

もう死んだのかと思っていたら

木は水を抱いていた

生きている 生きている

水を抱いて眠っていた

眠れる水を抱いていた


春の土は香しく

眠れる水を呼び起こす

ひとのこころの 内なるところ

わたくしですら 気付かぬ場所に

土の息吹は呼びかける

      2005/03/07



 

『白い花のような人へ』

白い花に 心痛む
紅さす一つの色も
ぼんやり混じる
絞りの色も
曇りも無く

穢れない 想いが
私を 責めている
 




  『氷』

無垢な氷 鏡になって
貴方を映して 閉じ込める

盛る日に 炙(あぶ)られて
とろとろ溶けて くずれても

貴方が欲しい 私の中に
儚い時間(とき)の 影ほどに

抱いて解けて 水になって
消えて空へ 昇るまで




『しおり』

あなたは 
しおりに 留める程にしか 語らない

ほんの一瞬ずつの 思い出達のページに
一枚ずつはさんでおく

変らない言葉




『電話』

言葉の切れ端を
形見にして
くらしてゆくよ
逢えない日には
オルゴールのように
くるくると
心の中で鳴らしていよう

そんな言葉
抱いているうちに
響きも鈍くなり
曇りがかって嘘っぽくなり
反対返しの意味が
黒光りしだしてくる

大切な
あなたの形見に
苦しくなると
本物のあなたの言葉が
欲しくなる

また、電話します





  『想い人』

今度生まれ変ったら
あのひとと
双子になりたい。

そうしたら
出会う事も、
別れる事も、無いのだから。

誰よりも 最初から
ずっと いっしょに居たい。

取り戻せないほどに
その笑顔を 傷つけるのが

怖かった。





    『遠い人へ』

  生まれ変わる為に
  生きている
  また会う為に。
  生んでくれた人に
  感謝する。
  生んでくれる人を
  繋いでいこう。

  また、会えれば
  それでいい。



『ゆだねる』

いそぎんちゃくの中の おれんじの魚
ためらう事もなく 委ねる愛
私のそれは 何処にあるのだろう





    『ささぶね』

  ささぶね
 ささぶね
流れて いって
彼方の岸へ ついたなら
届けておくれ
花びら ひとつ

美しい光が 跳ねている
さざなみの 入り江
あなたの ほほえみ

もしも たどり着いたなら
どうか、伝えて
今にも風に 舞いそうな
  小さい
    小さい
  花びらを




  
    『 菫 』

春、ひたむきに咲いていた菫は、
夏、花開くことなく
心を閉じて実を結ぶ
想いだけを いだきながら。





  『しくらめん』

  いちずな

  おんなのような

  しくらめんは

  うつむいている

  たおやかな

  ほそい くきのさきに

  じょおねつの ほのお

  ともして




  『はなれゆく きみへ』

心がもしも 砂浜ならば
砂の城も 戯れに掘った穴も
波はすぐに 平らにしてくれる
君はまた 訪れて
足跡を付ける事が できるだろう

もしも 岩場ならば
永い時をかけて
優柔不断な所だけを
削っていったとしたならば
君は 戻ろうとも
足を切るだろう

もしも あの すべすべとした
乾く間もない 岩ならば
たとえ 君が溺れようとも
手を掛けることすら
できないだろう

私の心が 分からないなら
どうか 二度と 振り返らないで
              2003/11/ 6



『摩擦』


生じるあたたかさ

軟弱なモノをそぎ落とす厳しさ

物と物の関わりにあるもの

重ねた指の ほどけぬほどに

あなたの心 削る事無く

互いの重さの嵩にならず

一番軽い摩擦の重さ分だけ

寄り添えたら いい

この星に居る限り   2003/12/20




『新雪』

一歩  一歩
呼吸を感じられる
すぐ前をいく あなたの足跡

いつくしむように
確めるように

ひとつ ひとつ 
出来立ての 足跡を歩く

  雪を踏む音  

     息をする音

ただそれだけの 白い世界を
歩き始めたばかりの
ふたり  
2003/12/21



『プライベート・ムーン』

君を 心で痛まなくなった

想い出は もう 辿らないよ

恋はある日 引力を失い

大気圏の外へ 離れて

近くて遠い 星になった

だから

微笑を 取り戻しておくれ

わづかに 血潮 手繰られるままに

君のしあわせ 夜空に 祈ろう
    2004/1/21



『おやすみ』

夜の静寂に 君が生む波

闇をあやしす暖かな寝息

凪いだ時間で 夜を満たしていく 
       2005/1/14



    『welcome』

あの人からのさよならの手紙
白いヤギが 食べました

出せなかった僕の手紙
黒いヤギが 食べました

賞味期限の切れた夢
しましまバクが 食べました

ぼくのこころ 食べたのはきみ?

まあるく窓をくり抜いて
ぼくの真ん中で座ってる

片付き始めたぼくのこころ
小さな窓  きみが灯る

   2005/3/13