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ビクトリア・ムローヴァ

 暑苦しくなってくるととても交響曲の様な込み入ったものは聴く気にならなくなって、そういう時によく聴くのがバイオリニストのビクトリア・ムローヴァが吹き込んだモーツァルトの協奏曲集である。曲そのものも涼しげな感じなのだが、指揮と独奏と両方をこなしたムローヴァの演奏がまたきりっとしていて、どんよりした空気を払い除けるが如くなのである。

 特に管弦楽の部分の素晴らしさは際立っていると思う。オーケストラが古楽器で編成されているという事情を勘案して、この演奏に於ける様な明澄さを得たムローヴァの指揮は、結構褒められて良いのではないか、と密かに思ったのである。

 このCDを手に入れた年だったと思うが、ムローヴァはこのCDと同じ曲目と同じオーケストラを引っ提げて来日した。
 演奏会には行かなかったが非常に関心はあった。後に或るホームページにその公演を聴いた人の感想が載っていたので、早速読んでみた。その人も僕と同じCDを聴いて、相当期待して聴きにいったそうだ。ところが指揮者としてのムローヴァは散々だったという。従って演奏会全体も余り芳しくなかったらしい。

 僕はそれを読んで、何だか笑ってしまった。ひょっとしないでもCDの方はオーケストラのお手柄だったのだろうか。

 モーツァルトには五曲バイオリン協奏曲があり、内三曲だけをムローヴァは吹き込んだ。指揮に関して嫌疑が持たれようがなにしようが、僕は残りの二曲も弾き振りで録音して完結させて欲しいと思っている。実演はとも角CDでここまで聴かせてくれるのなら、それはそれで良いと思うのである。

(Tsusei, 2 August 2005)

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裏白