Free Pad

段々悪くなる

 ここのところピアノがひどい。相変わらず指は捌けないし響きは悪いし、ついでにピアノ自身も少し音がよれてきて、特に二つ下のファの音がどうも怪しくなってきた。調律から大分経ったからこれは仕様がないが、指捌きの方はピアノ演奏の根幹に係る話だから仕様がないでは済ませられない。

 実は8月の中旬から基礎的な技術を養成するのにいわゆるハノンを始めた。ハノンとはピアノを弾く為の指を作る殆どのピアノ愛好家がそのキャリアの始めに必ず取り組む練習曲集の通称である。
 ハノンはその練習曲を作った音楽家の名前だが、ハノンと言えば両手で同じ音型を弾く単調な練習でお馴染みの「あれ」である事は、ピアノを弾く人は誰でも知っていると同時に、それ以外のハノンは殆ど知られていない。従ってハノンというだけ何を言わんとしているか、同好には通じるのだ。
 そのハノンを、この歳で始めた。僕がハノンを弾くのは今回が始めてなのだ。レッスンを受けていた時も遂にハノンだけはやらなかったから、正真正銘初ハノンだったのである。

 それもこれもとにかく指が動かないからなのだ。そうまでして動かしたい指なのに、このハノンを以ってしても現状は下降曲線だ。寧ろ余計に強張ってコントロールが利かなくなって、詰まり段々悪くなっている。
 弾けば弾く程弾くのが嫌になる。これが独習の限界か、という様な調子である。

(Tsusei, 3 November 2007)

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裏白