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張り手
以前は相撲で張り手なんか一場所で数えるくらいしかなくて、然もそんな荒業を繰り出すのは大体決まった人―例えば貴闘力とか朝乃若とか、もっと遡ると逆鉾も張り差しから両(もろ)差しということがあったと記憶するが、それだって滅多に見られるものではなかった筈である。
というか猫も杓子も張り差しの時代である。一番困るのは番付の一番上にいる横綱が毎日張り差しなんかしているところだ。一つのスタイルであるとは思うが、元々張り差しというのは奇襲戦法ではないか。敢えて言えば下位の者が上位の者と当たる時に一発逆転を狙って、個人的な人間関係をも犠牲にしてでも白星をもぎ取ろうとする場合に究極的な選択として採られるものであるべきだと思う。
張り差しで勝てるという印象が力士の間に広まってしまったのだから仕方ない部分はあるが、せめて横綱は立場上張り差し封印位のことをして頂きたい。でなければ今後も張り差しの時代は続いてしまう。それは立ち合いの面白味が減ってしまうということでもあると思う。相撲で立ち合いとはマグロで言えばトロであって、だから由々しき事態だろう。 (Tsusei, 20 March 2008)
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