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ベテラン力士

 この間大相撲の中継を見ていて「おっ」と思ったのは若の里と魁皇、二人のベテラン力士である。若の里はまだ30を少し越えたところだから魁皇と並べてベテラン力士と括るにはかわいそうな所だが、しかしこの二人は仕切りの時の基本動作に目を見張るものがあったのである。

 先ず若の里は股割りが素晴らしかった。左右の膝が殆ど水平になる程に開いて蹲踞から立ち上がる姿勢が美しい。それから魁皇は四股である。上げた片足を一度静止させてから踏み込むメリハリの利いた力強い四股は、最強の横綱朝青龍や新横綱白鵬でも必ずしもしないところである。

 というか若の里や魁皇は、そうした相撲の基礎運動の中に基本の美しさを本能的に感じているのではないかと思う。この二人の力士に相撲の強固な「型」を見る気がするのである。
 この二人は怪我が多いことでも知られている。魁皇は腰痛のせいで大関で史上最多の角番を経験しているし、若の里も膝の怪我で散々苦労してきたと記憶する。そうした身体の痛みと付き合う中で、或いは最も負担が無くそれでいて稽古になる運動を模索する内、基本中の基本、余計な部分が削ぎ落とされた姿勢、いわゆる「型」に近付いていったのではないか。
 もう一つ二人に共通するとすれば、何れは大関横綱と目されてきた―今でも目されていることではないか。多分この基本の充実が、見る人をそういう気にさせるのだろう。そして実際魁皇に関して言えば、通算の勝利数が大相撲史上の歴史的な記録になっているのである。

 怪我が多くても長く続けているのには基本という裏付けがあったからとも言える。幕内にはもう一人、北桜という関取がいてこちらは魁皇より更に一つ年長だ。北桜の仕切りは気迫溢れるものでそれに圧されて基本動作の形まで良く見ていなかったが、長く相撲を取れているということは若の里や魁皇と同じ辺りに良さがあるのかも知れない。今度良く見ておきたいと思う。

(Tsusei, 20 July 2007)

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裏白