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ブラームスを転落さす危機の回避

 イギリス出身の指揮者ロジャー・ノリントンさんがブラームスの交響曲全集を出す、という宣伝を見て、すっかり舞い上がってしまった。
 ノリントンさんは現今の指揮者の中では非常に僕の趣味に合う演奏をしてくれる人で、確か昨年ブラームスの交響曲を全曲演奏会で採り上げたという事が伝わっていたから、ぼちぼち録音が出るのではないかと思っていた。過去そういうスケジュールでベートーベンやメンデルスゾーン、シューマン等がCDになってきたからである。

 そしてこの度めでたくブラームスもリリース決定となった訳だが、考えてみると僕はもうブラームスの交響曲なら浴びる程聴いて、それどころかそれ以外の作品に割く時間が殆ど無いくらい、しつこくしつこく同じ曲ばっかり聴き直しているのである。
 なるべく違う曲を、と思っても、一箇月位すると戻っていってしまう。自分でも不思議なのだが余程居心地が良いらしい。

 ただ悪い事にブラームスの交響曲は四曲しかない。だからたった四曲の中を行ったり来たりして、もう5年にも6年にもなってしまった。

 相当の偏執狂だと自分でも呆れるばかりだし、そこからせいぜい正しい内容くらいは見出したかというと、そういうことも無さそうだ。少なくとも世間的な常識的な線から大分遠いところで僕はブラームスを捉えてしまっている。幾ら聴いたところで結局聴き方の入口が歪んでしまっているからだろう。

 そんな調子だから最近は怖くてCDも買わない。CD屋さんで気が付くとブラームスの棚の前を漂っている。非常に危険だ。また同じ曲を買って、聴いて、間違いを増幅してしまう。
 そこへ来てノリントンさんのブラームスなんかちらつかされたら敵わない。救いはDVDであることで、幸い僕はそれを再生する為のハードを持たないから、今回はブラームスを更なる深い闇に突き落とす危機を回避したと思う。

(Tsusei, 09 July 2006)

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裏白