Free Pad

近所のピアノの話

 僕がピアノを再開する以前から時々うちの近所でピアノの音がしていた。結構弾ける人らしくて、指もくるくる回る。あんなに弾けたらさぞかし気持ち良いだろうと思っていると、今度は小学校の校歌を弾き出した。誰かと思っていたのだが、下の方の何某さんちのお孫さんだそうだ。時々なのはお孫さんが遊びに来た時だけ弾くからということなのだった。
 ピアノが上手いから伴奏を頼まれたのかもしれない。おーかにのーびーゆく、わーれらはつーよーい―思わず口ずさんでしまうのは僕の通った小学校の校歌でもあるからだ。

 この間のお昼、車で出掛けようと思ってうちのある住宅街の中の細いT字路を折れようと思ったら、その突き当たりの家からピアノの音が聞こえてきた。然も随分な大曲の様だ。これはドビュッシーだったか、聴き憶えはあるが曲名が出てこない。思わず車を停めて聴き入ってしまったが、先を急ぐのでまた走り出した。

 みんな、全然違う。やっぱり若い頃の蓄積の差は圧倒的だ。最近チェルニーの30番練習曲も一向上達せず15に留め置き状態で、鬱屈しているところへそんなもの聴かされると益々屈折する。
 しかしこればっかりは今更どう仕様もないから、諦めて今日もチェルニーの15を弾く。楽しく弾いてはいるものの、もうひと月近く経つ筈なのに相変わらず完璧に弾けないのは最早、ご愛嬌ということにしておこう。

(Tsusei, 28 June 2007)

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追記)
 その後、T字路の突き当りから聴こえてきたピアノ曲が判ったのでご報告申し上げたい。リストの「三つの演奏会用練習曲」から第3番だった。ハンガリー出身のピアニスト、アニー・フィッシャーのCDに入っていた。調べてみたら「ため息」という名前付きの結構有名な曲だったらしい。

(Tsusei, 30 June 2007)

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裏白