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井上喜惟 まだ毎日新聞のクラシック音楽情報の別冊「モストリー・クラシック」がタブロイド版で無料だった頃、未来の有望演奏家を特集した記事があった。そこに載っていた井上喜惟の名前に反応したのは、その少し前にこの指揮者の名前を見掛けていたからだ。ピアニストの舘野泉さんが吹き込んだブラームスのピアノ協奏曲のCDが新譜として出て、そこに共演者としてクレジットされていたのだ。
井上を推していたのは評論家だった。相当な力の入れようで、その音楽がオットー・クレンペラーに通じるものがある、という様な事が熱く書かれていた。
ライナーノーツで舘野さんもこの若い指揮者を随分褒めていた。余白には同じブラームスの「大学祝典序曲」という純粋に管弦楽の為の作品が入っていて、これは舘野さんが井上のプロモーション用に「スペース」を与えたのかもしれなかった。 それがもう何年も前の話だ。先日井上指揮ジャパン・シンフォニア演奏のベートーベン「第三交響曲」というCDが新譜としてカタログに載っていて、何だか懐かしい気がした。ブラームスのCDも長いこと聴いていないが、また何かの折に聴いてみれば、少し違った感興があるかもしれない。 (Tsusei, 28 July 2005)
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