読んだ本の紹介
戦国もの

 

戦国ものの小説も好きなので、読んだ本の紹介をしたいと思います。
小さいころから伝記として読んでいましたが、中学のときに信長の野望をやって、はまりました。
昔読んだ本は忘れてしまったので、これから読んだ本をどんどん増やして、紹介していきたいと思います。

書籍名       著者    出版社  
戦鬼たちの海 織田水軍の将・九鬼嘉隆 白石一郎文春文庫
戦鬼たちの海 織田水軍の将・九鬼嘉隆icon

白石一郎さんの、海賊から大名まで成り上がった九鬼嘉隆について書いた「戦鬼たちの海 織田水軍の将・九鬼嘉隆」を読みました。

この本では、九鬼嘉隆がまだ10代で志摩の国でくすぶっているところから、関ヶ原の戦いの後、自害して果てるまでを描いています。

元々九鬼氏は志摩地方の出身ではなく、紀伊の九鬼浦の出身だそうで、先祖が志摩地方に侵略したことをまだ志摩地方では根に持っていて、嘉隆の時代でも四面楚歌の状態となっています。

そこに救世主のごとく現れたのが織田信長で、志摩地方を追われた九鬼嘉隆は織田信長の下に馳せ参じて、滝川一益の仲介もあり、家臣になることに成功します。

そこから信長に仕える時代は、他の武将と同様に忙しいながらも、充実した日々を送ったようです。

九鬼嘉隆といえば、本願寺との戦いの石山合戦で、毛利水軍を鉄甲船で破った戦いが有名ですが、水軍としての戦いだけでなく、滝川一益の寄騎として、あちこちの戦に参加をしていたとは知りませんでした。

思えば、九鬼嘉隆の全盛期は織田信長の下で織田水軍を充実させていた時代のようですね。本能寺の変で織田信長が倒れた後は、呆然として動くことができなかったとありますが、九鬼嘉隆のような武将が普通であり、その様子がよく伝わってきました。

逆にいえば、すぐに動くことのできた秀吉がすごいともいえるのですが。(陰謀説はおいておいたとしても。)

今まで水軍に関する本を読んだことはないですが、船合戦の様子や鉄砲、長鉄砲を使う戦いなど、陸戦とは違う戦いの様子が非常に面白かったです。
艦砲射撃により、城攻めをしたり、水軍として水夫の編成をしたりと、一風変わった内容で非常に楽しめました。

お勧め度は★★★★★です。

戦国の鳳 お市の方 鈴木 輝一郎河出書房新社
戦国の凰お市の方

鈴木輝一郎さんの、織田信長の妹であり浅井長政、柴田勝家の正室であったお市の方について書いた「戦国の鳳 お市の方」を読みました。

この本では、お市が10歳で織田信行の謀反が起きたくらいから、北の庄で柴田勝家で共に果てるまでを描いています。

全般的に、信長はお市のことを大事に思っており、しかも政治力の高さや度胸なども高く評価しています。この本では、浅井長政に嫁入りする前に、柴田勝家の内縁として過ごしているのですが、それも信長の愛情とも思わせるような、配慮がありました。

お市の初恋の相手が柴田勝家で、柴田勝家も先妻をなくした後は、ずっと独り身で過ごし、お市を迎えるという感じで、本能寺の変のあと、柴田勝家に正式に嫁入りするわけですが、そこで本懐を遂げる、というように仕上げられています。

著者は多くの本で、「親がなくても子は育つが、子がなければ親は育たない」ということを述べているのですが、この言葉は全くその通りだと思い、好きな言葉の一つとなっています。

この本では、信長がお市に語るところで、「今日が今までの人生でいちばん老人、明日はこれからの人生でいちばん若い」と話しているのですが、時間は流れており、その流れに乗ることが大事という考えがよく出ていて、忙しい人生を過ごした信長にはぴったりの言葉だと思いました。

ところで、信長が朝倉攻めをしたときに、お市が浅井長政の裏切りを信長に伝えたというエピソード(袋の両端を縛った小豆袋を送り、挟み撃ちにあうことを知らせた)がありますが、この本では、むしろ、迷う長政に信長を襲わせた、としています。

浅井長政との関係からしても、このときは完全に浅井家の人間になっていた、という方が自分にはしっくり来るので、そういう意味では共感できる内容でした。

浅井家が滅んだ後に、織田信包に預けられて、その時期のことが少し描かれていますが、そこそこの武将であった信包のことが少し知れてよかったです。

お勧め度は★★★★★です。

幽斎玄旨佐藤雅美岩波書店
幽斎玄旨 (文春文庫)

佐藤雅美さんの、幕臣であり、信長から家康まで厚遇を受けた細川幽斎(藤孝)を描いた「幽斎玄旨」を読みました。

この本では、足利義輝が討たれた後から、田辺城の籠城のあと、関ヶ原の戦いが終わった後までを描いています。

細川幽斎の本だと、本能寺の変が朝廷陰謀説により行われた、というのが多いですが、この本では、足利義昭から疎まれたり、裏切り者扱いされたり、本能寺の変においては明智光秀がなぜ裏切ったのかを類推したり、と終始逆の立場で書かれています。

特に、羽柴秀吉のことを非常に高く評価しており、それだからこそ、光秀の計画が破綻することも看破できて、秀吉に恩を売ることに成功しております。

一方、秀吉の時代になると、千利休とともに厚遇されますが、常に傲慢にならずにいたところが、利休との違いで、前野将右衛門にも「過ぎたるは及ばざるがごとし」と忠告をするなど、出過ぎないように配慮をしています。

この本の幽斎はイメージ通りで、教養もあり、また非常に視野が広いので、よく他家の様子が見えている、という印象があります。
秀吉の死後など、家康に細川忠興が信用されていないときに、前田利家に和睦を勧めさせて、信用を勝ち取るなど、策謀という点でも抜群です。

そして、有名な田辺城の籠城ですが、あまり詳しくは語られていないです。ただ、他の本よりも三成の細川家憎しというのが強調されています。
最後、忠興と再会するシーンでは、割と仲が悪いと語られる親子関係が多い中、忠興が涙するところが、非常に印象的でした。

お勧め度は★★★★★です。

続 鉄砲無頼記津本陽実業之日本社
続・鉄砲無頼記

津本陽さんの、根来衆で鉄砲名人である津田監物について書いた「続 鉄砲無頼記」を読みました。この本は、「鉄砲無頼伝」の続編です。

この本では、前作の最後から津田監物の最後の戦いである鉄甲船による毛利との戦いまでを描いています。

三好勢との戦いの後、織田信長に雇われて、尾張に行くことになります。
ようやく、織田信長の登場です。

織田信長は鉄砲の価値を知っているため、根来衆を金に糸目をつけずに雇う形になります。
一方、津田監物も織田信長の鉄砲に対する探究心や政策などに心酔し、次第に双方で互いに信頼するようになります。

津田監物は墨俣の砦を作る際の戦いや、金ヶ崎の退き口などで活躍を見せる一方、織田軍の鉄砲衆を鍛えるなど、織田信長とともに晩年を過ごします。

で、最後は鉄甲船の必要性を説き、毛利水軍と対決するところで話が終わります。

鉄砲と言っても、単なる火縄銃だけかと思っていましたが、もう少し大きい口径の鉄砲なども使用し、鉄の盾を撃ち飛ばし、その後でつるべ撃ちをするなど、多彩な攻撃をしていた、というのが、いかにも鉄砲巧者の根来衆ですね。

しかも、300人の根来衆を50人×6組に分けて、つるべ撃ちをしたり、大軍に対しては一斉射撃をしたりと、根来衆の強みは射撃の正確さもありますが、機動力にあるのでは、と思ってしまうような、活躍ぶりをこの本では見せてくれます。

ちなみに、文庫版では「信長の傭兵」というタイトルになっているそうです。

お勧め度は★★★★★です。

鉄砲無頼伝津本陽実業之日本社
鉄砲無頼伝 (角川文庫)

津本陽さんの、根来衆の鉄砲名人である津田監物について書いた「鉄砲無頼伝」を読みました。

この本では、津田監物が種子島に赴き、鉄砲を入手し、三好勢に加勢しあちこち転戦するところ、最後は安見直正に従って、三好勢と戦う場面までを描いています。

ここでは津田監物は楠木流忍術を会得していて、鉄砲を入手する前から、ひとかどならぬ武将?僧兵?として描かれています。
種子島に鉄砲が伝来されると、大金を持って、種子島時尭から鉄砲を買い付けます。
同時に、鉄砲の構造も学び、根来で鉄砲を製造させて、後の鉄砲集団根来衆が誕生することになります。

一方、自らも射撃の方法を伝授してもらったので、それを根来で教育し、自らは根来衆を率いて、最初は足利義輝、その後、三好長慶と共に、傭兵として戦に明け暮れます。

僧兵としては、根来衆よりも雑賀衆の方が有名かもしれませんが、鉄砲を始めに使ったのは根来衆です。
根来衆と雑賀衆を比べると、雑賀衆は浄土真宗を信じ、一向一揆に参加するときは、単なる傭兵って感じではないですが、根来衆は傭兵に徹してるって感じです。

この本ではまだ信長が登場してこないですが、三好勢や松永勢と共に、無敵の鉄砲集団として活躍するところがいっぱい出てきます。
ただ、傭兵はその場でお金をもらうので、その後、根来に帰るときに、根来衆300名であっても、野盗の集団数千名に襲われてしまう、というとこも、当時の野盗の恐ろしさというところでしょうか。

また、言葉が関西弁?のような言葉で、微妙に意味が分からないところがありましたが、話の展開がよいので、非常に読みやすかったです。

続編もあるようなので、続いて読みたいと思います。

お勧め度は★★★★★です。

一乗谷炎上 信長と朝倉義景井ノ部康之幻冬舎
一乗谷炎上―信長と朝倉義景

井ノ部康之さんの、朝倉義景の一生について書いた「一乗谷炎上 信長と朝倉義景」を読みました。

この本では、朝倉義景が家督を相続してから、朝倉家十七か条をもとに、国を治める様子と、足利義昭を奉じて上洛を決心し天下を目指すものの、結局は一乗谷に引きこもる様子が描かれています。

従兄弟にあたる朝倉景鏡は小さい頃から義景と共に成長してきましたが、この本では若かりし頃から、義景の頼りないところなどを苦々しく思い、最後にそれが爆発したのかな、と思わずにはいられない様子が分かります。

朝倉家といえば、生きる時代を間違えた武将である朝倉義景と、連戦連勝を重ねた朝倉宗滴が有名かと思います。

朝倉宗滴はずっと戦場で当主の代わりに戦ってきたこともあり、朝倉義景は自ら出陣するという考えがあまりなかったようです。朝倉宗滴は出陣を促したかったが、結局できずに終わり、生涯を閉じてしまいます。

代々、朝倉宗滴におんぶに抱っこだったため、後継者がいなかったことも没落の原因の一つかなと思います。

本によっては、朝倉軍の強さが描かれることもあるのですが、この本ではその辺りは全く伝わりませんでしたので、残念です。

お勧め度は★★★☆☆です。

関ヶ原連判状安部龍太郎新潮社

安部龍太郎さんの、関ヶ原の戦い前夜における細川幽斎の策略について書いた「関ヶ原連判状」を読みました。

この本では、石田三成の西軍と徳川家康の東軍が形成される中、独自の第3の勢力を作ろうと画策した細川幽斎の策略と、細川幽斎が籠城した田辺城の戦いなどが書かれています。

前作、「信長燃ゆ」で、近衛前久と細川幽斎が中心となって信長を打倒するところを描きましたが、そこで出てきた、信長を討つという連判状があり、そこには羽柴秀吉の名も出てくるのですが、結局裏切った形で、明智光秀を討ち、天下をとりました。 まさに、その秀吉が生涯後悔をしたという、連判状をめぐり、石田三成や公家も巻き込んだ大騒動が非常に面白く書かれています。

この作品は、「神々に告ぐ」「信長燃ゆ」との戦国三部作の第3作となっています。

この本では、古今伝授という古今和歌集を伝授することの継承者である細川幽斎がそれを逆手に、朝廷の権威を復活させようと画策しようとします。
もちろん、その策略は子であり、仲の良くない細川忠興は知りません。

で、さらに連判状を元に、前田家とつるんで、第3の勢力を作り上げようという、壮大な計画に、石田三成と蒲生源兵衛(郷舎)が豊臣家の権威を守るために連判状を取り返そうと、戦いを広げます。

蒲生源兵衛は関ヶ原の戦いで活躍しますが、この連判状を奪うために、この本では結構活躍します。
そして、田辺城の籠城についてもこの蒲生源兵衛が出てきたり、前田家を引き込むために、前田家の内情なども出てきたりして、なかなか興味深い内容でした。

で、最後はこのシリーズである公家との関わりが出てきますが、石田三成が織田信長の後の天下布武を目指した、ということで、割と好感の持てる武将として描かれているのが印象的でした。

お勧め度は★★★★★です。

天下布武 夢どの与一郎安部龍太郎角川書店

安部龍太郎さんの、細川与一郎(忠興)を描いた「天下布武 夢どの与一郎」を読みました。

この本では、本能寺の変の前後にしぼって、信長の小姓であり、明智光秀の娘婿である細川与一郎について、描かれています。

本能寺の変はいろいろな説がありますが、この本では基本的に朝廷陰謀説を採っています。が、それだけでなく、その背景にはポルトガルやイスパニアなどの大航海時代の争いなども絡んできて、非常に面白くできています。

他に、信長の小姓として、仙見万千代や荒木新八郎(村重の庶子)が親友として登場し、特に、荒木村重が信長に背いた、有岡城の戦いなどは詳しく描かれています。

この本では、信長の小姓時代に武芸大会で優勝し、信長の養女となっていたお玉(明智光秀の娘)を妻に娶るところから、始まります。

その後、有岡城の戦いなどを経て、本能寺の変にぶつかります。この前後から、朝廷が暗躍していることや、信長とイエズス会の関係の悪化(決裂)、そもそもイエズス会の本国であるポルトガルやイスパニアに併合されてしまう、なんてことも、あったりして、それこそ壮大な陰謀と化しています。

また、朝廷陰謀説には大体秀吉が本能寺の変を知っていた、とありますが、ここでもそうで、秀吉が裏切って、明智光秀を討つわけですが、その背景にもイエズス会が絡んできたり、と、非常に面白いです。

ただ、気になるのが、秀吉が明国出兵の密約をイスパニアと結んでいた、とこの本では書かれているのですが、であれば、朝鮮出兵の際に、ガレオン船の支援を得ることができ、制海権を制することは容易だったと思われます。

実際にはそのようになっていないので、ちょっとその説には無理があるかなと思いました。

とはいえ、非常に密度の濃い内容で、お勧めできる本です。

お勧め度は★★★★★です。

若獅子家康高橋直樹講談社
若獅子家康

高橋直樹さんの、松平家の悲劇と松平元信(家康)の若年期を描いた「若獅子家康」を読みました。

この本では、今川家に保護されていた元信が本拠のある三河に里帰りをした際の話とその時に語られた、松平家の血塗られた過去について、描かれています。

とはいえ、ほとんどが元信についての話ではなく、4代前の松平長親から父広忠までの松平家の歴史についてが多く、それを踏まえて、現在命を狙われる元信の話へと、話が広がっていきます。

そういう意味では、元信が家督を継いだとはいえ、今川義元の保護下にあり、松平家がいかに弱い立場であったが、この話を通じて、感じることができました。

この本では、松平家に関わる人物が三河に帰省した元信に松平家の歴史を聞かせる形で、話が進んでいきます。

この松平家の歴史で見えない部分を著者がうまく補完しているので、よりドロドロな感じがうまく出ていて、面白いです。

また、この闇が松平元信にも押し寄せてきて、今までの話の伏線が全て最後につながってきている感じで、非常にスリリングな話になっています。
もちろん、元信が死ぬことはないのですが、影武者家康なんてのもあるので、最後はどうなるかっ!と、思ってしまいました。

元信が若くして信長の信頼を勝ち得るほどの武将に成長した背景には、こんなことがあったのかも、と思いたくなるような感じがして、非常に面白かったです。

お勧め度は★★★★★です。

信長燃ゆ安部龍太郎新潮社

安部龍太郎さんの、織田信長の本能寺の変について書いた「信長燃ゆ」を読みました。

この本では、信長の小姓だった「たわけの清麿」が江戸時代になって本能寺の変の謀略について振り返る、という形で本能寺の変の1年前から本能寺の変までを描いています。

前作の「神々に告ぐ」で近衛前久の活躍が描かれていましたが、その後の信長との対立については書かれておらず、三部作と言いながら、直接的な話のつながりはありません。
この物語では、表面上は蜜月関係となった前久と信長で話がスタートしますが、信長を裏切る形で、公家特有の謀略を張り巡らす前久、その周りの人たちについて、書かれており、非常に密度が濃いです。

「神々に告ぐ」「関ヶ原連判状」との戦国三部作の第2作で、いずれも、この時代の公家の役割と武家との関係が良く描かれています。

この本では「たわけの清麿」なる信長の小姓が本能寺の変を生き延びた森坊丸に話を聞きながら振り返るのですが、この清麿というのは近衛家の門流で公家の道に嫌気が差し、武士になったという過去があります。
そんな清麿がまさに本家である近衛前久の陰謀について明かしていきます。

信長は帝を軽視しているわけではなく、それを取り巻く旧体質の朝廷というものを取り壊さなければ、海外に太刀打ちできない、と思っています。そのためにも、今まで誰も触れなかった公家や寺社などにも敵対感を持っていた、というのは共感できる内容です。

それでも、近衛前久は公家らしく自分を隠しながら、信長と接し、なんとか朝廷を守ろうとします。しかし、やはりその上を行こうとする信長に対して、謀略を張り巡らし、本能寺の変を演出することになります。
ということで、本能寺の変は「朝廷陰謀説」というのを採用し、というか、もろに陰謀って感じで、ちょっと信長が可愛そうになるくらいです。

いかんせん朝廷の人がよく分からなかったり、また和歌がよく出てきたりと、自分にとっては難しいところもありました。 が、話は非常に面白くどんどん読めてしまうというのが、この本のよいところだと思います。

お勧め度は★★★★☆です。

神々に告ぐ安部龍太郎角川書店
戦国秘譚 神々に告ぐ〈上〉 (角川文庫) 戦国秘譚 神々に告ぐ〈下〉 (角川文庫)

安部龍太郎さんの、戦国時代に朝廷を守ろうと奮闘した左大臣・近衛前嗣について書いた「神々に告ぐ」を読みました。

この本では、後奈良天皇の信頼が厚かった五摂家筆頭近衛家の当主であり、若干19歳で関白になった近衛前嗣が三好長慶や松永久秀を相手に、朝廷の権威を守ろうと奮闘し、正親町天皇の即位の礼を実現するまでを描いています。

戦国武将と朝廷や公家の関わりを表すような本は少ないです。ただ、当時の公家はお金がなかったので、下向して戦国大名のお世話になっている人も多いです。そのため、いろいろな本に公家の名前は登場します。
この本ではそれこそ、山のように公家の名前が出てきますので、いろいろと勉強になります。

また、この本は「信長燃ゆ」「関ヶ原連判状」と続く、戦国三部作の第1弾となっております。

時代的には、後奈良天皇の崩御後で、足利義輝が朽木谷に逃げていて、都を三好長慶が制圧しているところです。近衛前嗣は足利義輝と従兄弟であり、共に、幕府と朝廷の権威を守ろうと、策略と時には行動を起こします。

それに立ちはだかるのが、時の実質的な権力者であり、既成の世の中を壊して新しい世の中にしようとしていた松永久秀です。この久秀と前嗣の知恵比べがなかなか面白いです。

ただ、本のタイトルにもありますが、当時の朝廷では「神」ということに関わり深く、お祈りや縁起、呪いなども登場し、朝廷のしきたりもいっぱい出てきますので、分からないことが多く、読むのは結構大変でした。

近衛前嗣とまだ尾張一国を制したばかりの織田信長は朝廷に対する考え方は全く正反対ながら、俗に言う「馬が合う」間柄であり、今後の展開も楽しみです。

お勧め度は★★★★☆です。

父は信長新井政美講談社
父は信長

新井政美さんの、織田信長の嫡男である織田信忠について書いた「父は信長」を読みました。

この本では、織田信忠が父信長の考えが理解できず、葛藤する中、徐々に成長し、最後、二条御所で討死するまでが描かれています。

織田信忠について書いた本ってなかなかないです。信長と比べるのはかわいそうですが、美濃と尾張を無難に治めていますし、武田攻めや松永久秀攻めで武功を上げたりしていますので、ひとかどの武将であったと思われます。

この本は信忠を中心に書いていますが、幼馴染である鎌田新介や徳川家康の嫡男である信康、そしてその信康の妻であり信忠の妹である五徳などもよく出てきます。
多少、歴史的事実と違う点もありますが、作者も述べているように、信忠に対する思い入れで書いている部分もあるので、読んでいて、あまり気にならなかったです。

むしろ、この本に出てくるような会話がされていたり、そのような活躍がされたりしていたら、いいなって思えました。

中でも、本能寺の変の前になって、ようやく親子の会話ができるようになり、父の考えを教えてもらったりと、良好な関係になるところや、家康の安土城での歓待のあと、明智光秀から相談があったとき、父は光秀に期待しているなどと慰めてあげたり、なんてところが印象的でした。

あと、二条御所の戦いで、桶狭間の戦いで有名な毛利新左衛門(新助)の奮闘振りなどは、最後は分かっていても、まだ頑張る、まだ頑張るって感じで読んでいて力が入りました。

本能寺の変があったとき、なぜ逃げなかった?ということがありますが、この本では信長を見習い、とにかく首を取られないようにしています。
脱出して見つかったときのリスク、しかも相手は抜かりのない光秀である、ということからも、前田玄以が脱出できたので、逃げなかったのは愚策という考えはいまいちだと思います。
逃げられない以上、首を取らせないように奮闘したことがむしろ信忠の評価をあげたように思えます。

お勧め度は★★★★★です。

荒木村重 命惜しゅうて候黒部亨PHP文庫
荒木村重―命惜しゅうて候 (PHP文庫)

黒部亨さんの、織田信長に謀反を起こした武将としても有名、茶人としても有名な荒木村重について書いた「荒木村重 命惜しゅうて候」を読みました。

この本では、荒木村重が摂津の池田勝正の侍大将という時代から、秀吉のお伽衆として生きることになったところまで描かれています。

荒木村重は利休七哲の一人として数えられるほど茶人で数奇者としても知られています。そのため、今井宗久や津田宗及、千宗易などの茶人との交流や、多くの茶道具が登場し、同じように茶道具のために戦ったとも思える松永久秀と重なる部分もあったりして、面白いです。

この荒木村重といえば、織田信長の信頼も厚く、厚遇されていたにも関わらず、謀反を起こしたことや、有岡城で籠城するも妻子部下を見捨てて、城を抜け出したこと、そして有岡城が落城した際に、妻子郎党が処刑されるのを見殺しにしたことで有名です。

この本でその辺りのことがどう書かれているかが興味ありました。信長に謀反したことは松永久秀と同じで残虐性に耐えられなくなったとか、信長の側近に讒言されたなど、様々な説があります。
ここでも同じような説が採られていますが、しきりに本願寺や毛利の援軍を当てにしている、というのが気になりました。

この時期、かなり追い込まれている本願寺や、海路があるとはいえ遠く離れた摂津まで毛利が援軍を出してくれる、などとということを村重ほどの武将が信じていた、というのは考えにくいかなと思いました。

むしろ、松永久秀のように茶道具を没収されたくない、とか、もう残虐だから嫌だ、というような理由の方が合ってるかなと思いました。

ま、謀反を起こすのはよいとしても、なぜ有岡城が落城したときに自ら犠牲にして、籠城していた人たちを助けなかったのか? これに対する回答はいまいちな感じです。
その後の生き延びる人生に対する理由というのも同様です。。

と、晩年の内容はともかく、茶に対する考えや細川藤孝との確執など、茶という視点からの話は面白いと思いました。

お勧め度は★★★★★です。

覇商の門火坂雅志祥伝社

火坂雅志さんの商人として成り上がった男である今井宗久について書いた「覇商の門」を読みました。

この本では、今井宗久が大和今井町から堺へ出て、そこから商人としてのし上がっていき、最後は織田信長共に天下を目指すさまが書かれています。
もちろん、天下とは天下一の商人という意味です。

今井宗久は商人としてだけでなく、茶人としても有名です。ただ、同時期に活躍した千宗易や津田宗及とは違い、宗久は茶を社交の道具としてしか見ていませんでした。
それでも、茶自体に心の拠り所を持っていたようにも見えます。

ここでは、既定の世の中を打破する人として、松永久秀、織田信長、そしてこの今井宗久が出てきます。
宗久は堺では新興の商人なので、旧体質の老舗商人たちに疎まれます。それでも、実力でどんどんのし上がっていきますが、信長との出会いが正に運命を変えたようですね。
その後、宗久が作った鉄砲と硝煙を大量に信長に調達し、信長と切っても切れない縁になっていきます。

また、宗久は当時もっとも茶に通じていた武野紹鴎の弟子であり、娘婿であったため、茶人の知り合いも多く、茶器の名前などもよく出てきます。信長に献じた茶器や、松永久秀が降伏したときの茶器など、いろいろ出てきて興味深いです。

あと、信長の有名な鉄砲三段構えですが、この本では宗久が生駒攻略の際に用いたことになっています。その後、信長に教えたと。いろんな本で信長に教えたのは俺みたいなことが書いてあり、面白いですね。

お勧め度は★★★★★です。

姫の戦国永井路子文春文庫

永井路子さんの、今川氏親の妻であり、今川氏輝や今川義元の母である寿桂尼について書いた「姫の戦国」を読みました。

この本では、大納言である公家の中御門家の悠姫が駿河に行き、今川氏親亡き後、出家して、寿桂尼として今川氏輝の後見をしながら政治をしきったり、と寿桂尼の立場から、今川3代のことがよく書かれています。

特に、タイトルにもある通り、「姫」に関すること、すなわち、北条家や武田家との縁談やその背景などがよく出ています。

寿桂尼といえば、氏親の亡き後、氏輝が成人するまで政務を取り仕切ったことが有名です。当時、氏親が先駆けて、公的文章に印章を使っていましたが、寿桂尼も嫁入り時に父からもらった印を使って、印判状を発行しました。

それだけでなくて、今川家のいわば法律である「今川仮名目録」の制定にも尽力するなど、女戦国大名の異名を取っていましたが、この小説では「自分がやらなければ、しょうがないじゃないの。」というノリで、やっています。

こうしてみると、今川家って公家っぽいイメージがありましたが、今川仮名目録のような分国法を作って、守護大名から戦国大名に脱却したり、はんこを使って公的文章を発行したりと、かなり先進的であったことがよく分かります。

どうしても、桶狭間の戦いやその後の没落のイメージが強いですが、自分の中ではだいぶ払拭されました。

お勧め度は★★★★★です。

戦国幻野−新・今川記皆川博子講談社
戦国幻野―新・今川記 (講談社文庫)

皆川博子さんの、太原雪斎や今川義元など今川家について書いた「戦国幻野−新・今川記」を読みました。

この本では方菊丸(今川義元)の幼少から桶狭間の戦いを経て、今川家が滅ぶまでを描いています。といっても、今川義元だけでなく、九英承菊こと太原雪斎の生涯、そしてについて今川氏輝が実は双生だったということで、捨てられた方の炸耶様の3人が主人公みたいな感じです。

今川義元といえば、桶狭間の戦いで破れた公家武将、太原雪斎は偉大な軍師として有名ですが、そんな2人の成長がよく描かれています。

その他、この本では村山修験や富士修験という宗教の修験者集団から素波という忍びの集団になる様や、駒井政武や山本道鬼(勘助)などいろんな話がリンクしています。

ただ、前半で修験について詳しく記載されているので、ちょっと冗長な感じもしました。それでも、今川家に深く関わる武田家についても結構載っていますし、それなりに楽しめました。

そういえば、この本では太原雪斎の出生に秘密があり、その視点からの足利家と今川家の関係や、今川義元への想いなどが語られていて、なかなか興味深かったです。

お勧め度は★★★☆☆です。

信長を撃いた男南原幹雄新潮文庫
信長を撃(はじ)いた男

南原幹雄さんの織田信長を狙撃した男として知られる、杉谷善住坊(すぎたに ぜんじゅうぼう)について書いた「信長を撃いた男」を読みました。

杉谷善住坊については、信長を狙撃した、信長はかすり傷しか負わなかった、磯野員昌に捕らえられて、鋸引きの刑になった、ということしか知られていません。

本作では、狙撃を始めるちょっと前から、捕まるまでの空白の3年間について、書かれています。

狙撃を受けた場所は千草峠という場所で、浅井長政が信長を裏切った後、岐阜への退路がふさがれてしまったため、伊勢を経由して帰るときに起きました。

杉谷善住坊は甲賀忍びであり、銃の腕前では並ぶものがないということで、狙撃後もただ逃げ回っているだけでなく、その後も何度か信長を狙撃しています。
そのたびに、信長は偶然逃れているので、信長のことを強運・悪運の持ち主としています。確かに、こんな細かい話ではなく、様々な状況を強運とも言える洞察力で回避していますので、運が強いと言えば強い人ですよね。

一方、杉谷善住坊の追っ手として、武芸に通じた蒲生典膳という男とその部下で蒲生典膳は蒲生氏郷の叔父と設定されています。
その蒲生典膳たちがどんどん追い詰めていくのかと期待しましたが、正直あまり活躍どころがないのがつまらない感じはしました。

追い詰めていくのは結局は信長で、信長に敵対する人が減ると、今まで味方だった甲賀の人たちも徐々に信長に服従し、最後は味方がいなくなってしまうという感じになってしまいました。

とはいえ、六角氏や甲賀の武士についてはあまり知らなかったので、その辺は面白かったです。

お勧め度は★★★★☆です。

本能寺池宮彰一郎角川文庫

池宮彰一郎さんの織田信長について書いた小説「本能寺」を読みました。
この本は織田信長が美濃を取った後くらいから本能寺の変まで描かれているのですが、信長以外では明智光秀のことが多く書かれています。

織田信長はこの時代の常識を覆す天才として扱われていて、それがゆえに秀吉などの部下であっても、その理解に苦しむということが多いようです。特に、指示が短くて簡潔なため、それを汲み取ることのできる人がどんどん登用されたようですね。

また、明智光秀を信長が考える後継者だった、と考えて、本が書かれているため、その場面場面での信長と光秀の心情なども非常に面白いと思いました。

信長の後を継いだのは秀吉ですが、信長がやりたかったことを必ずしも引き継いではおらず、そういう意味でも光秀が後を継いだらどうなったか?という視点も面白いですね。
光秀を後継者に、と考えると、本能寺の変の間際において、数々の光秀に関するエピソードに対する池宮さんの解釈に納得感がありました。

ただ、本能寺の変の原因として書かれているところで、信長が千宗易や近衛前久に将来の構想について語る場面がありますが、これはどうかな、と思いました。今までの話の流れで、信長がこの2人に重要なアイデアを話してしまう、ということはありえないと思います。
この2人がただの茶飲み仲間ではないことくらい、信長には分かっているはずですので。

それよりは純粋に、光秀が信長のように既得権益にしがみつく人間から悪だと思われても、改革を推進する、ということにためらいをみせる、プレッシャーになる、ということの方が本能寺の変の原因に近いかなと思いました。

いずれにしても、随所にみせる池宮さんの解釈には非常に納得感があり、最後まで楽しめました。

お勧め度は★★★★★です。

狂気の父を敬え鈴木輝一郎新潮社
狂気の父を敬え

鈴木輝一郎著作である、織田信長の次男織田信雄について描いた「狂気の父を敬え」を読みました。ここで言う父とは信長のことである。

この本では、織田信雄が伊勢の北畠家の国主(北畠信雄)で、正に養父である北畠具教を殺害する直前から、本能寺の変の後までを描いています。

信雄は暗愚な武将として描かれていることが多いですが、この本では能や狂言などに通じたいわゆる教養のある武将(他に細川藤孝や明智光秀など)として描かれています。また、信雄本人よりも周りで補佐する武将が頼りなく、自ら頼りにしているのは自分(本作では燭台)のみ、要は独り言のみで、苦労している様子が面白いです。

この本では、「主は自分で選ぶもの、父は天が選ぶもの」という言葉がよく出てきます。要は主と仰ぐ武将は自分で選べるが、父は選ぶことができない、という意味です。これは全く考え方の違う織田信長が父であることの苦悩をあらわす言葉として使われています。

あと、織田信雄で有名なのは独力で伊賀に侵攻して敗退し、信長から離縁(親子の縁を切る)寸前まで行ったことと、その後に信長から兵力を借りて、大軍で伊賀を根絶やしにしたことがありますが、この部分は伊賀の忍者も含めて、結構面白く描かれています。

最後に、織田信雄は同じく教養があり、格式を重んじる明智光秀との交流が面白いです。明智光秀が信長にいじめられている理由の解説?やら、父であって欲しいと願う光秀への共感などがあり、光秀に謀反を勧めるところ(結局、光秀は断るものの、勝手に謀反を起こす)なども、斬新で面白かったです。

お勧め度は★★★★★です。

信長が宿敵 本願寺顕如鈴木輝一郎毎日新聞社
信長が宿敵 本願寺顕如

鈴木輝一郎著である浄土真宗の第11代門主である本願寺顕如(本願寺光佐)について描いた「信長が宿敵 本願寺顕如」を読みました。
この本では織田信長に対する人物感や10年にも及んだ石山合戦の内容、そして顕如とその子教如との確執などが描かれています。

戦国時代の本には必ず出てくる一向一揆ですが、その総本山ともいえるのが石山本願寺です。浄土真宗はどんな悪行を犯しても、南無阿弥陀仏を唱えれば、必ず極楽浄土に行けるという教えで、農民や足軽だけでなく、武将の一部も浄土真宗を信仰していたようです。

織田信長の配下も同じで多くの信者がいたようですね。それでも、信長は浄土真宗を禁教とせずにいたため、まともに石山本願寺と戦わない足軽がいっぱいいたため、10年も時間がかかったみたいです。

また、この本では「ふるきもの」(本願寺や足利義昭など)に対して「あたらしきもの」(信長)が対比して描かれています。ようは改革される側と改革する側です。
その中でよく出てくる「ふるいものにはその理由がある」というのは印象的でした。

著者である鈴木輝一郎さんの本は登場人物があまり悪くかかれないですね。足利義昭であっても、信長は悪だが信長を倒しては安定しなくなることを良く分かっている、智将のような感じで描かれています。
そんなこともあり、非常に気持ちよく読むことができるのでお勧めです。

お勧め度は★★★★★です。

樓岸夢一定 −蜂須賀小六佐藤雅美実業之日本社
楼岸夢一定―蜂須賀小六 (講談社文庫)

豊臣秀吉の譜代の筆頭である蜂須賀小六正勝を描いた作品です。樓岸(ろうのきし)は難しい漢字なので、楼岸夢一定として記載されていることも多いようです。
樓岸は石山本願寺の近くにある地名のようで、石山本願寺の戦いで蜂須賀小六が槍一番の活躍を見せ、織田信長に賞賛された場所でもあり、大阪城築城の後、小六の屋敷があった場所でもあります。

蜂須賀小六という名は正勝の父と子と3代で使われているので紛らわしいですが、一般的には正勝が小六として有名なので、ここでも小六として扱います。
小六のイメージで言うと、夜盗あがりの武士というイメージがあるかもしれませんが、この作品では事務処理も無難にこなす理知的なイメージで描かれています。自分のイメージでは軍師というイメージが強かったのですが、軍師として大いに活躍しています。

始めは信長を認めつつも、冷酷さを嫌い、信長の部下になるのは好まなかったみたいですね。この本では結局、秀吉の部下となって信長に仕えていますが、一般的なイメージだと信長の部下であり、秀吉の寄騎という方が強いですね。
でも、あるときから信長を認めて、また信長からも認められた感じですね。逆に、秀吉には最初から好感を持って接していますが、晩年の秀吉の老獪さには嫌気が差して失望し、長年の付き合いがあっても警戒をしていたようですね。
そのことが阿波一国を与えられた時に子の家政に与えられるようにして、自らは隠居して目立たないようにしたことの一因となっているようです。

最後に、弟分の前野長康(将右衛門)にも同じように気をつけろと諭していますが、後に豊臣秀次の事件で切腹することになり、蜂須賀家のように過ごすことはできなかったのが、残念ですね。

お勧め度は★★★★★です。

死して残せよ虎の皮 浅井長政 正伝鈴木輝一郎徳間書店
死して残せよ虎の皮―浅井長政正伝

北近江の戦国大名である浅井長政の生涯を描いた作品で、タイトルの「死して残せよ虎の皮」というのは本の中でよく出てくる言葉です。
この言葉は長政の祖父である浅井亮政の遺言で、虎は死んで皮を残すが、人は名を残す。浅井亮政は大名になったけど、結局六角氏に勝てず、名を残せないので、せめて皮を残そう、という遺言だそうです。

次の久政は平和主義の人なので、よく国を治めましたが、戦は好きでないというタイプです。ただ、部下からはあまり慕われず、国は発展しませんでした。その久政(父)と長政(子)の対比が面白いですね。
また、浅井長政には織田信長が欠かせませんので、信長と長政の対比もよく描かれています。

物語は長政の回想シーンで信長と出会う前の説明があり、その後は小谷城落城までが描かれており、信長を裏切った背景などもなかなか興味深いです。また、非常によい戦術家で近江の兵も強兵、一方、尾張の兵は弱兵で信長は戦い下手、しかし信長は類まれなる戦略家なので、結局はいくさに勝ってしまう、というのがよく出てきて、面白かったです。

印象に残ったのが、言葉の極端に遅れた子供が浅井勢を指揮して、織田勢にけんかに勝ったときの言葉で、「親はなくても子は育つ、が、子がいなければ親は育たない」です。
ほんとにそうですよね。子育てって学ぶことが多いです。

お勧め度は★★★★★です。

軍師 竹中半兵衛笹沢左保角川文庫
戦国一の軍師とも言われる竹中半兵衛重治を読みました。
竹中半兵衛といえば、短い人生(36歳)で、稲葉山城の乗っ取り、秀吉の軍師としての活躍、そして晩年の松寿丸(黒田長政)の助命というのが印象に残っていますが、それらについて、よく描かれています。
半兵衛は秀吉の軍師ではありますが、生涯を織田信長の寄人として過ごしたというのは知りませんでした。なので、秀吉とのかかわりだけでなく、信長との関わりもちょっと出てきます。

秀吉の軍師としては黒田官兵衛も有名ですが、こちらは軍師兼武将なので、自分の領地も持っています。半兵衛は武将ではないので、領地も持たず、ほんとに自由に生きた感じですね。また、官兵衛にして、半兵衛のことを「兄者」として信頼し、半兵衛も官兵衛が囚われたときに、最後まで信じて子供を助けたし、両雄で分かち合うものがあったようですね。

あと、半兵衛は秀吉に共感して軍師となるよう信長にお願いしたわけですが、晩年の秀吉は小心で疑い深くなっていくので、そこに失望していく半兵衛の気持ちが非常に悲しいですね。

お勧め度は★★★★★です。

王の挽歌遠藤周作新潮社

戦国時代に北九州で6カ国を治めていた大友宗麟について描かれており、幼少の大友宗麟から始まり、宗麟の子の吉統が国を失い、死に至るところで終わっています。
大友宗麟はキリシタン大名として有名ですが、大友宗麟とキリスト教の関係や日本におけるキリスト教布教の様子なども詳しく載ってます。

大友家といえば内乱が有名ですが、この本でもひっきりなしに続く内乱がいっぱい出てきます。その内乱の原因はキリスト教と仏教の対立に伴う家臣団の分裂とも、元々の家臣団の対立(同紋衆と国衆など)ともいわれています。そして、宗麟自身を国主の地位につける、あの有名な「二階崩れの変」などもあり、宗麟は若い頃から「誰も信じられない」との考えで、ずっと苦悩し続けていたようですね。
しかも、跡継ぎが頼りなく、キリスト教徒として隠居しているのに、たびたび俗世に呼び戻されたりと、、、苦労が絶えません。

大友宗麟は最初は南蛮貿易のため、後は真面目にキリスト教保護をしており、そのせいかキリスト教の布教の様子なども結構出てきます。ただ、有名な天正少年使節の伊東マンショは宗麟は知らなかったということで、描かれています。

本の最後は大友家の没落の様子が描かれており、読んでいてさびしい気持ちになっていきますね。全体的にも半分弱は宣教師の立場でも描かれており、斬新で面白かったです。

お勧め度は★★★★☆です。

箱根の坂司馬遼太郎講談社

戦国の三大梟雄の一人である北条早雲の一生について描かれています。
早雲はある日突然伊豆を乗っとりました、って感じの人なので、若い頃の資料が少ないです。
この本では伊豆を乗っ取るまでの話が十分すぎるほど書かれていますが、はじめちょっとくどいところはあるものの、面白く描かれています。

早雲ってイメージとしては、戦国時代を導いた人とか北条家の礎を作った人とか、伊豆を乗っ取った人とか、そんな感じでした。
この本ではその辺の背景なども描かれているのですが、総じて、善の人であり倹約家であり、百姓や地侍たちに慕われたように治世を行った人というようなイメージとなっています。

今まで関東の武将の本は読んでいないため、堀越公方や古河公方、両上杉などあまり詳しくはありませんでした。多少の脱線はお約束として、その辺はよく描かれております。伊豆を取る→小田原を取る→三浦一族を滅ぼすというのは知ってましたが、両上杉の戦いに参戦していたのは知りませんでした。
その戦いでは鎌倉往還として地元の鎌倉街道やら、地名として関戸などが出てきたため、うんちくを知れてよかったです。
また、最近気になっている太田道灌ともやり取りがあったというのも面白いです。
早雲が参戦した戦いの時にはもちろんいませんでしたが。

総ページ数は文庫版で1,200ページくらいありますが、脱線話を読み流せば、サクサク読めます。

お勧め度は★★★★★です。

松永弾正戸部新十郎読売新聞社

松永久秀の半生を描いた作品で、子供時代から主に三好長慶が死ぬ間際までを中心に書かれています。
松永久秀は梟雄として有名ですが、今作品ではむしろ逆で三好長慶に忠実で、周りの人から見たときに、有能だけど気味が悪いという感じで描かれています。ただ、ターニングポイントは桶狭間の戦いで、今川義元=田舎大名が京を目指したという点の解釈(考え方)の違いにより、だんだん見切りをつけていったようですね。

また、茶器を多く保有していたことでも有名ですが、若い頃から天王寺屋宗達に気に入られたため、たびたび茶器を譲り受けたようですね。千利休が出てきて、よい茶器を持っている人はよい茶人ということから、松永久秀もそういう扱いになってしまったのでしょうか。

三好長慶が死ぬまではしっかり書かれていますが、その後の将軍暗殺や信長との出会い、それ以降についてはほとんど書かれてないようです。もっとも、そこは明らかになっているので、正に素性不詳の部分が小説としてきっちり描かれていれば問題ないのですが。
そういう意味では、忠臣として描かれていて、いわゆる数々の謀略は周りが勝手にそう見ている、というスタンスになっていて、面白いです。

お勧め度は★★★★☆です。

新・日本武将100選小和田 哲男監修秋田書店
新・日本武将100選

「新・日本武将100選」という本を読みました。
この本では坂上田村麻呂から天草四郎までの武将について描かれています。
最近読んでいる本は戦国時代にスポットを当てているのですが、たまにはこういう本もよいかと思い、図書館で借りてみました。

鎌倉時代までの武将についてはまた別途読んでみようと思っているので、今回のメインは室町時代(しかも応仁の乱以降)の人について知ろうと思ってました。
最近、ふたり道三や剣豪将軍義輝などの本を読んで、室町後半の武将についても多少は分かってきています。
今回は、赤松満祐、山名宗全、細川勝元、朝倉敏景、太田道灌、豊島泰経、三浦同寸を中心に見ています。
三浦同寸以降は北条早雲になってしまうため、以降の武将はなじみのある武将が多いです。ただ、天草四郎って武将だと知りませんでした。。。

ところで、江戸城を築城した人として太田道灌って有名ですが、太田道灌って結構活躍した人だって知りませんでした。あまり知らなかったのは、戦国時代になる前に謀殺されてしまったからかもしれません。

お勧め度は★★★★☆です。

剣豪将軍義輝宮本 昌孝徳間文庫

足利13代将軍である義輝の一生を描いた「剣豪将軍義輝」を読みました。
足利義輝は剣豪としても知られていて、本作品では剣の修行の様子もかなり描かれています。

始まりは義輝がまだ義藤と名乗っていた12歳の話で、この小説を通しての宿敵である「熊鷹」と出会います。熊鷹との戦いもあり、日本一の武人を目指すわけですが、2人は幾たびかの修行を得て、数回戦うことになります。

その他、登場人物も多彩で、最初の師匠であり終生軍師として活躍する朽木鯉九郎や近習である細川與一郎(後の細川藤孝)、明智十兵衛光秀などがおり、忍び衆として浮橋が活躍します。
特に、織田信長との盟約については面白く、もし実現していたらどうなったか?などと想像するのも楽しいです。

今までこの辺りの小説は読んだことがなかったので、三好長慶やその兄弟、管領細川家などは最初数が多く戸惑いましたが、読み始めるとなかなかそれぞれ特徴があり、面白いですね。
特に三好長慶の印象はちょっと変わりました。

また、剣豪と呼ばれることもあり、刀の名前(大般若長光や童子切安綱など)や他の剣豪(塚原卜伝や上泉秀綱など)とのからみも結構あります。

最後の方は因縁の相手である松永久秀との謀略合戦です。ここではさすがに梟雄である松永久秀に敗れ続けますが、義輝もただの武人ではない一面を見せてくれます。
途中、なんども松永久秀を退治できそうな場面も出てくるのですが、史実が史実だけに、うまいこと逃れてしまい、結果が分かっていても、残念!って感じでした。

全部で小説版で1,200ページを超える量でしたが、話が面白いのでどんどん進みました。 ただ、史実は分かっているだけに、最後は悲しくなりますね。

お勧め度は★★★★★です。

事典にのらない 戦国武将の死の瞬間----新人物往来社
事典にのらない戦国武将の死の瞬間 (別冊歴史読本 (31))

戦国武将の簡単な紹介と最期のエピソードが書かれています。
最初に戦国武将の持病と病歴というタイトルで、上杉謙信(高血圧)明智光秀(近視)、織田信長(仕事中毒症)などと、残っている文献などから持病や病歴が記載されています。
なかなか変わった本ですね。

その他にも、東北は秋田実季から始まり、終わりは九州の島津歳久まで、90人もの武将の最期が載ってました。
面白いのが、見出しページに武将の名前が出ているのですが、その下に○歳というように、何歳まで生きたかが描いてあります。 こうしてみると、人生50年という割には長生きした武将が結構います。60歳以上で長生きした武将は半分くらいはいそうです。

ただ、そういう武将は江戸時代まで生き延びた武将が多いので、やっぱり戦が終わって平安な時代になったのだということが分かりますね。

お勧め度は★★★☆☆です。

ふたり道三宮本昌孝新潮社

美濃の蝮と言われる斉藤道三の物語です。
この小説では斉藤道三は親子2代による国盗りであった説を採用して、物語が進んでいきます。斉藤道三は美濃を乗っ取るまでの半生が不明なため、いろんな説があるようです。不明な分、この小説の面白さが際立っています。
小説のスタートは父の話で、伝説の刀鍛冶の末裔としてスタートし、美濃で武士として立身していきます。一方、子の方は僧より還俗して、商人(油売り)になって抜群の経済力を手にし、武士として同じく立身していきます。この2人と共に美濃への道を歩んだのが松波庄五郎で、一説には斉藤道三の別名とも言われていますが、この小説では親子とは別の人間として描かれています。
物語には、赤松氏や将軍足利氏、美濃守護土岐氏、美濃守護代斉藤氏、浅井亮政(長政の祖父)、朝倉孝景(義景の父)、織田信定(信秀の父)などが登場し、この辺りの知識が少なかったので、いろいろと調べたりして読みました。あまり戦国時代の前の時代は知らなかったので、面白かったです。
また、忍び同士の戦いや、伊勢宗瑞(北条早雲)との出会いなども描かれていて、話の展開も面白いので、非常に小説として完成度が高いと思いました。
ただ、登場人物が非常に多いので、人物相関図などがあると分かりやすいですが、そんなのがある時代小説はなかなかないですね。。。
ハードカバーの本を読んだのですが、全部で4冊、1,250ページくらいありましたので、ものすごい読み応えがありました。

お勧め度は★★★★★です。

戦国の軍師たち堀和久文春文庫
軍師として活躍した14人を描いています。
上杉謙信の軍師である宇佐美良勝や、北条家に仕えた松田憲秀の話はなかなかないので、これを読んでみました。
登場するのは下記の武将です。
山本勘助、宇佐美良勝、立花道雪、片倉小十郎、山中鹿之助、黒田官兵衛、島左近、明智光秀、松田憲秀、小早川隆景、竹中半兵衛、真田幸村、鳥居元忠、本多正信

いくつかの合戦で自分の好きな対陣図があったので、よかったです。武将配置などを見るのが結構好きです。
竹中半兵衛や立花道雪はもう少し詳しく書いてある書籍もあるようなので、もっと深く読んでみたいと思いました。

お勧め度は★★★☆☆です。

武家盛衰記南條範夫秋田書店
大体1武将を20頁くらいにまとめあげた短編集で、小説というよりは伝記です。
いくつかの文献をそのまま引用し、武将の様子を描いています。詳しく知らない武将が何人かいたので、読もうと思いました。
登場するのは下記の武将です。
細川藤孝、松永久秀、浅井長政、朝倉義景、柴田勝家、高山右近、黒田孝高、大友義鎮、津軽為信、蒲生氏郷、前田利家、明智光秀
伊達政宗、直江兼続、本田忠勝、藤堂高虎、小早川隆景、加藤清正、小西行長、大谷吉隆(吉継)、安国寺恵瓊、宇喜多秀家、長宗我部盛親、真田幸村

まずは、浅く知りたいという人にはお勧めです。ただ、ちょっと古い本だったので、難しい漢字になっていて読みづらい部分がありました。
こういう本を読んだ後に、気に入った武将についての本を読むのがよいのでしょうね。

お勧め度は★★★☆☆です。

島津奔る池宮彰一郎新潮社

島津義弘を主人公としていて、朝鮮出兵から関ヶ原終了後に薩摩に戻るまでを描いています。ただ、途中途中で過去を振り返る形で、朝鮮出兵以前の戦いなども登場しますので、あらかたは網羅されていると思います。
中でも、関ヶ原出陣のために、中馬大蔵を始めとする家来が駆けつけるシーンや、「島津の退き口」で有名な関ヶ原からの離脱などについては、非常に印象深かったです。
上下巻で700ページほどある本ですが、とにかく読みやすく、話が面白いので、どんどん先へ先へと読みたくなる本でした。一部、当時の状況や三成の考え方などを現代風に考えてみたり(例えば、官僚制など)しているところがあり、好みが分かれると思いますが、自分にとっては分かりやすかったです。
現在は司馬遼太郎の「関ヶ原」と酷似しているとのことで、絶版となってしまいましたが、図書館には結構あるので、借りて読みました。絶版とはいえ、非常に面白いので、名作と言えると思います。

お勧め度は★★★★★です。

おのれ筑前、我敗れたり南條範夫文芸春秋
おのれ筑前、我敗れたり

雑誌に掲載された短編集をまとめた本で、以下の12人の人が描かれています。
斉藤道三、大内義隆、滝川一益、宇喜田直家、竜造寺隆信、吉川元春
丹羽長秀、島津義弘、佐々成政、真田昌幸、石田三成、加藤嘉明
これらの人に共通しているのはすべて、活躍はしたものの、結局は敗者となってしまった武将です。とはいえ、普段あまり主人公として描かれない武将も多いので、最初はとっつきやすいと思います。一部、加藤嘉明だけは自身というよりは子孫が敗者という感じですが。。
ただ、深く知りたいという人にとっては、短編集ということもあるので、ちょっと物足りないかもしれないです。
ちなみに、タイトルは丹羽長秀の短編のタイトルです。自分は最初は登場する武将は全て豊臣秀吉に敗れた武将かと思いましたが、いきなり斉藤道三だったので、違うと分かりました。

お勧め度は★★★☆☆です。

尻啖え孫市司馬遼太郎講談社
尻啖え孫市

紀伊の国は雑賀荘の国人で名を「鈴木孫一重秀」といい、雑賀鉄砲衆三千人を率い、鉄砲にかけては右に出るものはいないといわれた人物についてのお話。かなり面白いです。

お勧め度は★★★★☆です。

関ヶ原司馬遼太郎新潮文庫

ご存知関ヶ原の合戦を著者の独自の視点に基づき書いたもの。

お勧め度は★★★★☆です。

影武者徳川家康(上)(中)(下)隆慶一郎新潮文庫

昔に少年ジャンプでも連載されていた同名タイトルの原作。ある日、徳川家康にそっくりな人がその名を捨て、影武者として生きていく様子が描かれています。

お勧め度は★★★★★です。

一夢庵風流記隆慶一郎新潮文庫
一夢庵風流記

昔に少年ジャンプで連載されていた「花の慶次」の原作。傾き者(かぶきもの)として戦国時代を颯爽と生きた前田慶次郎利益が描かれています。面白いです。

お勧め度は★★★★★です。

異 戦国志(1)〜(13)仲路さとる学研
信長死せず―異戦国志〈1〉 (学研M文庫)

フィクションです。
織田信長が本能寺の変をまぬがれていたら?というところからスタートしています。
秀吉が信長に謀反を起こしたり、関ヶ原があったりと面白いです。

お勧め度は★★★★★です。

反 関ヶ原(1)〜(5)工藤章興学研
反関ヶ原〈1〉 (学研M文庫)

フィクションです。
西軍が有利といわれていただけにこの手のシリーズは多いです。やはり小早川の裏切りにポイントが置かれています。

お勧め度は★★★★☆です。

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