随筆
晩秋の鎌倉を歩く
関東在住の高校時代の同窓会・豊高東京12期会の仲間12人と晩秋の鎌倉を歩いてきた。9時にJR鎌倉駅北口に集合して寿福寺−北条政子・源実朝の墓−海蔵寺−源氏山公園の頼朝像−銭洗弁天−蕎麦屋五島で昼食、午後は鎌倉文学館−長谷観音−稲村ケ崎というコース。鎌倉の街中ではあるが、ふだんは歩くことのない住宅街を中心んした道である。
午後から曇るという天気予報だったが、暖かく、まさに小春日和。紅葉も今年は秋が暖かかったので今ひとつというが、ハゼの木の紅葉がまた美しく、温暖な鎌倉らしく照葉樹の多い山の所どころに紅葉がひときわ美しく映えているのが心に残った。
鎌倉文学館では、この地に縁のある文学者100人の直筆原稿などを展示していた。100人のうち私が現役記者時代に会ったことのある人は40人近くに上った。里見トンや永井龍男、山崎方代、立原正秋、高橋和巳、詩人の田村隆一など思い出深い。彫刻家で長くパリに住み、晩年は稲村ケ崎に住んだ高田博厚さんは随筆集「薔薇窓」がすばらしいが、100人の中に入っていなかったのはちょっと寂しかった。
文学館の建物は加賀前田家の別宅だったそうだ。建物の概観は洋風に和風が加味されていて趣きがある。庭の薔薇園には秋の薔薇の花は少ないが、美しく咲いていた。一つひとつに風雅な名前の札が立てられていた。
長谷観音は名残の紅葉を楽しむ人たちが多くにぎわっていた。夕刻にあるテレビ局が生中継するというので、境内のあちこちにライトが照らされ、少し雲の出てきた時間だったので、ライトアップされた紅葉が明るく浮かび上がっていた。本堂脇の小さな池のほとりに木瓜が深紅の小さな花を一輪咲かせていた。黒光と札にあった。
極楽寺まで歩き、江ノ電に一駅だけ乗り、稲村ケ崎で下りて岬まで行った。曇ってはいたが、穏やかな海が広がっている。開成中学のボート遭難の碑が立っている。近くの海が眺められるレストランで簡単な会食をして、江ノ電で鎌倉まで戻った。
友と往く小春日和の古都の谷戸 紅の光楓櫨に差して
紅葉を愛でる人群(ひとむら)長谷の寺 池のほとりに黒木瓜の一輪
(2005/12/02)
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Last Update:2004/10/19
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