随筆
年賀状あれこれ2008
今年も大晦日の夜、サントリーホールのジルベスターコンサートに出かけた。ジルベスターは大晦日のことである。このコンサートは1991年に始まったから、今年で16回目。私は10年くらい前から毎年聴きに行っている。NHKの紅白歌合戦が面白くなくなったことからである。若い歌手の歌を知らないこともあった。それに、最近は見ていないのでわからないが、そのころはNHKのアナウンサーがタレント気取りではしゃぎすぎるが見苦しく、それならということでジルベスターコンサートに行くようになったのだ。
近年は日本でもジルベスターやニューイヤーのコンサートがあちこちのホールで行われるようになったが、サントリーホールがそのはしりである。オペレッタの上演で知られるウィーン・フォルクスオーパーのメンバーで編成したウィーン・フォルクスオーパー交響楽団で、これにソプラノとテノールの歌手が加わる。今年のソリストのテノールはヘルベルト・リッパードは、1997年に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のダビッドを歌ってグラミー賞を受けている。サントリーホールには2005年から出演している顔なじみだ。2005年のN響定期で「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」「イドメネオ」のアリアを歌っている。
今回よかったのがソプラノのシピウェ・マッケンジー・エーデルマンである。カナダ生まれの若手黒人歌手であるが、声量もあり、はつらつとしたさわやかな歌いっぷりに魅せられた。「こうもり」のアイゼンシュタインとロザリンデの仮装舞踏会での掛け合い「あの上品な物腰」などは芳情も豊かで見事な歌唱に、聴いていてこちらも楽しくなってきた。このコンサートはプラシド・ドミンゴを発掘したことで知られる指揮者ユリウス・ルーデルからエリック・カンゼルに替わった。ワルツやポルカ、オペレッタのアリアが中心の曲目で、サービス精神の旺盛な指揮者なのもよかった。
深夜に帰宅するとベルリン・フィルのジルベスターコンサートを衛星放送で見た。今年はロシア音楽が中心だった。そして元日の夜はウィーン・フィルのニューイヤーコンサート。指揮者がジョルジュ・プレートルと聞いて懐かしくなった。私がよく聴くマリア・カラスが歌った1954年の「カルメン」のCDは、パリ・オペラ座でプレートルが指揮したものだ。今年82歳というが、その年齢にはとても思えないほどダイナミックで力に溢れた演奏だった。このニューイヤーコンサートは今年で60年になるそうだ。ということは戦後始まったものである。それほど歴史のあるものではないのだと知った。
今年もいただいた年賀状には俳句や短歌が記されたものがあったので、紹介させていただく。。
かかる世に近江のしがの松が根をうつして千代を祝ふときわに 雨森芳洲
今はとて天の羽衣着る時ぞ君をあはれと思ひ出でぬる 竹取物語
失ひし言葉に替へて満面の笑みにて語る吾妹よ吾妹 KM氏
たまきはるいのち賜いし主と共によろこび歩まんみ名をたたえつ YH氏
古希の春平均延ばせとジム通い TH氏
朱の橋を渡れば社初詣 TF氏
ストレッチに声のせ汗をとばしけり YC氏
個性派のきざしのちらりもみじの手 YC氏
落葉踏む木屋町川沿い去来の句 YCさん
一光年数へあぐねて春の夢 JK氏
春の猫終日寝たり寝たりかな YI氏
元旦や田舎商人くさめする
歌かるた田舎をんなのうたひぶり CK氏
あけもどろの海 波風も静か 久高島向かて てぃーだ拝ま YN氏
去年はまたかくてありけり 今年もまたかくてありなん MIさん
また、「寥川亭通信を読んでいます」という言葉も多くいただいたのはうれしかった。 (2008/01/02)
感想などをメールでいただければうれしいです。メールは
こちら
まで。
Last Update:2008/01/02
©2003 Masayuki Fujino. All rights reserved.