こちらの文章はCG協議会創設時(昨年度)に映像CGコンテスト実行委員会 審査委員長 池谷 俊一先生が書かれたものです。

『富士山』をこのコンテストのテーマと定めた理由は、あくまで現代性のことを考えてのことです。

 すでに『写真』では多くの市町村や企業が、富士山写真コンテストの募集をしています。しかし,日本の美の最高峰である富士山をさまざまな形で自由にビジュアル化した『映像表現』のコンテストこそが、こんにち必要な場だと考えました。
 現代ではすでにビデオカメラは日常的に使われ、映像は時代推移の中で最も生き生きとした分野であり、芸術として位置付けされています。
 どちらかといえば写真の富士山は葉、中高年齢の方々が大半です。この現実に対して、このコンテストの鮮明なコンセプトは、次世代である十代や二十代の若者郡へのチャンスを考えています。

 子供時代、誰しもやったと思われる、紙に少しずつ異なる馬の絵を書いてパラパラとめくって、いかにも馬の絵が動いているように見える映画体験。そのような懐古な映像でも、面白ければ人の心を打てるものです。

 時代の最高峰であるCGの鋭角も現代ならではの映像の偉業ですし、新旧それぞれの作品手法は、やわらかく多元多視多面多角を考えることでもあるのです。
 つまり、表現とは『イマージュの重要』ということでもあります。創造することこそが楽しさでもあります。
 富士山をあえて「実写」せずとも、富士山を表現することも、芸術作品にすることも十分可能です。
 雨や雪が降ったら決して富士山は姿を出しません。つまり、肉眼では視えぬ事実が横たわってしまいます。
 しかし、心眼やイマージュは常時私たちの体内の奥にあって、自由に昼夜や春夏秋冬の富士山の姿を浮上させることもできるはずなのです。

 映像に対しての眼力の写実、忠実は無論大切なことではありますが、富士山の印象に対して想像力を重ねてゆくことは芸術の理解の第一歩なのです。
 学術的なことと芸術的なことの両論を熟知するためのコンセプトがこのコンテストの意図です。
 現代はもはやあらゆる事において国際化時代になっております。
 外国の人々の出品も期待するところです。外国人の目から見た日本のシンボル富士山は、どう映じているのかも楽しみです。

 昔々の室町時代に富士山を多く和歌で詠んだ人々は、富士山が見えない関西や遠くの他県の歌人だった事実が残されております。富士山が見えぬ土地に住んでいる故にこそ、逆に富士山への想像力は人一倍加速したのでしょう。
 皆さんは富士山をどう見る、視る、看る、診る、鑑る、観る・・・・・。

 このコンテストはあらゆることで現代性に徹したいと考えております。
 能楽を世に出した世阿弥の花伝書の一行に、「おもしろきことあらんをよき能とは申すまじ」と記されています。
 このオモシロキこそが芸術や美のヒントです。

 みなさまの個性的で自由な富士山のアプローチを、富士山映像CGサミット実行委員では富士山映像CGコンテストとして作品募集いたします。



映像CGコンテスト実行委員会
審査委員長 池谷 俊一

 
 
 

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