ガマ腫(がま腫)は、何らかの原因で舌下腺(ぜっかせん:口腔底にある唾液腺)から、粘液性の唾液が漏れて嚢(ふくろ)をつくったものです。口腔底にできた場合、青黒い柔らかい腫瘤として認められることが多く、ガマに似ていることからこの名前が付いています。ガマ腫はできる場所によって、(1)舌下(口腔底)型、(2)顎下型、にわけられ、両方にわたるものを(3)顎下舌下型、と呼んでいます。ガマ腫の85%は舌下(口腔底)型であり、顎下型は稀な病気です。従来は、治療として嚢胞の全摘出手術が行われてきましたが、非常に壁が薄いために手術が非常に難しく、又うまく摘出できても再発する場合があるともされておりました。近年は、唾液の漏れ出す元を取る舌下腺摘出手術が治療の主流になりつつありますが、やはり入院が必要です。口腔底ガマ腫の場合には(姑息的な手術ですが)、嚢胞の上方を切り取って周囲に縫いつけて唾液の流れる道を作る開窓術も、外来通院でもできることもあってよく行われています。
しかし、舌下腺摘出以外の治療では再発率が高いことが問題でした。
この患者さんは9歳の男児で、顎の下から口腔底にわたる大きなガマ腫です(図1-a)。最初は口腔内のガマ腫が主で、他の施設で2回口内から手術を受けております。しかし、今度は顎下部の大きな腫れとして再発してしまいました。このように、舌下型のガマ腫が手術によって顎下型ガマ腫に変わってしまうことは時々認められます。(顎下型ガマ腫10, 14. 15, 17、顎下舌下型ガマ腫3)
この患者さんの顎下部を穿刺して内容液を吸引し、代わりにOK-432の希釈液(0.1KE/mlを10ml、OK-432の総量1.0KE)を注入しました。治療翌日には顎下部皮膚は発赤し、触診しますと硬くなっておりました(図1-b)。その後、硬結はゆっくりと縮小しました。図1-cは1ヶ月後の写真です。全く瘢痕を残さずに治癒しております。本例は治療後9年までは再発がないことを確認しております。
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