天水涼風流吹矢術「吹筒道」所作説明書

1.礼法
  『武道は、礼に始まり礼に終わる。』との言葉どおり、「吹筒道」を行なう上では必ず身に付けて欲しい所作であり、それぞれの場で実行していただきたい。
 
  1. 携筒姿勢
    左手の掌で筒の中間よりやや上方を包むようにして持ち、その左手は左腰の所に軽く付ける。筒は筒先を斜め下方に向け(筒先を床に付けない。床に対して約45度の角度とする)、体をまっすぐに伸ばし、目線は遠めの目付け(場全体が見回すことの出来る目線)とする。
  2. 神座への礼
    「携筒姿勢」で神座に向かって直立し静止する。筒を持つ左手の腹の前に持って来て筒を床に対して直立に立てる(筒先は浮かして床に付けない)。右手の掌を左手の下方に回し(筒を持つ左手のすぐ下の所)筒を握る。左手は離し左大腿部の付根あたりに掌を伸ばして(4本の指は開かない)自然に置く。持ちかえた右手を右腰に付け、筒は脇に構える(筒端は体の後方にある)。この時筒を持つ角度は床に対して30度くらいとする。神座に目線を向け体を伸ばしてから腰の辺りから約30度に角度でうやうやしく礼を行なう。礼を終え先程とは逆の順序で筒を体の正面で左手に持ち変え、再び「携筒姿勢」となる。
  3. 恩師、先輩への礼
    恩師(先輩)の正面に正座し、筒を一旦、体の左横の床に並行に置く。体を整えた後、左手で筒の中程を持ち筒端を自分の体の正面に持って来る。更に左手を伸ばし筒の中程が腹の所に来た所で右手を伸ばし左手の上方の箇所を握る。左手の掌は軽く握った状態で左腿上に置き、筒を持った右手を自分の体の右横に持って行く。筒の中程が自分の体の中心に来る形で筒を静かに床に並行して置く。右手を左手と同じように右腿上に置き、一呼吸あってから左手、右手一緒にして床に付き深く頭と体を前に倒して礼を行なう(頭は恩師よりも早く下げ、また、恩師よりも遅く上げる)。礼が終わって逆の順序で筒を戻し、体は恩師よりも早く立つ。

    (注)正座をする時は常に左足、右足の順序で膝を床に着き、立ち上がる時は、右足、左足の順序で膝を上げるようにする。以後の礼にも同様とする。

  4. 筒への礼
    「携筒姿勢」から正座し(筒は体の左横に並行に置く)、体を整えた後に左手で筒を持ち筒端を体の正面に持って来る。更に筒を前方に出し右手で筒の上方3分の1くらいの箇所を持ち、左手は筒の下方3分の1の箇所を持つ。右手と左手を同時動かし筒を体の正面に持って来て体と体面するように下ろす(右側が筒端、左側が筒先となるようにし、体との距離は40cm位とする)。体を起こし目線を筒に向け、手を左、右の順序で床に付け静かに頭を下げる(背筋は曲げず目線は絶えず周りに配ること)。礼を終え逆の順序で筒を戻し、再び「携筒姿勢」となる。なお、本礼は立って行なうことができる。

    ※筒への立ち礼方法
     神座に向かって立ち「携筒姿勢」から両手で筒を持ち床と並行にして腹の前に持って来る。ややあって両手を静かに上に挿頭し(頭の上へ上げる)筒に対して頭を軽く下げる。頭を戻してから両手を腹の前に持って来る。再び「携筒姿勢」に戻る。

  5. 試合前後時のお互いの礼
    対人方式(的刺得点方式の場合は決勝トーナメント戦以降の試合)の試合前、試合後に行なうことが望ましい。礼の方法は、(3)項の「恩師、先輩への礼」に準ずるが、頭を下げ具合は「筒への礼」くらいの角度でよい。なお、試合状況や時間の関係で本礼は立って行なうことができる。

    ※お互いの礼の立ち礼方法
     適当な間隔で双方向かい合って立ち、「携筒姿勢」で両足の踵を付け、体の動きを静止してから軽く頭を下げる。(頭を下げた時の目線は相手の喉仏あたりに置く)

2.射法
  当流の射法は、次の5つの所作からなる。危険防止及び精神統一を図る上でも一つひとつの所作にはめりはりをつけて行なうことが望ましい。
 
  1. 前呼吸
    「携筒姿勢」で的を左側に見る格好で立位置線(試技線)に立ち、両足は肩幅よりやや大きめに広げる。両手で筒を肩幅の間隔で持ち(両手の甲を上に向けた持ち方でゆっくりと頭の高さまで上げる動作と共に大きく息を吸う。両手をゆっくり下げながら腹の中に貯まった空気を鼻から出すように吐き出す。筒を持つ両手は下方に伸ばす。
  2. 目付け(矢入り)
    両手を腹のあたりに戻し首だけ的の方に向ける(体はまだ横向き)と同時に目線を的の中心部に置く。一旦目線を腰に落とし矢筒に向ける。左手で筒を持ち右手で矢筒(袋)から矢を取り出し(1本)矢を筒の中に入れる(矢入りを行いながらも常に的の方に気を配っていること)。矢入りが終わったらすぐに的に目線を向ける。
  3. 構え
    両足の踵を支点にして体を的の方に向け、同時に筒を持つ手を上げ筒の口当部を口元に持って来る。左手は筒の中心部を持ち右手は口当部を持つ。
  4. 矢吹き
    筒先は的に焦点を合わせたまま鼻で大きく息を吸い込み(口で吸うと矢が戻って来るので注意すること)、腹に空気が貯まった所で筒の振れを静めると共に、筒に息を吹き込む。

    (注)矢端幅によっては筒の内径に合っていない物もあるので、挿入した矢の質を把握して、筒先の標的合わせや息を吹き込む力を考慮すること)

  5. 残心(身)
    矢を吹いた後も暫らく(2秒間程)は的から目線を離さない。矢の当たり、外れに関係なく体もしっかりさせておく。ややあって、両手を腹のあたりに下ろし両足の踵を支点にして体の向きを戻すと共に目線を正面に移す。

続けて矢を放つ場合は、a〜eまでの所作を繰り返す。なお、これら一連の所作に掛かる時間は、15〜20秒くらいが望ましい。

3.矢取り
  規定の矢吹きが終わったら(試合の場合は審査員の指示に従う)矢取りを行なう。矢取りのため的に向かう時は気を付けること。安全と思っても何処から矢が飛んで来るのか分からないので、近くで試技している者がいる時には矢取りは行なわないこと(特に他の的のコースに飛んで行った矢を回収する時は注意を要する)。
以上