みんなのホームページ


「ダンディズム相沢・・・・」(歯をキラーン☆)
「カサブランカ北川・・・・」(瞳をウルウル☆)

 夕日の差し込む放課後の教室で二人でそっとみつめあう俺こと相沢祐一と北川潤。
 きれいだ・・・・
「じゃあ、また明日ー」
「ばいばーい」
「斉藤くーん、今日の科学の授業のノート見せてー」
「ああ、いいよー」
 パタパタパタ。
 そういって俺達の前を通りすぎていく生徒。
 ・・・・・・・・・・・・
 誰か突っ込んでくれ。頼むから。
「そうね。恐ろしく不気味な光景・・・・とだけいっておくわ」
「うむ、香里120%バーニングフェスト!」(意味不明)
「美坂にそういわれると嬉しくなるよ」
 はっはっはっはと2人で馬鹿笑い。
「俺達の存在を認めてくれるのは香里だけだな」
「そうだ。オレ達はここにいても良いんだ!」
「兄弟!」
「弟よ!」
 がしぃっと腕を組み抱き合う俺達。そうだ、己の存在をわかちあう兄弟。なんて、
燃えるシチュエーションだろう。俺達はただただ浪漫の涙を流していた。

 kanon劇終!

「終わってどうするのよ! 意味不明なことやってないでさっさといくわよ。今日は
みんなのホームページを公開するんじゃなかったわけ?」
「おぉ。そういえばそうだった」
 香里のようしゃないツッコミ第2撃が俺達を襲う。その声にようやっと本来の自分
を取り戻す。
 そうなのだ。俺達一同は流行りのインターネットにそろいも揃ってハマりまくり、
みんなでホームページを作っていたのだ。もうすでに公開はしているのだが、みんな
にはまだURLをお互い知らされていなかった。それを今回、全員に一挙公開してし
まおうという計画であった。
「すっかり忘れてた。持病の全失性健忘症が・・・・」
「北川君。全失性だったらもう赤ん坊同然の脳みそしか持たなくなるでしょうが」
「ふっ。オレは生まれ変わったのさ。汚れなき純粋なるオトコに・・・・」
 いって自分の身体を抱きながら悶える純粋なる(?)北川。
 ばふっ!
 瞬間、北川は香里の鞄攻撃の前にマットに沈んだ。
「そういうよーしゃなく気持ちの悪いことをいってると本気で殴るわよ」
「もう殴ってるじゃん」
 俺の鋭い指摘も香里には届いていない。スタスタと教室を出ようとする。
 慌てて俺達も廊下に出る。北川も起きあがって後に続く。
 そこへ、俺こと相沢祐一の友人達が勢ぞろいしていた。
「・・・・吉野家行こう。祐一・・・・」
「人に会うなりそれか、舞。今はダメだって」
「あははーっ、舞、ダメですよ。今日は行けませんよー」
「・・・・はちみつくまさん」
 俺と佐祐理さんに諭されて仕方なくうつむくのは川澄舞。
「祐一さん、お姉ちゃん、早く行きましょう」
「私も行きますね。早くみんなにホームページをみせたいですし」
 これは栞と天野。
「あれ? 天野も?」
「真琴と一緒に作ってたんです」
「そっか」
「そういう祐一さんも製作はしてたんですか?」
「ああ。名雪とな」
「えへへ、そうなんだよ」
 栞の言葉に、二人同時にいう。
「デザインは名雪、俺はHTML担当ってとこだ」
「そうなんですか。楽しみです」
「ほらほら、さっさと行くわよ」
 そういってる間に香里はスタスタと下駄箱の方へ歩いていってしまった。
 ではでは行きましょうかね。


『おじゃましまーす』
 数刻後。
 水瀬家に到着した一同、玄関の中でいっせいに挨拶だ。当たり前だが。
 まさかいくら斬新だからといって、玄関の前でいっせいに反復横飛びする馬鹿はい
まい。
「いや、オレはやるぞ。しかもついでにラジオ体操第2も」
「貴様の意見は聞いてねぇ」
 俺の心を読みやがった馬鹿(決定事項)に向かって投げやりに答える。
 しかし案外、玄関の前でンなことをやったとしてもあの秋子さんのことだ、いつも
の笑顔で素で受け流すに違いあるまい。
 と、トントンと階段を降りてくる足音。
 出てきたのは、化け狐とたい焼きマンだった。
「うぐぅっ、誰がたい焼きマンだよっ!」
「あぅーっ、誰がお化けだってのよっ!」
 やはり心を読みやがった二人の同時ツッコミが炸裂した。
 こんなとこでケンカしても仕方ないので、すぐになだめすかす。
「あれ? お母さんいないのかな?」
 二人以外には誰も降りてこなかった。
「あ、秋子さんなら買い物に行ったみたいだよ。ちょっと遅くなるって」
「そっか。わかった」
「じゃ、行こうか」
「うぐぅ、ボクも行くよ」
「真琴も!」
 そういってみんな階段をのぼって俺の部屋に行った。

 部屋に入ると、さっそく俺達は机の上に置かれたパソコンの前に行き、システムス
タートの準備を始める。
「・・・・ペンティアム3・1GHz・・・・これはすごいマシンですね」
 天野がそばにおいてあったマニュアルを見つけたのか、手に取ってしげしげと眺
めながら呟いた。
「ああ。俺自慢のマシンさ。グラフィックボードはVoodoo5。滅茶苦茶速いぞ」
 俺様鼻高々。
「でも、3D○x社はもう後がないみたいね」
「それをいわんでくれ・・・・」
 横からいらんツッコミを入れた香里の言葉に俺は涙を流すしかなかった。
 そうなのだ。つい最近知った情報によると、あの3Dグラフィックス・カードの
Voodooシリーズで知られる米3D○x社は、同じくグラフィックス・メーカーであ
る米NVI○IA社にすべての資産を売却して、会社を解散すると発表したらしい。
「なんでだ・・・・なんで俺の買うパーツの会社はみんな潰れちまうんだ・・・・」
 はらはらと涙を流しながらキーボードをうつ。
 気分はまるで田波洋一。
「あぅ・・・・祐一、疫病神・・・・?」
「やかましいっ!」
 真琴のヒドいツッコミに思わず怒鳴りかえしてしまった。
「あぅー、でも事実・・・・」
「あぅー」
 ああ、もう。俺まで真琴の物真似やってんじゃねぇぞ。
「まあまあ相沢。グラフィックボードは他にもゴマンとあるんだ。そう落ち込むな」
 北川にポンポンと背中を叩かれる。しかし、一3D○xファンから見れば、ちっと
も慰めになってない。Glideが・・・・俺様のGlideが・・・・<ここらへんかなり作者の声入
ってます。(^^;
「祐一くん。早くホームページ見ようよ。ボクも秋子さんといっしょに作ってたんだ
よ」
 横からあゆが話題をすりかえてきた。
 なんだって? あゆのホームページ? 秋子さんと作った?
「え? お母さんもコンピュータできたんだっけ?」
「うん。そうみたいだよ。えっと・・・・えいちてぃーえむえる・・・・だっけ? 秋子さん
がほとんど打ち込んでくれたんだ。ボクはデザイン担当だけ」
「そうなんだ・・・・」
「よし。それじゃあ、まずレディファーストであゆのホームページから見てみるか」
「ありがと、祐一くん」
「て、ことはオレが最後かよ。相沢」
「よし、あゆ。URLを教えてくれ」
「オレは無視かよ」
 北川が何やらブツブツいってるが関係なし。
「・・・・ゆーあーるえるって何?」
「・・・・秋子さんに教えてもらったんじゃなかったのか」
「うぐっ、いつも秋子さんに見せてもらってただけだから、何のことだかわからない
よー」
「http://から始まるアルファベットの羅列が書いてあったろう。それが、いわゆる
ホームページの住所みたいなもんだ」
 俺の説明に、何かを思い出したのか、あゆは懐のポケットをごそごそしだした。
 そして何やら一枚の紙切れを取り出した。
「はいっ、これのことじゃないかな?」
 手渡された紙切れには、確かにあゆのホームページらしきもののURLが書かれて
いた。
 俺のマシンのOSはすでに起動している。
 さっそくブラウザを起動して、そのURLを打ち込みENTERキーを叩く。
 セットされたISDNターミナルからランプが明滅し始め、数秒がたつと画面が表
示された。


                  天使の羽

  あなたは000293個のたい焼きを食べたよっ
                                                』

 画面にはそのように表示されていた。
 HPタイトルは、「天使の羽」・・・・
 タイトルの下にはカウンターと、例の天使の人形の絵が描かれている。
 ・・・・へぇ・・・・綺麗じゃないか。
 全員が同じことを思っていたらしい。感嘆のため息も聞こえる。
 背景は鳥・・・・いや天使の羽なのだろう。薄ピンクのかった羽がふわふわと浮かんで
いるようなイメージが表示されていた。
「すごーい。あゆちゃん。背景とか綺麗だよー」
「えへへ。確かに全体のデザインはボクが考えたんだけど、絵を描いたのはボクじゃ
ないよ。秋子さんが描いてくれたんだ。フリー素材を使ったわけじゃなくて、全部自
作だとかって言ってた」
「何者なんだ・・・・秋子さん・・・・」
 北川が額に汗を浮かべながらいった。
 確かに・・・・これはプロ級だぞ・・・・
 やはりあの人はコンピュータ関係の仕事にでも就いているのだろうか?
「まあお母さんだしね」
「はちみつくまさん」
 名雪と舞がしみじみと呟く。
「・・・・それにしても」
 俺は画面を見て吹き出していた。
「カウンターまでたい焼きに関係してるんだな」
「うぐぅ、やっぱり好きだからね」
 顔を赤くしながら呟くあゆ。愛いやつよのぅ。
「あははーっ。で、このサイトはいったいどのような題材を扱ってるんですかー?」
「もちろんたい焼きだよ」
 はい?
「たとえばこの日記・・・・」
 あゆの指差すところには、日記へのリンク。
 クリックしてみる。

『12月12日(火)
 祐一くんに、たい焼きをおごってもらう。とても美味しかった』

『12月13日(水)
 いつものたい焼き屋さんがお休み。
 仕方ないので祐一くんと隣町まで遠征。
 でも、そこのたい焼きはこしあんだった。まずい』

『12月14日(木)
 まだたい焼き屋さんはお休み。
 また隣町へ行く。そこのたい焼き屋さんとケンカした。
 カレーたい焼きなんてたい焼きじゃないよ! 邪道だよ! うぐぅ!』

『12月15日(金)
 いつものたい焼き屋さんが復活した。やっぱりたい焼きはつぶあんだよ!』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 俺は無言でブラウザを閉じた。
「ああっ、なんてことするんだよ祐一くんっ!」
「ささっ、次行こう、次!」
「うぐぅ・・・・いじわるだよ・・・・」
「うん。じゃあ、次は私と祐一で作ったページだね」
「確かにHTMLは俺が打ったが、内容まではよく見てなかったからな。
 どんなページになってるか楽しみだ」
 再びURLを入力する。


                     雪うさぎ

 今日は00597個のイチゴサンデーを食べたよっ
                                                 』

「・・・・カウンターはあゆちゃんと同じパターンだな」
 これは北川。
「ふふっ、やっぱりイチゴサンデーは良いよ〜」
「背景は白で統一。今の季節にぴったりじゃない」
「ちなみにBGMもなるんだよ」
「あれ? そーいや、HTMLに『1.mp3』とかいうファイル名があったよーな・・・・
 ありゃなんなんだ名雪?」
「聞けばわかるよ」
 数刻後・・・・いや、ちょっと待たされた。
「あ、読みこみ終わったよ」
 見るとブラウザの下方のゲージが満タンになっている。
 その時、聞き覚えのあるフレーズが流れ始めた。

『名雪・・・・』

『俺には、奇跡は起こせないけど・・・・』

『でも、名雪の側にいることだけはでき−』

 ぶちっ!
 あまりといえばあまりのことに、慌ててブラウザを切る俺。
「あっ・・・・何で切るの? ひどいよ祐一・・・・」
「やかまひいっ! なんであんなもんをBGMにしたんだっ?!」
「うにゅーっ、だって、あれは大切な思い出なんだし・・・・」
「まあまあ祐一さん、どうしたんですか? 今のはいったい・・・・」
 突然、言い合いになった俺達に向かって栞が止めに入る。
「い、いや、なんでもないっす、栞さん、はい」
「ふーん・・・・」
「なんだ、香里」
「いや、別に」
「・・・・・・・・・・・・・」
 とりあえず、こっそりとブラウザのBGM設定をOFFにして再び名雪のページを
表示させた。
 そしてざっとページを見て回る。
「・・・・いや、なんちゅーか、結局、あゆちゃんと同じパターンかよ・・・・」
「町内のありとあらゆる店のイチゴサンデー制覇白書・・・・」
「『爆睡爆起の目覚まし全集』・・・・」
「実録『けろぴーの全て!』・・・・」
「猪苗代湖に潜む謎の怪奇生物『物体X』の謎を追え!・・・・」

 最後のがひたすら意味不明だった。いや、これは俺が作ったんだが。
 いや、とにかくイチゴとけろぴーの話題ばかりだった。てゆーか、それしかねぇ。
『意味不明だ』
 これが全員の感想である。
「うー、ひどいよみんな・・・・」
 案の定、俺達の感想に名雪は拗ねてしまった。
 しかし、俺はなかなか冷酷非道の男だった。
「そうだな、次は栞!」
「はいっ」
 そう。あっさり話題を変えてしまう。
 うむ。返事は元気な方が良いもんだ。
 栞に教えてもらったURLを入力する。


                  アイスの森

ここはsioriの作ったありとあらゆるアイスの知識を集めたページです。(^^)

                                                          』

「あれ? カウンターはないのか?」
「ええ・・・・あんまり自信がなくって・・・・」
 栞は照れながら言った。
 まあ、作ったばかりだろうし、そんなこともあるだろう。
 とりあえず次々、リンクを開いていく。
 あったのは自己紹介、バニラアイスの作り方などレシピ多数。
 本人は自信がないといっていたようだが、そこそこ掲示板の書き込みもあるようだ
し、初心者にしては上出来な方であろう。
「栞、もっと自信もってやってみたら良いんじゃない?
 みんな、あなたを見てるだろうし」
「そうですね。ありがとうお姉ちゃん」
 香里の励ましに、にっこり笑っていう栞。
 うむ。良いねぇ、美しき姉妹愛。
「・・・・祐一。このリンクはなんなの?」
「・・・・はい?」
 その時、今まで沈黙していた舞が画面を指差して怪訝そうな声を上げた。
「あっ・・・・それはっ」
 栞がはっとした声でいった時には遅く、俺はそのリンクをクリックしていた。


           ファミコン番長列伝!!
   凍りつけ! アイス系ゲームばかり集めた百選!!
            祝! 50000HIT!
                                   』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 一同は沈黙した。
 ば、番長ですか・・・・
 アイス系ゲームって一体・・・・
 しかも、50000HIT・・・・
「祐一・・・・これ、アイ○クライマー・・・・」
「こっちは、けっきょく南極大○険・・・・」
「うわー、ペ○ゴまである・・・・」
「アイス○ッケー・・・・」
 ま、マニアックだ・・・・しかもすこぶるレトロゲー・・・・
「栞・・・・おまえ歳いくつだ?」
「あーっ! そんなこと聞く祐一さんなんて嫌いですっ!」
 栞お決まりのフレーズを無視して続ける。
 掲示板を見ると、やたら濃い話題が集中していた。

『アイ○クライマーのカセット2000本買い占めました。
 これで、ピラミッドが作れます』

『こちらは5000本。今度、五重塔を作ってみます』

『ベッドにしたらヘルニアになりました』

『押し入れに入りきりません』

『彼女にフラれたッス』

 な、何かが間違ってやがる・・・・
 こいつら、同じ種類のカセット集めて積み重ねて飾ってやがる・・・・
 おまえらそれで良いのか・・・・プレイすること忘れてるし・・・・
 俺の中の何かが音を立てて崩れていったよーな気がした。
「ペ○ゴは名作です!」
「誰もンなことは聞いてないっ」
 栞のページはもうどうでも良い。濃すぎるし。
「うー」
「はいはい! 次は・・・・真琴!」
「あぅっ! 見てらっしゃい! 祐一をぎゃふんといわせるホームページを作ったん
だから!!」
「あ、今度は私が操作します」
 俺と席をかわり、キーボードを操作する天野。
「美汐ー、早く早くっ」
「はい。ちょっと待っててくださいね」
 再びENTERキーを叩く。
 表示されるホームページタイトル。


               『きつねぢるうどん』


 そして、タイトルの下にでっかく表示される画像。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
 表示されたページの有様に、思わず凍りつく一同。



          管理者A・きつねぢる
          管理者B・きつねぢるM
                              』

『・・・・・・・・・・・・・・・・』
 一同やはり凍ったままだ。
「あぅーっ? みんなどうしたの? なんか固まっちゃってる・・・・」
「きっと私達のページの美しさに声が出ないのでしょう」
 ・・・・いや、ある意味すごいとは思うが・・・・
「・・・・真琴。おまえはこの画像を見てなんとも思わないのか?」
「あう? そりゃ、綺麗だなーって」
「確かに綺麗だが・・・・」
 これは・・・・この画像は・・・・

 『曼陀羅』ですか?!

 そう。確かに曼陀羅だった。
 しかし・・・・何かが違う・・・・
 なんと曼陀羅の中心には、真琴を偶像化したとおぼしき、やたら目のでかさを強調
した目つきの悪いキツネだった。
 ご丁寧に後光までさしてやがる。
「『ものみの丘』の妖狐達に感謝を込めて作りました」
「は、はぁ・・・・」
 しかし・・・・感謝も何も、こんな目つきの悪いキツネを描かなくても・・・・
「ちなみにマンガも描いてみました」
 そういってリンクをクリックする。
 そこに表示されたマンガは・・・・なんというか・・・・

 曰く! 形容しがたいッス!

 デフォルメされてるくせになんか妙に残酷だしッ!!
 しかも適度に意味不明ッ!!
 てゆーか、これ絶対バチかぶりッスよ! ちゃいまっか?!
「・・・・真琴。このページのタイトル、おまえが考えたのか?」
「ううん。美汐だよ。美味しそうな名前だよね」
「・・・・おまえはこれもなんとも思わないのか」
「だから美味しそうって・・・・」
「・・・・もういい」
 なんかどっと疲れてきたよーな気がする。
 とりあえず掲示板を見てみよう。
 ・・・・・・・・・・・・・・

『T町のはずれにある廃墟に幽霊が・・・・』

『○○市の丸井病院跡廃墟の中に散乱するカルテを持ちかえると、
 夜な夜な「カルテかえしてください・・・・」という謎の電話が・・・・』

『ユネスコ館跡は凄まじい瘴気が漂って・・・・』

『真琴ちゃん萌え萌え〜』

『神に祈りましょう』

 なぜか怪奇スポット掲示板になってやがる!!
 しかもなんか真琴の実名バレてるし!! 内容関係ないしッ!!
「良いのか・・・・本当にこれで良いのか・・・・」
 俺の頭んなか混乱。
 不条理な人生だった・・・・
「・・・・祐一。馬鹿やってないで私のページも見てほしい・・・・」
「誰が馬鹿だっ?!」
 後ろからいらんことだがある意味的確な指摘をするのは、川澄舞。
「私のページ・・・・」
「ああ、はいはい! わかりましたよ! 見れば良いんでしょう、見れば!」
 なかばヤケクソになりながら舞のホームページのURLを開く。
「・・・・うん? なんか重いな。ページが出てこない」
「ああ。スキャニングした画像が貼ってあるからなかなか出てこない」
 冷静に呟く舞。
「作成には佐祐理にも手伝ってもらった」
「ほう、そいつは楽しみだ」
「あははーっ、でもそんなに難しくはなかったですよ。むしろ簡単でした」
「と、いうと?」
「・・・・画面が出てきたわ」



         このごろで食べてます?
           
    牛丼の吉野は、吉野ではありません。
                                』


 ・・・・と表示された。『このごろ・・・・』のくだりは、スキャニングされた画像で、ど
うやら広告らしい。縦書きだ。
「川澄先輩。なんですか? これ?」
「・・・・誤字訂正」
「これだけっすか?」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あははーっ、舞は、牛丼が大好きですからねーっ。たぶん、皆さんが吉野家を、吉
野『屋』と書いてしまうのが許せなかったんじゃないでしょうかーっ」
「な、なるほど・・・・よくわかりました・・・・」
 もうなんでもいいや。
「はい、次!」
「・・・・佐祐理は作らなかったの?」
「ごめんねー、舞。佐祐理のページは今改装中なの・・・・」
「そう・・・・残念」
 あらら。佐祐理さんはパスか。
「実は私も改装中なのよ。ちょっと見栄えが悪いから・・・・」
 あれれ。香里もか。しょうがないな。
 うーん・・・・それじゃあ残るは・・・・
「・・・・北川?」
「おう!! やっとオレ様の出番が来たか! はっはっはっは!
 さあ相沢、ちょっとどいてくれ!!」
「あ、ああ・・・・」
 急いで席をかわる。
 そして目にもとまらぬ速さでキーボードをうつ。
 北川のホームページが表示された。



     オレの一番好きなひとは目の前にいる人さ・・・・

       ミッドナイトラヴァーkitagawaの愛の巣
        あなたは000001番目の淑女です。
                                  』


 背後に流れるBGMはなぜかカトちゃんのヒゲダンス。

 ズドム!!
 どげしゅっ!!

 瞬間、香里と栞の無言の一撃が北川の脳天に決まっていた。
 しかも、何やら二人の表情が、北○の拳ばりの劇画タッチになってやがる!
「ちょっと待て!! なんなんだっ!! このページの何が不満だっていうんだっ?!」
 まるっきし自覚もクソもない口調でほざきやがる北川。
 ちゅーか、これじゃまるっきしキ○ガイ。
「ほほーう、き・た・が・わ・くん? まだ何か言い足りないわけ?」
 香里の背後に鬼が見えた。怖い。
「待てっ! 違うんだ美坂っ! このページは仮の姿なんだっ!!
 本当のオレのページは別にあるっ!!」
 ・・・・はい?
「どういうことよ?」
「まあ、とにかくこれを見てくれ」
 落ち着きを取り戻した北川は、何やらこのキ○ガイのページの下方の黒い部分をク
リックした。
 隠しページか?
 またまた次の瞬間表示されたページに俺達は、再度驚愕することになった。


                東北連合武道派
          竜神会ホームページ
          極道! 美坂節!
            祝300000HIT!

                               』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 あまりのことに一同無言。
 すこぶるでかいし、ご丁寧にも勘亭流フォントで書かれたタイトルにも驚愕したが、
背景にも驚愕した。
 背景は・・・・いわゆる紅白。
 んで、やはりBGMが流れている。
 水戸黄門のテーマが。
「・・・・ふっ。その名の通りに、オレの愛する美坂のために作ったページさ・・・・」
 いや、しかしいくら愛していてもセンスに問題がありすぎないかね?
「で? 北川くん。このページは私のために、何をしてくれるページなわけ?」
 あ、香里が怖い。声が滅茶苦茶怒気をはらんでる。
 しかし、北川は全然気づいていない。
「ふっ、みんなでCGを描いたのさ。美坂のな」
 そういって北川はCGのリンクを開く。
「ふぇーっ、すごく綺麗ですねー」
「あら・・・・これなら許しても良いかな・・・・」
 素直に感心する佐祐理さんと、瞬時に心変わりしてる香里。
 そう。それほどまでに綺麗なCGだった。
 題材はもちろん香里。何やらアニメ絵に変換されてしまっているようだが、その
香里と思われるキャラに着せられた服装もとても清らかであった。
「・・・・このお姉ちゃんのキャラは北川さんが描いたんですか?」
「いや、これは投稿者の作品だ。オレの描いた美坂は別にある」
「北川くん。見せてくれる?」
「おう!! 作成に一週間かかった自信作だ! ぜひとも見てくれ!!」
 そういって画像へのリンクをクリックする。
「ちなみに3Dだ!!」
 ・・・・はい?
 一瞬、幻聴かと思った。
 しかし・・・・

 ばくちゅどおぉぉぉぉぉぉんんんっ!!!!

 表示されたCGの前に、北川以外の全員が自爆した。
 な、なんと申したら良いのか言葉が出ませんが・・・・これは・・・・一言でいうと・・・・

 ポリゴン?!

「ああ・・・・あ・・・・あああああ・・・・」
 や、やべぇ。香里が壊れやがった。
 確かにこれはポリゴンだった。しかもすこぶる角張ってるやつ。
 無理やり表現するなら、最近流行りの3Dシューティングゲームの主人公みたいな
感じってやつか?
「ま、まぁ、これはこれで味があって良いじゃないですか」
 フォローになってねぇぞ栞っ!!
 しかもなんだよあれ! 胸がまるっきりゴムボールじゃねえかっ!!
「きーたーがーわーくーん?」
「おう!? 感想ならいつでも受け付け・・・・」

 ごずっ・・・・

 香里の無言の一撃が北川の脳天を打ち砕いていた。
 たまらずもんどりうって倒れる北川。
釘バットはひでぇんじゃねぇか?」
 てゆーか、バトル・ロワイアルも真っ青だっ!!
「いえ、さすがにこれはひどすぎると思ったし」
 ポリゴン香里を指差しながらいった。
 まあ、確かに・・・・うん・・・・
 おーおーおー、血ィ吹いてるぞ。北川・・・・
 まあ、ギャグだからすぐに復活するだろうけど。
『ちーん、ぽくぽくぽくですぅ』
 しばらくの間、全員の念仏が俺の部屋にこだましていた。

 何はともあれ数時間後・・・・

 みんなはあの後、家に帰った。秋子さんも帰ってきたので夕食を取り、俺は自分の
部屋で名雪のページ作成を続けましたとさ。


                 END!!


 おまけ

「あれ? これは・・・・」
 ここは、俺の部屋。ページ作成も一段落し、さあ寝ようかと思っていたところに、
目に飛び込んできたのは、床に落ちていた2枚の紙切れ。
「HPアドレス・・・・? あれ? これ佐祐理さんの筆跡・・・・
 ・・・・こっちは、香里のアドレス?」
 ふむ。間に合わなかったとか言ってたけど、アドレスがあるみたいだし、いちおう
見ておくか。
「http://・・・・と・・・・」
 まずは佐祐理さんのページだ。
 アクセス音の後、ページが表示される。

『遺体保存に関する考察・・・・』

 ぶちっ

 言い知れぬ恐怖にかられてページを閉じた。
 な、なんだったんだ・・・・今のは・・・・
 しかし、俺の中に巣食いだした恐怖のせいで、もはやページを開く気にはならなか
った。
 ・・・・次。香里のページだ。
 開く。

『エグリゴリ・栞盛り』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 一寸意味不明だった。タイトルが。
 あれか、単に名前の語呂が良かったとかそーゆー・・・・

 内容は・・・・

 ・・・・栞のプライベートの秘密がぎっしり・・・・
 なんでそれを香里が・・・・

 ・・・・なんか俺、香里の新たな世界を垣間見た気がする・・・・
 俺はそっとページを閉じた。

 本当のEND!

 あとがき
 どうも! アークです。(^^)/
 皆さん、いかがだったでしょうか?
 やー、もうわけわかりません。(爆)
 北川くんのネタには苦労しましたよ。恥ずかしい台詞探してインターネットさすら
 いましたし。(笑)
 ポリゴン香里、見てみたいっすね。(笑)

 皆さん、感想お願いします! なんだか少なすぎて悲しいです。(悲)

 それでは!!