プロローグ〜夢を見ること
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総天然色で、時にはSF、時には神話、時には歴史叙情詩。その主人公になったり、少女になったり、神になったり青年になったり、夢の中の私は忙しい。
夢は夢でしかない。けれど、時々不思議なことがおこる。それは、夢のはずなのに、現実であったりすることだ。
私は夢の中で、ある人達に出会った。その人達も私も、夢を見る時々で年齢も身分も違う。そして、その人達は現実にこの世にいた。思いも寄らぬ、出会いに、驚嘆すると共に、人の「縁〜えにし〜」の深さを思った。
それは、ちょっとだけミステリー
ちょっとだけファンタジー
ちょっとだけノスタルジー
そして、恋心20%の友情でもあった。
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通信世界での出逢い
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もう、はっきり憶えていない。何が、きっかけで私はSさんとメールを交わしたのだろう・・・。
そして、どうして、彼と関わりがあると思ったのだろう。
Sさんが開いたパソコン通信内のパティオで、彼の仲間と出会った。
驚いた。私が見た夢を知っている人がいる。それを不思議と思わない人がいる。
言葉を交わすたびに、質問を繰り返すたびに、彼らの記憶と私の記憶は重なっていく。
疑った。偶然だと思った。これはお遊び。新人さんをからかう、お遊びだとも思った。
しかし。こちらから、提供しない情報を何故、彼らは私の前に提示するのか。
偶然という確率を超えた事実。偶然という名の必然。
SさんとPさん。私は、彼らを知っていた。彼らと出逢う前から。
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太古の記憶
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その夢は、唐突に始まり、唐突にさめた。
憶えている情報は数少ない。私はその建物から出たことがないので、地理的なことはよくわからない。
山の中。しかし、山奥なわけではなさそうだった。川が流れている。
石のようなもので作られた神殿のような建物。階段はあるが、上の階へあがるにはエレベーターがある。
エレベーターは電気仕掛けではなく、磁力を利用したものである。
板の下で、小さな爆発?を起こさせるようにして、その反動で上に上がる。
その日の朝は、ミルク色の深い霧に包まれていた。
川のせせらぎがかすかに聞こえる。吹き抜けとなった階下が見える。
しんと静まりかえった建物の中、見えない何かを見ようと目を凝らしている自分がいた。
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竹林の里で・・・
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山道をバスは走る。その日はとても天気が良くて、日が燦々と降り注いでいた。
僕はバスに揺られながら、今がどこか遠い日の夢でも見ている感覚に暫し戸惑ってしまう。
でも、これは明らかに現実だ。竹林を抜けるとバス停がある。乗客は僕をのぞいて誰もいない。静かすぎる昼下がりだった。
バス停で降り、しばらく行くと、村が見えてくる。新緑の覆う山々がきれいだ。ここへ来るといつも心が洗われる。
早乙女達が田植えをしている。ここは女ばかりの村だ。彼女たちは僕と目が合うと頬を赤らめて、伏せるように会釈し、挨拶をした。
「主(ぬし)様、ごきげんよう。」
「主(ぬし)様、お久しぶり。」
僕は彼女たちに微笑みで返す。連なる田圃が終わると菜の花の咲き乱れる畑が続く。
畑のそばには老婆とその孫娘、孫娘の母が畑仕事をしていた。
老婆のそばで遊んでいた5つくらいの少女が僕に気づき、走ってきた。
「主(ぬし)様、どうなすったの?こんな急にいらっしゃるなんて。」
少女は無邪気な瞳でそう問いかける
「ちょっとね。ここに来たくなったんだ。」
少女の目線にあわせ、かがんで返事をしていると、少女の母が顔色を変えて走ってくる。
「申し訳ありません。おそれ多い。これ、礼儀をわきまえて。」
最後は少女に言いながら、母親は頭を下げた。
「かまわぬよ。子供は宝だ。」
少しふくれっ面になった少女の頭をなでながら、僕は母親にそう答える。母親は恐縮して、頭を下げ、少女の頭を無理に下げた。
僕はにっこりと笑い、手を振って少女に別れをつける。
そうやって、いくつかの畑や田圃を見回りながら、「ここはいい。」と僕はつぶやいていた。
帰りのバスを待っていると、村の長である「とじ」がゆったりと現れた。「とじ」もずいぶん年を取った。「とじ」は僕の乳母でもある。
幼い頃、僕はここで育ったのだ。
「○○○○さま。」
そう呼ぶ声も、幼い頃から聞き慣れた発音、そのままだ。
「これを持ってお行きなされ。」
「これは?」
「とじ」が差し出した手のひらには小さく折り畳まれた紙がある。
「苦虫を封じるくすりじゃ。」
「苦虫って・・・。僕には、今必要ないよ。」
「いんや、必要があるから、ここへきなすったんじゃ。表で何かあったと見える。あまりよいお顔をしておらぬ。 苦虫が出てきておるのが、その証拠。」
僕は苦笑した。「とじ」には隠せぬ。そう思う。
「わかったよ。ありがとう。」
「いつでもかえって来なされ。ここは御身のふるさとじゃ。」
「ん。そうするよ。心配させて悪かった。」
「いんや。必要があるから、我らはここにおる。おたっしゃでの。」
そういうと、「とじ」はくるりと背を向けてまたゆったりと消えていった。
バスが来る。夢のような空間を残して、バスは現実へと帰っていった。
*「○○○○さま。」は個人名で、私の知っている人と同じ名前です。よくある名前とは思いますが、個人が特定できるといけませんので伏せ字にしておきます。
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行く先は・・・・・
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2年ほど前、まだ、SさんとPさんに出逢ったばかりの頃。まだ、お二人の顔も、姿も本名も知らなかった頃の夢。
緩やかな上り坂。道の右側には等間隔で灯籠が立っている。道の左側には川が流れていた。
少し上を見上げると、遠くにハイウエイなのか回廊なのかわかりにくいが、そういうものが道の上を横切っている。
私はPさんと二人でこの道をゆっくりと歩いていた。行く先は「狭井神社」という名前のところである。
Pさんは歩きながら、いろんな話しをしてくれたが、肝心な部分は聞こえない。
Pさんの容貌は、身長は170センチ前後。細身の体。
一度話し出すと饒舌になるのか、それとも黙っていては気詰まりなのか、とにかく話しが終わらない。
私はいちいち頷き、質問しながら、その話を聞いていた。
そして、私たちは神社の前につく。鳥居をくぐろうとしたときに私たちは、Sさんに止められた。
Sさんの後ろには修験者のような服を着た老人がいる。Sさんはその老人に私を止めるように言われたのだろうか?
「入ってはいけない。今は、入るときではない。」
Sさんは中央アジアの遊牧民のような、中近東の貴族のような、民族衣装のような服を着ている。左手にはギターのような楽器を手にしていた。SさんもPさんと同じくらいの身長で、やはり細身だった。
Pさんはかすかな微笑みを浮かべ私に「行きましょう。」という。
厳しい顔でSさんは、私を制した。
私は迷ったまま、PさんとSさんの顔を見比べていた。
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