クラヴィスの憂鬱

(前半要約)
ロザリアが新女王に、アンジェリークが女王補佐官に就任してまもなく、アンジェリークは将来を誓ったクラヴィスのもとへ内緒で訪れた。このことが原因か、その夜、聖地には異様な気配が漂ってくることに。その暗黒の気配がクラヴィスの館から起こっていると感じたジュリアスはクラヴィスを森の封印の牢に閉じこめた。しかし、事態は治まる気配もなく、ランディとオリヴィエは体調を壊し、そのうち聖地にはチラチラと雪が舞い始めた。


その夜、聖地は降り続く雪に覆われ尽くした。


『アンジェリーク、目覚めるのよ、アンジェリーク』
「女王陛下」
『アンジェリーク、緊急事態よ。わたしを宇宙を助けて、アンジェリーク』
「ロザリア…」
「どうしたのだ、アンジェリーク」
「クラヴィスさま。女王陛下のお召しです。至急謁見の間へ向かわねばなりません」
「…わかった…。
他の守護聖のところへはここから使いを出そう。急ぐのだ、アンジェリーク」


静寂に包まれた女王謁見室に集まった守護聖たちは
ジュリアスといえどもさすがに緊張した面もちだった。
「これより女王陛下のご意志をお伝えします」アンジェリークの声が響いた。
「王立研究院の調査によって、明らかにこれまでにない力が働いていることが判明しました」
守護聖たちの心の動揺が空間を震わせた。
「その力は、みなさまもご存じのように今、聖地に雪を降らせています。
そして、これから、女王陛下のご決断とお力によりこの力が
他の惑星や宇宙に及ばないよう、この聖地と主星をシールドいたします」
「お、恐れながら女王陛下」
『ジュリアス』
「聖地を封鎖するということは、我々の力も他の惑星や宇宙へ及ばないということ」
『その通りです、ジュリアス』
「ジュリアスさま。女王陛下はそれを承知で聖地を封鎖されるのです。
それほどに危険な事態なのです。
しかし、このまま、みなさまの力が届かなければ宇宙はいずれ破滅してしまいます」
『幸い、わたしの力は聖地の外にある。わたしの力でしばらくは宇宙を支えることは可能です』
「守護聖のみなさま方。時間はありません。
この邪悪な力の源を絶つために、闘いの準備を進めてください」
「闘いの準備ですって?」
「リュミエールさま。
王立研究院のパスハさまの報告によると迷いの森ではすでに凍結が始まっているのです。
主星全体を封鎖するために女王陛下は一時、主星より退避されます。
だからわたしたちは女王陛下のお力を借りることなく任務を遂行しなければなりません」


「一体誰を相手に闘おうというのだ」
牢から解放されたクラヴィスが言った。
『クラヴィス。それはその昔、封印の牢で無念のうちに果てた闇の守護聖、ダウス』
「ダウス・・・」
「封鎖された聖地ではいつものような大きなサクリアの力を使うことはできません。
なぜなら、行き場のないサクリアは聖地に住む普通の人々が受け止めるには大き過ぎるのです。
場合によっては聖地自体がその力によって崩壊に向かう可能性もあります」
「じゃどうやって」
『ランディ、マルセル、ゼフェルそしてみなの者。
そのための武器はすでに用意しました。
聖地の普通の人々には害にならぬものです』
「しかし、そのダウスの所在は?」
『北の氷河の果て』
「すぐにも出発しなければなりません。
ただし、迷いの森を抜けてゆくことはできません。
あそこには、すでに恐ろしいほどの黒のサクリアが充満しており、
みなさまのお力に悪い影響を及ぼすかもしれないからです」
「とにかく、道は進みながら探すしかあるまい」
『アンジェリークがともに旅をします』
「アンジェリークが?女王陛下。
恐れながら女王補佐官にそのような危険な任務は」
『ジュリアス。これはほかの者ではできぬのです。
守護聖にはアンジェリークの力が必要なのです』
「さっそく、出立の準備に取りかかってください、みなさまがた」


『アンジェリーク、まず第一陣として出発するものはそなたも含めて5人といたします』
「女王陛下」
『アンジェリーク、あなたが選ぶのよ。
選ばれた者は出発の準備を整えて集いの間へ。
残る者は再び謁見の間へ集まるように』
「・・・」
「アンジェリーク。俺役に立つよきっと」
「ランディさま」
「守護聖の長としてこの危急の事態にじっと手をこまねいているわけにはゆかぬ」
「ジュリアスさま」
『アンジェリーク』
「は、はい女王陛下」
ちょっと考えてアンジェリークは口を開いた。
「それでは・・・」


こうして聖地と共に主星は九人の守護聖を残したまま、女王陛下の力によって封鎖された。

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