日の曜日・宵の口
女王候補を送り届けたその後に、
再び森の湖を訪れたクラヴィスは、
少し前まで2人並んで佇んでいたその場所で、
独り静かに水面を眺めていた。
鬱々とした表情は、何かを憂える様子であった。
☆
ここ数日の間に、大陸は躍進的な発展を遂げ、
中央の島まであと一歩のところまで育成が進んでいる。
このまま順調ならば、次の日の曜日を待たずとも次期女王が決まる。
そして、
試験に携わっている者は敢えて口にはしなくとも、
新女王には彼女が選出されるというのが、
大まかな見解である。
もちろん、クラヴィスも信じて疑わなかった。
昨晩までは…
☆
水晶球が映し出した彼女の未来は、
女王として宇宙を統べる姿ではなかった。
己の傍らで陽気に笑っている、
今と変わらぬものだった。
クラヴィスは、
その真偽を問うべく、この場所に彼女を誘ったのだが、
他愛ない会話を交わしただけで、
今日一日が過ぎてしまったのだ。
☆
惹かれるはすのない彼女の存在に、
翻弄される自分が滑稽でならないクラヴィスが、
自ら好んで積極的な行動をとるとは思えぬし、
自身もそんなつもりは毛頭ないのである。
しかし、
万が一、告げられた未来が事実であって、
彼女が彼女の果たすべき使命を捨てると言ったとき、
自分には受け入れることが出来るのか…。
そう考えるほどに、
クラヴィスの憂いはますます深まるばかりであった。
☆
曇りのない蒼い月が天頂に届いた頃。
クラヴィスは、ようやく終わりのない自問に終止を打った。
たおやかな月光に照らされた路を、
ゆっくり静かに歩きながら、
『星の導きにこの身を委ねるのもいいかもしれぬな』
そう、つぶやいていた。
穏やかな表情をたたえながら…
たくみともみさま 作
26000ヒットのお祝いに頂戴しました。
素敵なクラヴィスさまをありがとうございました。