星が導くように


日の曜日・宵の口

女王候補を送り届けたその後に、

再び森の湖を訪れたクラヴィスは、

少し前まで2人並んで佇んでいたその場所で、

独り静かに水面を眺めていた。

鬱々とした表情は、何かを憂える様子であった。




ここ数日の間に、大陸は躍進的な発展を遂げ、

中央の島まであと一歩のところまで育成が進んでいる。

このまま順調ならば、次の日の曜日を待たずとも次期女王が決まる。

そして、

試験に携わっている者は敢えて口にはしなくとも、

新女王には彼女が選出されるというのが、

大まかな見解である。

もちろん、クラヴィスも信じて疑わなかった。

昨晩までは…



水晶球が映し出した彼女の未来は、

女王として宇宙を統べる姿ではなかった。

己の傍らで陽気に笑っている、

今と変わらぬものだった。

クラヴィスは、

その真偽を問うべく、この場所に彼女を誘ったのだが、

他愛ない会話を交わしただけで、

今日一日が過ぎてしまったのだ。




惹かれるはすのない彼女の存在に、

翻弄される自分が滑稽でならないクラヴィスが、

自ら好んで積極的な行動をとるとは思えぬし、

自身もそんなつもりは毛頭ないのである。

しかし、

万が一、告げられた未来が事実であって、

彼女が彼女の果たすべき使命を捨てると言ったとき、

自分には受け入れることが出来るのか…。

そう考えるほどに、

クラヴィスの憂いはますます深まるばかりであった。




曇りのない蒼い月が天頂に届いた頃。

クラヴィスは、ようやく終わりのない自問に終止を打った。

たおやかな月光に照らされた路を、

ゆっくり静かに歩きながら、

『星の導きにこの身を委ねるのもいいかもしれぬな』

そう、つぶやいていた。

穏やかな表情をたたえながら…



end


たくみともみさま 作

26000ヒットのお祝いに頂戴しました。
素敵なクラヴィスさまをありがとうございました。