守護聖さまの手記

〜台風の目〜



これは、255代女王の御代に行われた女王試験の際

守護聖として聖地にいた者が記した手記である、が

明確にその著者は知らされていない。



10月8日 晴天なり



本日午前、闇の守護聖の突然の異変により聖地が大いに乱れた。

聖地に何事か起こる時、彼の者は常にそ知らぬ振りをしてはいるが

その実、彼こそが事の発端であることが少なく無いように思われる。



この者について、妄想癖のある守護聖が興味深いことを示唆した。

この闇の守護聖こそ、台風の目であると。





俺が思うに、あのお方の周りの空気だけは常に穏やかなんですよ。

どんな事態が起こっても、あの方だけは平然としてるっていうか

興味がないだけだとも言えそうですけど・・・

そう、例えるなら台風の目ってとこでしょうか。





「なんなのだ!!この凄まじく腹立たしい風は!!

ぬ?中央にいるのは、やはりクラヴィス、貴様か!!なんとかしろ!!」


「Zzzz・・・・」


「何を寝ているのだ・・・ってぬおおおおお!!」


「ジュリアス様、御無事ですか?!」


「わ・・・私がこのような風ごときに屈するわけが・・・なか、な・・・か

・・・ろ、おおおおおおおおおおおおおお!!」


血管浮き出させつつそう言いながらも、流されるジュリアス。


「ジュリアス様---!!このオスカー、どこまでもジュリアス様に

ついて行きます・・・っぐ、どわ〜〜〜〜!!」


「ふふふ、お二人とも流されたようですね。

下手に抵抗するからですよ、お気の毒に・・・。」


何故か気持ち良さそうに風の流れに身を任せ順応しているリュミエール。

そして、お子さま達は楽しそうに流されていく。

しかし、やはり余裕はないらしく細い手足をばたつかせている。


「うわ〜スゴイ風だなぁ。俺の風のサクリアとどっちが強いのかなぁ。」


「マジでスゲーな、エアバイク並に良いスピードだぜ!!」


「うん!楽しいね・・・あ、やっぱ僕ダメかも〜〜〜。」


「大丈夫か?!俺につかまれマルセル!!って、お、俺も限界〜!!」


「何やってんだオメーら!!あ、ランディ野郎、オレにつかまるなーーー!!」


そして、お子さま達も結局全員流される。


「あ〜〜〜大丈夫ですか?皆さん。それにしても、ものすごい風ですね〜。

中心の気圧は一体何ヘクトパスカルくらいなんでしょうかね〜〜?」


「あんた!よくそんな呑気なことが言ってられるわね!!

あ〜もう、髪が乱れちゃうよ。」


で、最後にはクラヴィスしか残らない。

静かに目を開けて、一言。


「・・・ふっ、愚かな・・・・・。」





こんな感じだと思うんです。

これ、洗濯機のぞいてる時ふと思ったんですけどね。

なかなか良い例えだと思いませんか?





少々かなり馬鹿げてはいるが、確かに納得出来ない話ではない。

しかし、この守護聖の妄想はいつもの事とはいえ

ただ一つ腑に落ちない点がある。


何故この私が、あのような者に吹っ飛ばされなければならないのだ!!


確かにあの者の起こす事件に、私が惑わされなかったと言えば

それは事実に反するやもしれん。

しかし、しかしだ、私は決して屈する事はない。

首座の守護聖として、彼の者を更生させるその日まで

私は戦い続けるだろう。


すべては、女王陛下の御為に。


本日は晴天なり。

しかし、相も変わらず私の頭の中は

彼の者の起こす台風に悩まされているのであった。



END


あきらさん、素敵なお話をありがとうございました。おもわずにんまりしてしまいした。
どなたのお喋りなのか一目瞭然なところも愉快です。