| by桜木美夜さま |
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私は「闇」の世界にいる・・・。この世界の始まりから・・・。 女王のサクリアの対極に位置するものとして生まれた私。 名もなく。希望(ゆめ)もなく暗闇のなかを生きつづける。 私の解放は世界の「終焉」を意味するから・・・。 だから私は世界の滅びを望む・・・。「解放」される日が くることを祈りつづけながら・・・。 「ここはどこ?」 黒髪を肩のあたりできりそろえた5歳くらいの少年が うちすてられた庭園・・。夜の闇が続く道を歩いている・・・。 紫の瞳を涙でぬらしながら歩きつづける・・・。 彼の目にまるでギリシャ神話にでてくるような神殿のような 建物が姿をあらわした・・・。しかしその色は闇のような 漆黒だった・・・。 「子供?」 建物の奥にある漆黒の玉座のようなところに 10歳ほどの美貌の少女が物憂げに座っていた。 闇色の髪は地に届くほどながくまるで夜の闇をすべてあつめたかのような漆黒の瞳が少年を凍りつくように見ていた・・。 色のすそのながい巫女がきるような長衣をはためかせ少年に近づき。 「こんなところに迷いこんではだめよ・・・。ここは「闇」を封じたところだもの・・・」 と虚ろな瞳をしながらささやいた・・・。 「あなたは?ボクはどうしてこんなところに?」 「私はこの世界に封じられしもの・・。長いときを生きぬきしもの・・。あなたは「闇」の属性を持つ者ね。でもこんなところに迷いこんできたのはあなたがはじめてよ とその幼い外見に似合わない大人びた口調で言った。 「ボクは闇の守護聖のクラヴィスです・・。でもボクは守護聖なんかになりたくなかった・・。母様たちと別れたくなかったのに・・・」 と悲しげにうつむいた・・・。 「あなたも?そう?私もこの世界に生まれたくなんかなかった「意識」をもったばかりに「孤独」などの感情を感じることになるなんて女王のようにすぐ代替わりする「サクリア」として存在するならよかったのに・・・」 とクラヴィスに目線をあわせるようにしゃがみこんだ・・・。 「女王はすぐ代替わりなんて・・。守護聖よりは任期が短いとききましたけど・・・」 小首をかしげて少女をみた・・・。 「私にしたらめまぐるしくかわっているわ・・・」 クスクスとわらいクラヴィスをみつめる・・・。 まるで長い年月を生き抜いた老人のように疲れた目をしている。 白い手首からはしゃらりと黒い石がついた銀環がゆれた・・・。そしてそっとクラヴィスの頬に手をあてた・・・。 「あたたかい・・・」 やわらかい表情でクラヴィスをじっとみつめる。 その手は冷たく生きている人間のものとはとても思えなかった・・。 「あなたは?生きている人なんですか?」 その冷たさに少しおびえたように少女をみつめる・・。 「生きているのかしら?よくわからないわ・・・。長い年月をすごしてもこんなこともわからない・・。自分自身のことすら・・・。名さえないもの私には・・・」 かぶりをふるその耳からは紫色の水晶のピアスがのぞいていた。 「名前も?」 「ええ・・・そうよ。」 「それではなんとあなたのことを呼べば?」 「そうね・・。「闇の巫女姫」とか「終焉を司どるもの」とか言われてるらしいけど・・・」 ますますクスクス笑いながらつぶやく少女に 「じゃあボクがつけても?」 とクラヴィスは頬にさわった少女の手を静かにつかみ 「ユエ・・・。というのはどうですか?ボクの故郷の言葉で「希望」という意味なんです・・・」 はにんかだように笑うクラヴィスに 「そうね・・。それでいいわ・・・」 と小さくうなづいた・・・。 「クラヴィス・。これ以上ここにいてはだめよ・・。「魂(こころ)」の存在でこの世界に長くいたら・・。あなたの「存在」がなくなってしまうわ・・」 「ユエ・・。どういうこと・・・・。」 「詳しいことはいえないわ・・。この宇宙の「理(ことわり)」に関することだから・・。 さあ行きなさい!そうねこれが「導き」の役目になる!早く!」 右の耳からピアスをとりそっと手渡す。 「さあ!はやく!ここから外にでれば・・。「聖地」へもどれるから・・・。 あなたを呼ぶ声があるからその声のほうにいけば戻れるわ!」 「ユエ・・。あなたは?」 クラヴィスはピアスをそっとつかみ問い掛ける。 「私はここをでるわけにはいかないの・・。私は永遠の闇の囚われし者だから。 さあはやくいって!」 「わかりました・・」 クラヴィスはユエを悲しげにふりかえりながらだっと神殿を走り去る・・。 「クラヴィスか・・。「闇」という名を持つ子・・。ここに二度と迷い込んではだめよ・・」 悲しげに微笑してユエはまた深い闇へと「意識」をもどした・・。 「クラヴィス!目を開けよ!」 金色の髪に青い瞳にいっぱい涙をためた少年が心配そうにクラヴィスをみつめていた・・。 「ここは?」 「3日も意識がなかったのだ!どうしたというのだ?」 「わからない・・。どこか悲しい「夢」をみていたけど・・・」 クラヴィスは寝台からそっと身を起こしどこか悲しげにつぶやいた・・。 「「夢」?」 「とっても悲しい目をした女の人をみた・・。どこか母様に似ていた・・」 「そなた!そのようなのんきな夢を?」 「・・・・・・」 黙りこくってしまったクラヴィスを怒ったようにみつめジュリアスは扉からばたんと姿を消した・・。 「ボクを呼ぶ声ってジュリアスのこと?心配させたみたいだな・・・」 そっとため息をつく。その時自分の手のなかになにか硬いものが握られているのに 気がついた・・。それはユエの紫水晶のピアスだった・・。 「これは・・。そっか「夢」じゃなかったんだ・・・」 どこか安堵のつぶやきを残しうれしそうにクラヴィスは微笑んだ。 |
つづく