2003年2月26日


席取り物語


「大阪焼」についての続報です。私が頂いた情報の範囲では、京都、大阪、兵庫においては 「大阪焼」は存在していないようです。ただ、もっと西に行って福岡には存在しているとのこと。 それから、大阪では「大阪焼」に似た「洋食焼」なるものがあるそうです。 形状としては似ているらしいのですが、中味が違うようです。

それから、初めて知ったのですが、大阪では大判焼のことを「回転焼」と呼ぶそうで。 大阪の方からしたら、「東京では回転焼のことを大判焼と呼ぶ」なのかもしれませんけど、 いずれにしろ、ちょっとした驚きでした。


さて、私は毎朝、同じ時間の電車の同じ車両の同じドアから乗って通勤しているのですが、 今年に入ってからでしょうか、毎日のように見かける人がいます。

彼は 20 歳位でしょうか、学生ではなさそうですが、 服装だけを見ると学生風にラフな格好をしています。身長は 160cm 程度と小柄なのですが、 体重は推定 100Kg 以上です。はっきり言って「小太り」を超越しています。

私が電車に乗ると、通常、席はほとんど埋まっていて立っている人がその車両内に 10 人程度、 といった込み具合というか空き具合でして、車両内は見通しが良いのです。で、 その彼はいつも、私が乗り込んだドアの近くのどこかの席に座っていて、居眠りをしています。 顔を上に向け口を大きく開けて、かーーーーー、こーーーーーー とダースベーダーのような呼吸音です。

この呼吸音がかなりの音量でして、電車が走っている時でも、 数メートル離れて立っている私にもはっきりと聞き取れるのです。 彼の隣りに座っている、かわゆい女子高生さんにはさぞやうるさいことと想像します。

彼は私が乗った駅の次の駅で降ります。私が彼をウォッチングしているのは、 わずか一駅だけです。彼は、彼が降りる駅に電車が近づいても、 かーーーーー、こーーーーーーのペースを崩しません。ブレーキをかけて停車寸前になっても、 かーーーーー、こーーーーーーが続いています。

私はいつも、「今日こそは乗り過ごすかも」というヨカラヌ期待で彼を見ているのですが、 彼は一度も乗り過ごしたことがありません。電車が駅に停車してドアが開くと、 その音でかすかに目を覚まします。で、しばらくキョロキョロして、 そこが自分が降りる駅であることを確認して、あわてて降りて行くのです。 あと 2 - 3 秒遅れたらアウトです。いつもこういうタイミングなんですよ。 もしかしたら、「かーーーーー、こーーーーーー」を 238 回繰り返したら目が覚める、 といったタイマーを内蔵しているのかもしれません。

そんな彼ですから、車内ではいつも目立つ存在です。 彼が降りる駅を把握している人も多いと思われます。その証拠に、私が電車に乗ると、 彼の前には誰かが必ず立っています。誰とは決まっていませんが、 メンバーは特定の 3 - 4 人で占められているようです。もちろん、 すぐに彼が降りることを見越して、彼が立った後の席に座ることを狙っているのだと思います。 車内で立っている人の総人数からして、 彼の前に必ず人が立っている確率はさほど高くはありませんので、 狙って立っていると断言しても良いかと思います。

彼が寝過ごしそうになったとき、彼の前に立っている人がどのような行動をとるのかが楽しみですが、 残念ながらそれを目撃したことはありません。今後の課題とさせていただきます。 「着いたのにまだ寝てるよ。起こしてあげようか、どうしようか。うーーーーん。あ、 ドアが閉まっちゃったよ。折角お前が降りるの狙っていたのに、どうしてくれるんだ」 というようなことを予想しておきます。

さて、前述のように彼は横に大きい人ですから、 平均的な成人男性よりも座席の占有スペースが大きくなります。必定、 7 人掛けのシートには 6 人しか座っていません。彼が 1.5 人分のスペースを取り、 彼の脇には 0.5 人分のスペースが空いていることが多いですね。

ですから、彼が降りた後には、二人が座れることもあります。ただし、 彼の前に二人が立っているところは見たことがありません。誰かが立っていたら、 権利はその人のものなんでしょう。一人が立ったスペースに座るために、 二人仲良く並んで立つのも恥ずかしいでしょうし。

とはいえ、彼が立って誰かが座り、まだ空いているスペースに、 ちょうどその駅から乗り込んできたおばちゃんが「あ、空いてるわ」とばかりに座る、 といった光景は珍しくはありません。

かように、彼が立つことで二人が座れることになるのですが、ある日私は、 彼の前に彼以上に横幅のあるおじさんが立っているのを見かけてしまいました。 そのおじさんにとっては、彼の前だけがスイートスポットなのです。 おじさんの横幅では、普通の人が立ったスペースには座ることが出来ないのですから。 彼が立つことに全てを賭けるしかないのです。

そのおじさんがどこまで真剣だったのかは窺い知る由もありませんが、 私はその光景を見て妙に可笑しくなってしまったのでした。

もちろん、彼が立った後に、そのおじさんは目出度く座ることが出来たのでした。




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