会話中に小声になる人がいます。もちろん誰だって、
時と場所と会話の内容によっては小声になることでしょう。私とて例外ではありません。
会議中に誰かが新規事業計画を説明している時に、隣りに座っている人をつついて、
「なあ、あの予算は通ったんだっけ?」
「いや、本部長からは結局ダメだと言われたらしいけど」
「じゃあ、どこから金を持って来るんだ?」
こんな会話をする時は当然小声になります。
会社で机の上の電話が鳴ったので出てみたら、
「高樹さん? 美香です。元気? ねえねえ、今日、お店に来てくれないかなぁ。
今月はちょっとピンチなのよねぇ」
「こらあ、会社には電話するなよ。メールにしろ、メール」
こんな会話をする時にも小声になることでしょう。(これはフィクションです)
また、串焼屋さんで女性と二人で飲んでいたら、彼女がつくねにかぶりついたので、
「フェラチオみたいでドキドキするなぁ。俺のつくねもよろしく」
なんてことを言う時にも小声になることでしょう。(これもフィクションです、いや、
事実に反します)
小声になるのは、周囲にいる人に聞かれないように、という目的があるからでしょう。
聞かれてもかわまないようなことを言う時や、誰にも聞かれる心配がない時には、
小声になる必要はありません。まあ、相手以外の誰かに聞かれる心配はなくても、
恥ずかしいから小声になってしまうこともあるでしょう。それはそれで理解できます。
しかしながら、世の中にはあまり意味もなく、会話中に小声になる人が存在します。
なんちゅうか、小声語りが好きな人なんですよ。ここではそのような人を
「小声語リスト」と呼びましょう。
仮に他の人に聞かれてはまずいことでも、会議室での会議のように、
周囲に誰もいなければ普通の声で話せば良いと思うのですが、
それでも「小声語リスト」は小声になります。単に聞き取りにくくなるだけで、
小声の意味は全く見出せません。
別に誰に聞かれてもまずいようなことではなくとも、突然ヒソヒソと小声になるのも
「小声語リスト」の特徴です。それは例えば、「これは多分、
俺だけが知っていることだと思うけど」的なアピールだったり、
「ちょっと大胆な意見だけどさ」的な意味合いだったりします。話の流れとしては、
その発言は重要なポイントになるのですが、にもかかわらず、というよりも、
だからこそなのかもしれませんが、「小声語リスト」は小声になってしまうのです。
聞き手により注目してもらいたい、という願望が無意識のうちに出て、
その結果として小声になっているのかもしれませんが、
「小声語リスト」はかなり頻繁に小声語りを行います。癖と言っても差し支えないくらいです。
奥様同士の井戸端会議においては、グループの中に最低でも一人は「小声語リスト」が存在します。
井戸端会議は、最も容易に「小声語リスト」のサンプルが観測される場であります。
「○○さんの旦那さん、会社の女の子と不倫中だって」なんていう、
小声になるのが尤もな発言もありますが、「昨日、バーゲンのチラシが入っていたでしょ」
などという発言の後、「それでね、昨日の夕方、駅前のジャスコに行ったのよ」
がいきなり小声になったりもします。意味が分かりません。
ジャスコに行ったのは極秘事項なのでしょうか?
この例のように、「小声語リスト」はどちらかというと女性に多く見られるような気もしますし、
奥様の井戸端会議を想像して頂くのが、私の言う「小声語リスト」
を理解するのに最適ではありますが、男でも「小声語リスト」は存在しており、
会社においての業務上の会話においても、小声語りを連発するのです。
井戸端会議での小声語りにメクジラ立てるつもりはありませんが、
業務上の会話でこれをやられると、あまりいい気分ではありません。
自分達がこれからやろうとしていることが、その「小声語リスト」にとっては、
正道ではなくて裏でコソコソとごまかすような、
そういうイメージで捉えられているのかとも疑ってしまいます。
業務上の会話で必要もなく小声で話すのは、はっきり言って嫌いです。