2003年3月27日


小声語り


会話中に小声になる人がいます。もちろん誰だって、 時と場所と会話の内容によっては小声になることでしょう。私とて例外ではありません。

会議中に誰かが新規事業計画を説明している時に、隣りに座っている人をつついて、

「なあ、あの予算は通ったんだっけ?」

「いや、本部長からは結局ダメだと言われたらしいけど」

「じゃあ、どこから金を持って来るんだ?」

こんな会話をする時は当然小声になります。

会社で机の上の電話が鳴ったので出てみたら、

「高樹さん? 美香です。元気? ねえねえ、今日、お店に来てくれないかなぁ。 今月はちょっとピンチなのよねぇ」

「こらあ、会社には電話するなよ。メールにしろ、メール」

こんな会話をする時にも小声になることでしょう。(これはフィクションです)

また、串焼屋さんで女性と二人で飲んでいたら、彼女がつくねにかぶりついたので、

「フェラチオみたいでドキドキするなぁ。俺のつくねもよろしく」

なんてことを言う時にも小声になることでしょう。(これもフィクションです、いや、 事実に反します)

小声になるのは、周囲にいる人に聞かれないように、という目的があるからでしょう。 聞かれてもかわまないようなことを言う時や、誰にも聞かれる心配がない時には、 小声になる必要はありません。まあ、相手以外の誰かに聞かれる心配はなくても、 恥ずかしいから小声になってしまうこともあるでしょう。それはそれで理解できます。

しかしながら、世の中にはあまり意味もなく、会話中に小声になる人が存在します。 なんちゅうか、小声語りが好きな人なんですよ。ここではそのような人を 「小声語リスト」と呼びましょう。

仮に他の人に聞かれてはまずいことでも、会議室での会議のように、 周囲に誰もいなければ普通の声で話せば良いと思うのですが、 それでも「小声語リスト」は小声になります。単に聞き取りにくくなるだけで、 小声の意味は全く見出せません。

別に誰に聞かれてもまずいようなことではなくとも、突然ヒソヒソと小声になるのも 「小声語リスト」の特徴です。それは例えば、「これは多分、 俺だけが知っていることだと思うけど」的なアピールだったり、 「ちょっと大胆な意見だけどさ」的な意味合いだったりします。話の流れとしては、 その発言は重要なポイントになるのですが、にもかかわらず、というよりも、 だからこそなのかもしれませんが、「小声語リスト」は小声になってしまうのです。

聞き手により注目してもらいたい、という願望が無意識のうちに出て、 その結果として小声になっているのかもしれませんが、 「小声語リスト」はかなり頻繁に小声語りを行います。癖と言っても差し支えないくらいです。

奥様同士の井戸端会議においては、グループの中に最低でも一人は「小声語リスト」が存在します。 井戸端会議は、最も容易に「小声語リスト」のサンプルが観測される場であります。 「○○さんの旦那さん、会社の女の子と不倫中だって」なんていう、 小声になるのが尤もな発言もありますが、「昨日、バーゲンのチラシが入っていたでしょ」 などという発言の後、「それでね、昨日の夕方、駅前のジャスコに行ったのよ」 がいきなり小声になったりもします。意味が分かりません。 ジャスコに行ったのは極秘事項なのでしょうか?

この例のように、「小声語リスト」はどちらかというと女性に多く見られるような気もしますし、 奥様の井戸端会議を想像して頂くのが、私の言う「小声語リスト」 を理解するのに最適ではありますが、男でも「小声語リスト」は存在しており、 会社においての業務上の会話においても、小声語りを連発するのです。

井戸端会議での小声語りにメクジラ立てるつもりはありませんが、 業務上の会話でこれをやられると、あまりいい気分ではありません。 自分達がこれからやろうとしていることが、その「小声語リスト」にとっては、 正道ではなくて裏でコソコソとごまかすような、 そういうイメージで捉えられているのかとも疑ってしまいます。

業務上の会話で必要もなく小声で話すのは、はっきり言って嫌いです。




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