2003年4月18日


普通のホテルにて


私がここで「ホテル」という単語を使うと、ラブホテルのことだと思われてしまう可能性が高いので、 あえて「普通のホテル」と言わなければなりません。その普通のホテルでのことです。

その普通のホテルで、私はトイレに入りました。 トイレに入るために普通のホテルに行った訳ではなく、用があって普通のホテルに行って、 小をもよおしたのでトイレに入ったのです。

無事に小を終えて手を洗っていると、個室からブーンというような音が聞こえてきました。 その音は洗浄・乾燥機能付きの便座の乾燥機能を働かせた音に違いありません。 最近は普通のホテルでも、 ウォシュレットのようにお尻を洗える便座を備えているところが増えて来ましたが、 そこはさらに高機能便座を備えていて、乾燥も出来るようです。

しかし、その音を聞きながら、私は妙なことに気付いてしまいました。

私がトイレに入った時に、既にその個室は占有されていました。個室の中からは、大をしている気配 (ありていに言うと音です)がしていました。でも、乾燥のブーンという音がする前に、 洗浄の音は聞こえなかったのです。

つまり、その個室の主は大をした後、洗浄することなく乾燥を行ったということになります。 個室内の作法は人それぞれで、何が正しいとは言い切れないところが多々ありますが、 洗浄することなく乾燥というのは、どう考えてもおかしいです。

洗浄で*のまわりを綺麗にしてから、乾燥で水分を取るのなら分かりますが、 洗浄もせずに乾燥したら、*のまわりがガビガビになってしまいそうです。 もしかしたら、彼はガビガビマニアなのでしょうか?

単にボタンの押し間違えでない証拠に、その後も洗浄の音が聞こえるわけでもなく、 トイレットペーパーを使う音も聞こえませんでした。そして、あろうことか、 そのまま身支度を始めたらしく、ベルトのバックルのチャラチャラした音が聞こえて来たのです。

個室からどんな奴が出てくるか見届けたい気持ちもないわけじゃなかったのですが、 それよりも、そんな奴とはお近づきになりたくない、という気持ちが勝りました。

私はそそくさと手を拭き、個室のドアが開く音を聞きながら、足早にトイレを後にしました。




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