先日の帰宅時のことです。私は電車に乗り込み、発車を待っていました。
発車を告げる音楽は既に鳴り止んでいて、今にもドアが閉まろうかという時、
二人の女子高生が車内に駆け込んで来ました。駆け込み乗車はあまり良いことではないのですが、
その女子高生達の乗り込むタイミングは、さほど危険なものには見えませんでした。
二人が駆け込んだ時、ホームの駅員さんが「ドア閉まってます」とアナウンスしたのですが、
それを聞いた女子高生のかたわれが「まだ閉まってなーい」と一言。
ウケました。その通りですね。実際にドアが閉まったのは「ドア閉まってます」
が 2 - 3 回繰り返された後です。
その時に限らず、駅員のアナウンスが「ドア閉まってます」と告げることは多いのですが、
そういう時は例外なくまだ閉まっていません。正確に言うなら「間もなくドアが閉まります」です。
「間もなくドアが閉まる時には『ドア閉まってます』とアナウンスすること」
なんていう決まりがあるんでしょうか?
このネタ、いつか書こうと思っていたのですが、件の女子高生の発言にウケたのがきっかけで、
こうして書いた、ということです。
駆け込み乗車を防止したい気持ちは分かるのですが、だからといって、
閉まってもいないのに、「ドア閉まってます」と言うのが効果的かというと、
そんなこともないような気がします。「間もなくドアが閉まりますから、乗車はおやめください」
といった感じのほうが良さそうです。あるいは、「これからの乗車は危険です」とか。
ドアが閉まる話とは別ですが、車内のアナウンスで「一人でも多くの方が掛けられますように、
座席には詰めてお座り下さい」なんてのもあります。
これもヘンです。
「一人でも多くの方が掛けられますように」ではなくて、
「その座席が想定している定員が掛けられるように」ということだと思うんですよ。
七人掛けの座席なら七人が座るべきでして、八人も九人も座る必要はないわけです。
七人掛けの座席に七人が座れなくなる原因というのは、大きく分けて二つあると思います。
ひとつは、荷物を座席に置いたり、膝を大きく広げて座ったりして、
一人が一人分以上のスペースを取っている場合、もうひとつは、誰かの(複数のこともあり)
座る位置が適切でなく間に微妙なスペースが残ってしまう場合です。どちらかというと、
後者のパターンの方が多いような気がします。
で、この二つの理由を念頭に置くと、アナウンスは「座席は七人掛けです。適切な位置に、
一人分のスペースでお掛け下さい」なんて感じがよろしいかと。あるいは、
「左右に半端なスペースを残している方は、どちらかに寄って下さい」とか。
鉄道各社で、あるいは車掌さんによってかもしれませんが、アナウンス内容は微妙に違いまして、
上記のような感じのアナウンスを聞くこともありますが、
あまり実質的な効果が期待できないようなアナウンスになっていることもしばしばです。
実質的な効果が期待できないという意味では、交通安全標語に似ています。
日本人の特徴なのかもしれませんが、こういったマナーをアピールする時の言葉が、
どうも観念的というか、本質を突いていないというか、個人の道徳性に訴えるだけというか、
実質的な効果を生まないものが多いように感じられます。
自転車の不法駐輪がひどい場所に、「自転車捨て場 ご自由にお持ち下さい」
なんていう看板を立てたら、不法駐輪が激減した、なんていう話を聞いたことがありますが、
この看板が「駐輪禁止」なんていう看板よりも効果的なのは言うまでもありません。
こういう感性でアピールするのは大切なことだと思うのでした。