2004年1月27日


「ホームページ」から発する「ネチケット」議論 


昨年末、自動車評論家の徳大寺有恒さんの本を読んでいたら、「(日本の) ユーザはクルマを自分の部屋だと考えている節がある。私は部屋ではなく、 服とか靴に例えられるものだと思う」(文言は正確ではないかもしれません) という趣旨の主張がありました。

これには全く同感です。車内をあれこれ飾り立てたり、 実用上はあまり役に立たない装備をありがたがったり、といったことの理由は、 クルマを自分の部屋だと思っている、と考えると得心がいきます。

クルマを自分の部屋だと思うことの罪は、本当に自分の部屋であるなら問題はなくとも、 ひとつ間違えば人殺しの道具(他者に対しても、搭乗者に対しても)にもなりかねないクルマに対しては、 大いに問題があることを、何の疑いもなくしてしまう、ということです。

ちょっと前に書いた、リアウィンドウのぬいぐるみやルームミラーのお守りもそうですし、 後部座席で子供が遊んでいるようなこともそうです。

そういったことをする人々は、クルマを部屋とか家とかと同等に考えているんでしょうね。

似たようなことは、Web の世界でもあります。個人のサイトを、 その個人の家であるかのように考えている人々がいます。

結果、どうなるかというと、過剰なまでのエチケット至上主義みたいなのが生まれます。 「無断リンク」などという滑稽きわまりない概念を勝手に生み出して、 それがいけないこととされてしまったり、掲示板やメールで顔文字を使うのが良いとか悪いとか、 「レス」なる珍妙な単語を生み出すのみならず(生み出したのはエチケット以前の話か・・・)、 「レス」には亀とか横とか縦とかあるらしいですし、「カキコ」という、 オトナが使うには恥ずかしさ満載の用語であっても、裸の王様のように誰も何も言わない。

言い出したらきりがないのでこれくらいにしておきますが、 個人の Web サイトを家と同等に考えているところから派生していると思われる、 「ネチケット」(←個人的恥ずかしさランキング一位の言葉です)は数限りなくあります。

もちろん、メールや掲示板での付き合いにエチケットやマナーが不要だなどと言うつもりはありません。 ただ、一部には過剰にエチケットを気にしている人々がいるのは事実だと思います。 他人の家にお邪魔するときは、というノリです。

日本は住宅事情が悪いから、クルマや Web サイトにその代替を求めている・・・・、 のかどうかは分かりませんが、それらを部屋とか家とかと同じように考えることには、 何かこう、いじましさを感じてしまいます。

Web サイトを家と考えてしまう原因のひとつは「ホームページ」という単語の誤用にあるでしょう。 ある Web サイトにおけるおおもとのページの意味であった「ホームページ」という語が、 Web サイトそのものを表わすように誤解されて一般に広まり、のみならず、 「HP」などと呼ばれるようになってしまった現状があります。もはや、修正不可能でしょうね。

「ホームページ」の「ホーム」という言葉が家というイメージを形成してしまったんでしょう。 実際、個人のサイトのホームページを見ると「○○の部屋」とか「○○の隠れ家」 (言うまでもなく、○○は個人の名前です)とかいった記述にお目にかかることも珍しくありません。

サーバに置かれた単なる HTML ファイルや Perl スクリプトのかたまりで(XML でもいいけど)、 ブラウザを使えば HTTP のプロトコルで誰もが自由に見ることが出来るモノに対して、 家という概念をあてはめて、それをベースにネチケット(タイプするだけでも恥ずかしい単語だ) 議論をするのは、個人的には全く理解の範疇外ですね。

どうしても家にしたいとしたら、住宅展示場のモデルハウスだと思えばよろしいかと。




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