先日、電車に乗ったところ、私が座った位置の斜め前の席に、
なにやら紙くずのようなものが置いてありました。よくみると、
バレンタイン・チョコの包み紙のようです。
バレンタイン・チョコを買い求めた女性が、バレンタインデーを待たずに食べてしまい、
その包装紙を電車の席に置き去りにした、というような状況が想像されます。
そんなことを考えていると、小学二年か三年位の男子が電車に乗ってきて、
その包装紙の横にちょこんと座りました。
彼の名前を仮に大輔(仮名)君としましょう。健康優良児体型です。
もちろん、大輔(仮名)君はバレンタイン・チョコの包装紙に気づきました。
その年頃の子供ですから、「あ、チョコのつつみがみだ! 中ははいってるかな?」
などと思ったことでしょう。案の定、大輔(仮名)君は包装紙を指でつついてます。
すぐに中味がないことが確認出来たのでしょう。大輔(仮名)君は見るからに残念そうな顔をしています。
顔が「なーーんだ、つまんないの」と言ってます。分かりやすいです。
そして、彼が次に考えたのは、「ここにこんなのがあったら、すわる人が来たらこまるだろうなあ」
のようです。周囲を見渡しては包装紙を見て、周囲を見渡しては包装紙を見て、を何回か繰り返してます。
「どうしよう、ゴミばこはないし・・・、しらんぷりしてようか、うーーーん」といった感じです。
で、大輔(仮名)君は意を決したように包装紙を手にとって、
席の下の床の上に包装紙を置こうとしました。「ここにおいたら、すわれるからな」
などと思ったのでしょう。
しかし大輔(仮名)君、包装紙を床に置く寸前で踏みとどまりました。「やっぱ、
こんなところにおくのはよくないよくない」と思ったのでしょう。
大輔(仮名)君は躊躇を見せながらも、包装紙をもとのように座席の上に戻しました。
なにやら悪いことをしてしまったかのような、そんな様子です。
悩める少年です。近くにゴミ箱があれば、大輔(仮名)君は迷わずに捨てに行ったと思うのですが、
電車の中ではそうもいきません。あれこれ考えて、床の上に置こうとして思いとどまり、
そしてまたあれこれ考えてます。
結局、大輔(仮名)君は、自分の力ではどうにもならないと思ったのか、
包装紙の存在を無視することに決めたようでした。
少年よ、迷いながら悩みながら大きく育ちなさい、などと思っていたら・・・
おばちゃんが乗ってきて、包装紙をひょいと脇にどけて座ってしまいました。
ちょっとだけ尻の下に敷いています。気にするほどのこともありません。
もちろん、そのおばちゃんは大輔(仮名)君の葛藤など知る由もありません。
ああ無情。