2004年2月6日


少年とバレンタイン・チョコの包装紙 


先日、電車に乗ったところ、私が座った位置の斜め前の席に、 なにやら紙くずのようなものが置いてありました。よくみると、 バレンタイン・チョコの包み紙のようです。

バレンタイン・チョコを買い求めた女性が、バレンタインデーを待たずに食べてしまい、 その包装紙を電車の席に置き去りにした、というような状況が想像されます。

そんなことを考えていると、小学二年か三年位の男子が電車に乗ってきて、 その包装紙の横にちょこんと座りました。 彼の名前を仮に大輔(仮名)君としましょう。健康優良児体型です。

もちろん、大輔(仮名)君はバレンタイン・チョコの包装紙に気づきました。 その年頃の子供ですから、「あ、チョコのつつみがみだ! 中ははいってるかな?」 などと思ったことでしょう。案の定、大輔(仮名)君は包装紙を指でつついてます。 すぐに中味がないことが確認出来たのでしょう。大輔(仮名)君は見るからに残念そうな顔をしています。 顔が「なーーんだ、つまんないの」と言ってます。分かりやすいです。

そして、彼が次に考えたのは、「ここにこんなのがあったら、すわる人が来たらこまるだろうなあ」 のようです。周囲を見渡しては包装紙を見て、周囲を見渡しては包装紙を見て、を何回か繰り返してます。 「どうしよう、ゴミばこはないし・・・、しらんぷりしてようか、うーーーん」といった感じです。

で、大輔(仮名)君は意を決したように包装紙を手にとって、 席の下の床の上に包装紙を置こうとしました。「ここにおいたら、すわれるからな」 などと思ったのでしょう。

しかし大輔(仮名)君、包装紙を床に置く寸前で踏みとどまりました。「やっぱ、 こんなところにおくのはよくないよくない」と思ったのでしょう。 大輔(仮名)君は躊躇を見せながらも、包装紙をもとのように座席の上に戻しました。 なにやら悪いことをしてしまったかのような、そんな様子です。

悩める少年です。近くにゴミ箱があれば、大輔(仮名)君は迷わずに捨てに行ったと思うのですが、 電車の中ではそうもいきません。あれこれ考えて、床の上に置こうとして思いとどまり、 そしてまたあれこれ考えてます。

結局、大輔(仮名)君は、自分の力ではどうにもならないと思ったのか、 包装紙の存在を無視することに決めたようでした。

少年よ、迷いながら悩みながら大きく育ちなさい、などと思っていたら・・・

おばちゃんが乗ってきて、包装紙をひょいと脇にどけて座ってしまいました。 ちょっとだけ尻の下に敷いています。気にするほどのこともありません。 もちろん、そのおばちゃんは大輔(仮名)君の葛藤など知る由もありません。

ああ無情。




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