昔々のことですが、私はある女性を好きになりましたとさ。かなり本気で好きになりました。
人生の中で指折り数えられる程の熱烈純愛でした。その女性の名前をA子さんとしましょう。
惚れたひいき目を除いても、A子さんは大層美しい女性でありました。その上、
高樹はA子さんにぞっこんですから、それはそれは超絶美人に見えたものです。
で、アホな高樹はしょうもないことを試みたのです。
街を歩いていてすれ違う女性達とA子さんを比較して、どちらが美女かの勝敗を判定したのです。
すれ違う女性達に対しては、なんとも失礼な話ではありますが、何週間かに渡って、
時々そんなことをしてみたのです。
結果、A子さんは無敵でした。街ですれ違う女性達で、A子さんよりも美女だ、
と高樹が感じる女性は皆無だったのです。相当に人目を引くような美女であっても、
「A子さんに近いレベルだけど、でも、A子さんよりは下」という判定でした。
つまり、A子さんよりも美女度において勝る女性を発見することはなかったのです。
因みに、キャバクラでもやってみましたよ。でも、A子さん以上の美女はいませんでした。
そういうアホなことをしていると、A子さんは一万人に一人の美女であるかのように思えます。
実際、その時の高樹の判断基準では、そうだったでしょう。そして、A子さんが「一万人に一人の美女」
であることが確認できたことに、妙な満足感を覚えていました。
さて、高樹はA子さんにぞっこんだったわけですが、結果から言うと、
二人は付き合うことも、深い関係になることもありませんでした。詳細は省きますが、
何回か食事することには成功したものの、それ以上のことはありませんでした。
悲しい事態ではありますが、でも、彼女の気持ちがこちらを向かないかぎりは、
高樹のA子さんに対する気持ちも徐々に落ち着いてくるわけです。そんな時、
街ですれ違う女性との美女判定をしていたことを思い出し、もう一度してみたのですよ。
気持ちによって、判定がどの程度影響されるのかに興味があったもので。
やはりA子さんは美女ですから、誠に失礼ながら、
ほとんどの女性よりもA子さんが美女に見えるのは変わらないのですが、
無敵というほどではありません。A子さんと同レベルに見える人の数が多くなってます。
時々は「A子さんよりも綺麗だよなぁ」なんて感じる人もいます。
以前のA子さんの評価が「一万人に一人の美女」だとしたら、気持ちが落ち着くと
「百人に一人の美女」か「数十人に一人の美女」という感じです。まあ、その時でも、
A子さんに対しては多少はひきずっているものもありましたから、ひいき目は残っていたでしょう。
それでも、明らかに以前の評価とは違っていたことは自覚できました。
まあ、人間の感覚なんてこんなものでしょう。アバタもエクボという程のものではないにしろ、
好きだという気持ちによって、美女度もアップしてしまうのです。
・・・・という話とは直接関係ないのですが、A子さんに振られたのとほぼ時を同じくして、
高樹はもうひとりの女性、B子さんにも振られてしまいましたとさ・・・・・
さいてーな男ですね・・・・・
若気の至りということで、何卒穏便に・・・・
どちらとも付き合っていなかったので、二股とは呼べませんけど、二兎を追うもの一兎をも得ず、
でございます。