ビジネスマンたるもの、プレスのきいたワイシャツにシャキっとしたスーツで、
ネクタイはキリっと締めて、なんてことを常々考えているわけじゃありませんけど、
ワイシャツが皺だらけとか、スーツがくたびれてるとかは好きじゃありませんから、
それなりに気は使っています。
ネクタイはあまり高いものは買わない主義ですが、それなりにきちんと結んでいるつもりです。
最初に父親から習った結び方はウィンザーノットという結び方で、
形は整えやすいのですが、結び目が大きくなりがちなのが特長でもあり欠点でもあります。
いつの頃からか、ハーフウィンザーノットに切り替え、今はほとんどそれで通してます。
本来なら、ネクタイの太さや素材、ワイシャツの襟の形状なんかに合わせて、
何種類かの結び方を使い分けると良いのでしょうが、平均的太さのネクタイを買いますし、
ワイシャツの襟の形状も平均的なことが多いので、
ハーフウィンザーノットで過不足ないような感じです。
いや、別にノットに関する薀蓄を垂れるつもりもなければ、その資格もありません。
先日、通勤途中で信じられない結び目のネクタイを発見したのですよ
おそらく 30 歳前後のサラリーマン風。中肉中背でどこにでもいそうなタイプです。
ネクタイ自体は普通です。明るい臙脂の無難な色柄です。でも、締めてません。
ゆるく締めているのではなく、締まってません。ぶかぶかです。そして、
どういう結び方をしたらあんな形になるのか分からないのですが、
結び目が大きな長方形なんですよ。
縦長のきりっとした長方形ではないですよ。普通、
結び目は逆三角形かいわゆる樽型になると思うのですが、
樽型の長方形(つまり縦長)ではなく、正方形か横長に近いような長方形なのです。
で、ぶかぶかにゆるんでます。
一旦きちんと締めて、その後、ゆるめたわけではありません。通常、ネクタイをゆるめても、
結び目の形状自体はあまり崩れません。ところが、彼の場合は、そもそも結び目になってません。
どういう結び方をしようとしたのかも全くわかりません。
夜遅くまで残業しているような場合、ネクタイを緩めてワイシャツの一番上のボタンをはずして、
なんていうことをする男は少なくないでしょう。好みはあると思いますが、そういう状況で、
ネクタイをゆるめているのは、私はさほど見苦しいとは思いません。もしかしたら、
それを「萌え」と思う女性もいるかもしれませんね。
彼の場合、そういったゆるめ方とは全く無縁です。あれを「萌え」
と思う女性は日本に一人たりともいないと断言できます。
首に怪我でもしていて、ネクタイをきちんと締められないのかというと、
それもなさそうです。ワイシャツのボタンは一番上まで留めてましたし、
締めなくても結び目だけはもっとマトモな形にできるはずですし。
その彼が学生風であったのなら、「ああ、まだネクタイを締め慣れていないんだな」
という情状酌量の余地もありますが、年齢的に、ネクタイに慣れていないというのも考え難いです。
スーツはしっかりとくたびれてましたから、ほとんどスーツを着ない職業というわけでもないでしょう。
横長の長方形がどの程度大きいかというと、面積比で、平均的な結び目の 4 倍位はありそうでした。
ゆるゆるすぎます。そんなにゆるゆるなのに、長方形を保っているのが不思議でなりません。
彼はどうやって結ぼうとしたんでしょう?
私はこれまでの人生で、色んなネクタイを見てきました。普通のサラリーマンなのに、
猪鹿蝶のネクタイをしていた人もいました。太くてぶ厚い生地のネクタイなのに、
結び目がでかくなる結び型をしていて、超絶に大きな結び目になっているのも見ました。
大長方形の彼の場合、その衝撃度では私史上ダントツの第一位です。柄が派手とか、
結び目が崩れてるとか、ゆるんでるとか、大きいとか小さいとか、そういったことを全て超越してます。
大幅にゆるゆるの大長方形の結び目モドキを形成したネクタイは、その太い方の先端は、
おそらくは彼のミゾオチあたりに位置していたと推定されるのですが、彼はコートを着ていたため、
それが確認出来なかったのが悔やまれます。