1998年3月17日

愛があれば・・・


もう時効だろうから書いてしまおう。関係者でこれを読んでいる人もいない だろうし、匿名だし・・・

もう10年近く前のことである。私は友人Aと居酒屋で一杯やっていた。ところが、 どうもAの様子がおかしい。暗いのである。仕事関係で悩んでいるのかと 思い聞いてみると、違うと言う。それじゃ女性関係かと聞くと、なんと、 Aはこの間彼女と別れたのだということだ。その彼女には私も何回か会ったことが ある。清楚な美人タイプで大変魅力的な娘である。名前をR子さんとしておこう。

AとR子さんは付き合い初めて1年近くになるはずだ。二人の関係について、 それほど詳しく知っているわけではないが、傍目にも二人はうまくいっていた ように思っていた。何故別れたのかと問いただしてみるのだが、Aの答えは 要領を得ない。R子さんが浮気したわけでも、Aに他に好きな人ができた わけでも、何かで喧嘩したわけでもないと言う。

なおも色々と聞いていると、「絶対に誰にも言うなよ」ということで、Aは ようやく重い口を開いた。私とR子さんは直接の付き合いはないが、共通の 知り合いは何人かいるので、そこからR子さんの耳に入ることを恐れていた のだ。つまり、AはR子さんに別れる理由を正直に言っていなかったのだ。

話を聞いてみると、正直言って大爆笑ものなのだが、Aは真剣に悩んでいたので、 笑い飛ばすわけにもいかなかった。別れた事情というのはこういうことだ。

ある日、AとR子さんはホテルですることをしていた。もちろん、それが初めて というわけではない。その日までは、そっち方面でもうまくいっていたのだ。 ところが、人生一寸先は闇、とはよく言ったものだ、誰も予想しえない出来事が 二人に・・・

エッチの中の自然の流れで、69の体勢に入ったとき、その悲劇は起った。 ご存じの通り、69の体勢では、女性の性器および肛門は男性に丸見えである。 だからこそ色々とよろしいわけだが、そのときばかりはそれが災いしたのだ。

もったいぶらずに言ってしまおう。Aの目前にあるR子さんの肛門から、

えのき茸

が一本、にゅるりとはみ出していたというのだ。

R子さんは下痢気味だったのだろう。消化されずに出てきたえのき茸が不運にも 肛門でひっかかり、さらに不運にも拭き残してしまったと予想される。また、 ことの前にシャワーを使っていれば、えのき茸は洗い流されたかもしれない。 いくつかの不運が重なって、このような悲劇を生んだのだろう。

ともあれ、えのき茸を目にしたAはエッチ心が萎えてしまい、そのまま強引に ホテルを出てしまった。そして数日後、Aは別れ話を切り出したのだ。

その話を聞いたとき、私は笑いをこらえるのに必死だった。私ならそんなことは 全然気にならない。多少はびっくりするだろうが、自然の流れのなかでえのき茸を 取ってあげて、ことを続けるに違いない。ましてや別れるなんて考えられない。

ところが、Aはあまりにも深刻だった。

「こんなことを気にするのはおかしいだろうか?」

「でも、どうしても気になるし、もう一度R子を抱きたいとは絶対に思えない」

私は「俺なら気にしないぜ」とは言えても、「お前アホじゃないか」とは 言えなかった。AはAなりに悩んでいたのだ。色々と説教めいたことは思いついたが、 「気になる」という感覚を否定することは出来ない。

Aがどういう理由をつけて、R子さんに別れを告げたのかは分からない。本当の ことを言ったほうが良いのかどうかも分からない。

でも、本当に愛しているのなら、えのき茸くらいで別れるなんて、どうしても 信じられない。愛があれば、えのき茸なんて・・・

Aはその後数年たって、R子さんとは別の女性と結婚した。R子さんが今どうして いるのか、あの別れの真相を知っているのか、私には分からない。





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