| ストリッパー |
|
卒業式の当日にストリップを見に行ったことを Focus された、可哀想な 校長先生の話ではないです。まあ、あの話について偉そうなことを言う つもりはないのですが、「ストリップ見て何が悪いんだ?」というのと 「Focus の記者や編集者は、自分の仕事に誇りが持てるのだろうか?」 というのが、正直な感想ではあります。 で、本題。 数年前のこと、私は職場の同僚数人と飲んでいました。そろそろショバを 変えようかという頃、誰かがストリップを見に行こうと言い出しました。 私は特に行きたいとは思わなかった(ほんと!)のですが、何人かが 「行こう行こう」と言い出し、なんとなくの流れで同行することに。 浅草ロック座ならともかく、この近所にあるストリップでは、踊り子の 質はあまり期待出来ないかな、などと雑誌の知識の受け売りで考えながら、 某ストリップ劇場へ。 そこは広くもなく綺麗でもない劇場でした。元 AV 女優のなんとかいう人が 出演してましたが、名前は覚えてません。さほど有名ではない人でした。 その他には、外国から出稼ぎ(?)に来ているダンサーや、この劇場専属 と思われるおばさんダンサーなど、合計で 10 人位のステージでした。 内容は私の予想通り、正直言ってあまり楽しめるものではありませんでした。 ステージが一巡するころ、一行はブツブツ言いながら劇場をあとにしました。 その数日後、私は夜遅くまで残業し最終電車に間に合うか、というような 時間になっていました。時計を気にしながら、山手線の某駅で電車を待っていると、 私のすぐ隣りに、50 才位の中年女性が立っているのに気が付きました。特に目立った ところもない、普通の中年女性ですが、なんとなく見覚えがあります。 そうです。例のストリップ劇場で踊っていた方だったのです。 服装に特に派手なところもなく、お化粧もしているかどうか分からないくらい でしたので、本当にどこにでもいそうな普通のおばさんのように見えましたが、 間違いなく、あの劇場で踊っていた踊り子さんです。 彼女のステージは、演歌にあわせて日舞風に踊りながら脱いでいくという ものでしたが、その踊りというのが、どう見てもまともに踊りの勉強をした とは思えないものでした。すっすっすっと日舞風の足運びで歩きながら、 両手にも日舞風の動作が入りますが、町内会のオバチャン達の日舞サークル と大差ないレベルです。動きにバリエーションもなく、延々と同じような 振りが続きます。 また、肝心のルックスとバディですが、「昔は美人だったのだろうな」と 感じさせることもありませんし、性欲を刺激するようなプロポーションでも ありません。まあ、推定 50 才としては、若い頃の体型を保っているほうかも しれませんが・・・ そして、これらの欠点を補うような、超絶技や玄人芸があるわけでもありません でした。踊って脱いで見せて終わり、てなもんです。 とまあ、はっきり言ってしまえば、お金を取ってみせるようなステージでは ないと感じたわけです。 誤解しないでいただきたいのですが、だからけしからんとか、金返せとか 言いたいわけではありません。 おそらく彼女は劇場にとっては、「お客をよべるダンサー」ではないでしょう。 でも、彼女は彼女なりに仕事をしているのですね。さして熱意を感じさせる ステージではありませんでしたが、少なくとも彼女が仕事として踊り、 すでに衰えている肉体を晒し、いくばくかの収入を得て、暮しているという ことは間違いないことです。 彼女がこの仕事を好きなのか、やりがいを感じているのか、楽しいのか、 私には分かるわけはないのですが、印象としては全てが「ノー」じゃないか と感じます。 彼女が何故この仕事をしているのかも、分かるわけはありません。これまた 印象で言えば、亡くなった夫の借金を返すため、といったネガティブなイメージ しか浮かんできません。 傍目からは華やかに見える業界でも、当たり前ですが、華やかさとは無縁の人も いるわけです。例えて言うなら、窓際族のオヤジみたいなものかもしれません。 こんな風に勝手に想像することは、彼女に対して大変失礼なことだとは思います。 でも、彼女のステージや駅で電車を待っている佇まいには、そういうことを想像 させるような雰囲気があったのです。 ステージが終わり、帰宅の途につき、駅のホームで電車を待つ彼女を見たときに、 こんなことを考えて、なんとなくしんみりした気分になってしまいました。 同時に、ちょっとだけですが、彼女にエールを送りたいような気分も。 だからといって、もう一度、彼女の踊りを見に行こうとは 思ってはいないのですが・・・
|