| いまどきの軍歌 |
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その日、私は米国からのお客さんと一緒に、新宿にある某社を訪問した。彼は なかなかの日本通であり、日本料理が大好きである。なかでも寿司が大好きで、 ネタの名前はほとんど日本語で言える。 新宿の某社での仕事を午前中で終え、私と彼は昼食を取った。彼のリクエストに より、蕎麦である。何故寿司にしなかったかいうと、前日の晩に食べていたから である。箸の扱いもうまい彼は、特に苦労することもなく、天丼と蕎麦のセットを たいらげ、満足して店を出た。 我々が新宿駅に向かって歩いて行くと、たまたま右翼団体の街宣車が、道を挟んだ 向かい側に止っているのが見えた。例によって大きな声で何かを言っているのだが、 何を言っているのかは聞き取れない。 米国人の彼は、その街宣車を興味深そうに見つめた後、 「あれは、何かの政治団体か?」 と聞いてきた。やはり、万国共通のものがあり、それらしく感じるのであろう。 私が「あれは右翼団体だ」と教えてあげると、ふんふんと納得していた。これ以上 難しいことを聞かれたら、英語で説明できないぞ、と心配していたのだが、彼は それ以上の質問をすることもなかった。 一方、街宣車のほうは演説が終わったらしく、スピーカーからは音楽が流れ始めた。 街宣車の音楽と言えば、軍歌か君が代と相場は決まっているのだが、どうも様子が 違う。「どこかで聞いたようなイントロだなぁ」と考えていたのだが、答えを 思いつく前に、唄が始まった。
たびだーつふねはー、 うちゅうせんかんー、 やーまーとー そう、宇宙戦艦ヤマトの主題歌(唄:ささきいさお)である。 ずっこけてしまった。 アニメ・ソング・イントロ当てクイズなら、最初の1小節を聞いただけで 分かったと思うのだが、街宣車=軍歌というイメージが強かったため、 盲点になっていたのだ。 唄は続く。
うんめいせおい、いまーとびーたぁつー、 かならーずここへ、かえぇってくるとー てをふるーひとぉにー、えがおーでこたぁえーーーー うーん、確かに軍歌的要素はある。宇宙の彼方イスカンダル、ってのはともかく、 その後のフレーズは確かに軍歌的だ。
はるばーるのーぞぉむ、 うちゅうせんかんー、 やー、まー、とー これは若い人材不足に悩む右翼団体のイメージ戦略なのか、私と同世代で ヤマトに熱狂していた人がその団体にいるのか、定かではないが、少なくとも 新鮮に響くことは間違いない。ただ、街宣車が流す曲として適当かどうか、という ことでは意見が分かれそうな気がする。 それはともかく、うけまくっている私に、くだんの米国人は、 'Is that Kamikaze song?' と聞いてきた。私は詳しく説明するのが面倒だったので、 'Yes, you're right' と答えてしまった。はたして、これは間違っているのだろうか?
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