| 羽蟻の挫折 |
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本題に入る前に、ちょっとご報告。 まずは、4月7日に書いた、「顔と名前を隠しての ヌード」と「顔も名前もばれてる水着」はどちらが恥かしいか、という問題ですが、 メールおよび伝言板で何人かの方から、回答を頂きました。 一番多かったのは「体に自信がないから、どちらも恥かしい」でした。当たり前と 言えば当たり前のような気もします。「水着が恥かしい」が若干名。意外だったのは 「ヌードのほうが恥かしい」という方がいらっしゃらなかったことです。やはり、 けっこう仮面の法則(いつから法則になったんだ?)は正しいのかもしれません。 脱ぐときと着るときに関しては、「着るときは情けないから恥かしい」という答え が目立ちました。男性の方で「全裸芸が終わった後で着るのは無性に恥かしい」 という発言もありましたが、合い通じるものがありそうです。 どちらも、回答数がそれほど多くはないので、統計的な意味合いは薄いとは 思いますが、ご参考までに。 さらに、4月9日の「キスマークの体位」に 関しては、予想通り「69」を指摘する声がありました。これは一理ありますが、 私としては、キスマークのつき方(角度)からして、69よりはまんぐりがえし のほうが可能性が高いように思います。その他には、非エッチ系の理由を指摘 する方が若干名いらっしゃいました。ダニにかまれた、というのもありましたが、 あの形はキスマークに違いありません。 回答をお寄せ下さった皆様、どうもありがとうございました。 最後に付け加えますと、「顔を出しての水着」から始まって、顔出し、中出し、 口出し、と話が落ちていって、最終的には「口出しされるのは気持ちいい」と いうことに落ち着いた女性が、某伝言板にいらっしゃいました。めでたしめでたし。
というとこで、やっと本題です。またまた電車ネタで恐縮です。 私は電車に乗って吊革に掴まっていました。休日の昼間でしたので、それほど 混んではいません。天気がよく窓ガラス越しに射し込む日差しで、車内は ポカポカと暖かくのんびしりた雰囲気。 と、車内を飛び回る小虫が。どこかの駅で車内に紛れ込んで来たのでしょう。 ご存じのとおり、小さな虫でも、飛び回られるとかなりうざったいものです。 ブーンと飛び回る虫を追い払わんとして、身構えていた人は、私一人ではありません。 ところが、その虫はさほど飛び回ることをせず、素直にガラス窓にとまりました。 その瞬間、車内に張り詰めていた緊張感が、フッと弛んだことは言うまでも ないのですが、まだ油断は出来ません。また飛び立つかもしれないからです。 その虫がとまったのは私のほぼ正面のガラス窓でした。良く見ると、羽蟻である ことがわかりました。幸いにして、羽蟻はガラスにとまったまま、飛び立つ 気配はありません。ガラスの表面をチロチロと歩き回っています。 そこでそうしているぶんには、特に被害もありませんので、私は羽蟻への 興味を失い、ぼんやりと外の景色を眺めていました。 しばらく経った時、私は視界の隅に、なにやら不自然な動きを捉えました。 ガラスの表面を這い回る羽蟻の様子は、私の視野に入っていたのですが、 その羽蟻の動きに不自然なものを感じたのです。 窓ガラスの表面を上に登っていった羽蟻が、ズルッと 10cm 位滑り落ちた ように見えたのです。ご存じの通り、羽蟻とか蝿とか蚊とかは、ツルツルに 見えるガラスでも苦にすることなく、その表面を歩きまわります。滑って 歩けないとか、滑り落ちるところは見たことがありません。 何かの見間違いか、そうでなければ「猿も木から落ちる」の類いかと思い、 私は羽蟻に注目しました。すると、羽蟻は再びガラスの表面を登り始め ました。 ところがというか、やはりというか、少し登るとまたしても、10cm 程滑り落ち たのです。先ほどの光景は見間違いではなかったようです。また、2回続けて なので、「弘法も筆の誤り」でもなさそうです。 羽蟻という生物が、どの程度の頭脳を持っているのかはわかりませんが、2回 の失敗にもめげず、もう一度登り始めます。真っ直ぐ登って、真っ直ぐ滑り落ちた ので、先ほどと全く同じルートです。 またまたしても、少し登ると滑り落ちました。 「この羽蟻、弱ってるのかな?」 などとも思ったのですが、私は、羽蟻が落ち始める位置が、いつも同じであること に気付きました。 羽蟻はさらにトライを続けます。同じルートです。落ちました。登る。落ちる。 登る。落ちる。登る。落ちる。・・・・・・・ 柳の枝に飛び付く蛙を見ているような気分でした。 さて、問題は何故羽蟻がいつも同じ場所で落ちるのかということですが、 その答えはほどなく分かりました。 光線の加減で見にくくなっていたのですが、羽蟻が落ちる場所には、
の痕がベットリとついていたのです。そうです、ポマードおやじが、後頭部を ガラス窓にくっつけて居眠りしたときに付く、あの痕です。 恐るべし、ポマード・パワー!! ポマードの油分に脚を滑らせて、羽蟻はそこから上に、登ることが出来なかった のです。まだ執拗に無益な登攀を繰り返している羽蟻を観察すると、間違いなく、 ポマード痕のあたりで滑り落ちています。 ああ無情・・・・ 羽蟻の頭脳では、事態を把握することなど出来るわけがありません。まだまだ、 失敗を繰り返しています。 そんな繰り返しが何回続いたことでしょう。ようやく羽蟻は真っ直ぐ登ることを あきらめ、別のルートをとりました。今度はポマードに行く手を阻まれることも なく、自分の思った通りに進むことが出来ました。 羽蟻に挫折感などあるわけはないと知りつつも、チョロチョロとガラス窓の 表面を歩む羽蟻には、妙な哀愁が漂っているように感じました。 私は羽蟻に言いたかった。
すると、私のその思いが通じたかのごとく、羽蟻は、それまで数分間を過ごした ガラス窓に別れを告げて、大空へ(電車の中だけど)飛び立ったのでした。 車内は再び「うるせー虫が飛んでるぜ」という空気に包まれてしまいました。 その場に居合わせた乗客で、羽蟻の苦闘と挫折を知っているのは、私だけでした。
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