| こけし |
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笑いたい時に笑えないのは苦しいものです。 場が深刻な時や、相手が真面目な時は、大爆笑ネタがあっても、グッと我慢しなければ ならないことがありますね。皆さんも経験があるでしょう。それはもう、 苦しいものです。 この種の経験で一番苦しかった時のお話です。またまた、昔話で恐縮です。 学生時代のことですが、サークルの仲間十数人で松島に出掛けました。 そのサークルはバイクのサークルでしたので、当然、全員がバイクに乗って います。十数台のバイクを連ねて走るのは何かと大変なので、適当にグループ 分けをして、それぞれが適当な道順、適当なペースで松島を目指しました。 みんな貧乏な学生なので、宿はユース・ホステルにしました。色々と制限があったり もするのですが、安さには勝てずの選択です。 さて、私のグループはそのユース・ホステルに一番乗りでした。そして、しばらく すると、他のグループも次々と無事到着しました。 事故がないのは良いことなのですが、各グループとも、とりたてて事件もありません でした。我々のサークルがツーリングに出掛けると、必ず大爆笑ものの事件が おきて、晩飯のときはその話題で盛り上がるのですが、今回はその事件がなく、 一同さみしい思い。 しかしその 2 時間後には、全員が腹を抱えて悶絶寸前になるくらい大笑いする ことになるのでした。 ご存じの方も多いでしょうが、ユース・ホステルでは、夕食後にミーティングが あります。ペアレントさん(つまり、オーナーさん)のお話を聞いたり、全員が 自己紹介をしたり、歌をうたったり、といった内容です。 我々は安さにつられてユース・ホステルを選んだだけなので、その手の交流には 何の興味もなかったのですが、ペアレントさんの強い要望で、我々のグループも 参加することにしました。 ミーティングでは、ペアレントさんが松島の見所とか、色々な故事などを説明して くれました。詳しい内容は忘れてしまいました。その後の出来事があまりにも 鮮烈だったので。 ミーティングの最後に、ペアレントさんが歌を披露することになりました。 みんなで歌うよりは気が楽というものですが、その歌のタイトルを聞いた瞬間に、 我々のグループ全員が「ププッ」と吹き出しそうになるのを、グッとこらえる雰囲気が 伝わって来ました。もちろん私も例外ではありません。 その歌のタイトルは、
でした。言うまでもないことですが、我々の頭の中では「電動」の二文字が 前に付いているわけです。 歌が始まりました。静かなスローテンポの曲です。ペアレントさんは歌がうまかった と記憶しています。みんなは内心はともかく、神妙に歌を聞いています。笑える 雰囲気ではありません。 残念ながら、歌詞は忘れてしまいましたが、断片的に覚えている部分をあげて みましょう。もしかしたら間違っているかもしれませんが、ご了承ください。
こけしに頬擦り 既に頭の中は「電動モード」になっていますから、何を言われてもそっち方面の 想像力が働くのですが、「頬擦り」とか「立っている」とか言われたら、これは もうたまりません。笑いをこらえるのに必死です。 ふと、正面に座っている奴と目が合うと、彼は鼻の穴をピクピクさせてこらえて います。そんな奴と目が合ってしまったのですから、さらに笑いの発作が激しさ を増します。彼にとっても事情は同じで、鼻の穴がさらにピクピクしているのみ ならず、体全体がフルフルと震えています。 目が合わないように気をつけながら周りを見渡すと、我々のグループは全員が 似たような状況になっています。 はっきりいって、地獄の苦しみでした。もし、誰かが堪えきれずに吹き出したら、 その場は大爆笑の渦につつまれたことでしょう。 ようやく歌が終わり、ペアレントさんが最後に一言。ものの一分くらいの 挨拶でしたが、それが長く感じられること。もちろん、我々の笑いの発作は まだ収まっていません。 やっと解散になり、我々は部屋に戻りますが、その時は全員がほとんどダッシュ してました。廊下を歩きながら、「ブフッ!」「グフッ!」などと言っている 奴もいます。そして、部屋に入った瞬間、全員で倒れこんで、のたうち回りながら 大大大爆笑! いやー、あれほど笑いを堪えたのは後にも先にもありませんでした。そして、 あれほど笑うことによる解放感を覚えたこともありませんでした。 あのユース・ホステルではいつも「こけしの歌」を歌っているのでしょうか? だとすると、時には堪えきれない奴がいて、大爆笑になってしまうことも あるような気がします。 もしかしたら、ペアレントさんは堪えている我々の姿を見て楽しんでいたの かもしれません。それにしても、あの歌を作った人も凄いが、それを笑わずに 歌える人も凄い。今でもそう思います。
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