1998年5月27日

痴漢の恍惚


手元にある広辞苑によると、痴漢とは・・・・

すみません、広辞苑は手元にはありませんです。

まあ、広辞苑に何と書いてあるかはわかりませんが、一般的には痴漢というのは、 電車やバスの中などで、女性のお尻や胸を触ったり、ちんちんを女性のお尻の 谷間に埋め込んで動いたり、オナニーして精液をひっかけたり、そういうことを する人のことを言いますね。

私がこれから書くのは「これは痴漢と言ってよいものか?」という事例です。 私が電車のなかで目撃した実話です。当の女性にとっては、肉体的な被害は ほとんどないのですが、気色悪いことは間違いありません。ただ、その現場を目撃 した警察官が、痴漢行為の現行犯でしょっぴくことが出来るかどうかは、微妙な ところだと思います。

その日、いつものように私は混雑した電車に揺られていました。朝の通勤時間帯 です。私が立っているところから少し離れて、年のころなら 20 台後半と思われる 大変きれいな女性が立っていました。左手の薬指には指輪をしていましたので、 人妻さんでしょう。身長は 155cm 位で太ってもいない、痩せてもいない、ちょうど よい体型です。グレーのスーツを身につけていて、清楚な感じです。

てなことで、私はその清楚な人妻さんにそれとなく注目していました。電車が駅に着き、 多くの乗客が乗り込んで来ます。すると、その勢いに押されて、その人妻さんが 私にもたれかかってくるではありませんか。ああ、合法的な肉体の接触。私は 腰の脇あたりに、人妻さんのヒップの柔らかなふくらみを感じ、それは至福のひととき でした。

ところが、それはほんのひとときの悦楽でしかなかったのです。ええ、2 - 3 秒程度 です。人妻さんが私との接触を嫌って、体の位置を変えたわけではありません。彼女も また、ダンディな男性(私のことです、念の為)にもたれかかることで、「あぁ、 私をふしだらな女とは思わないで。満員電車だから仕方ないのよ。でも、あなたに 体を預けられて幸せだわ」と思っていたに違いないのです。(異論、反論、異議、 抗議、苦情、その他は受け付けません)

私と人妻さんの間を裂いたのは、一人の男でした。彼は人妻さんが私にもたれかかる のを邪魔するかのごとく(いや、実際に邪魔したのです)、私と人妻さんの間に 強引に割り込んできました。それは押された勢いではなく、「この人妻さんは俺の ものだもんね〜、お前の好きにはさせないぜ、フッ」と言っているかのような態度 でした。

私は「あ、きったねー!」と思いつつ、彼に抵抗しましたが、彼の厚顔無恥な割り込み には勝てず、心ならずも人妻さんとの「合法的接触権」を譲り渡してしまったのでした。

彼は長身です。180cm は確実にあります。30 台前半と思われます。スーツを着た 普通のサラリーマンですが、正直言ってなかなかかっこよい。見た目だけなら、 二枚目と言っても差し支えないでしょう。そう、見た目だけなら、です。

彼は人妻さんのバックをとることに成功していました。ひらたく言うと人妻さんの 背後に立ったわけです。でも、不自然に腰を押し付けたり、お尻を触ったりはして いません。彼は両手で吊り革がさがっているステンレスの棒を握り、アリバイを 主張しています。しかし、彼が紳士でないことは、割り込みをされた私には、 分かっています。何かを企んでいるに違いありません。私はさりげなく彼の行動を 観察しました。

彼は長身ですから、人妻さんの頭の上に顔が来ます。そこで、彼は人妻さんの 頭に顔を近づけて、髪の匂いを嗅いでいるのでした。目を細め、顎をゆっくりと 左右に振りながら、「うぅぅーーーん」という声が出そうな表情で、髪の匂いを 満喫していました。息を吐くときには、口から上の方に向けて吐いて、人妻さんの 頭にかからない心遣い(単に、バレないようにしているだけ)も示します。

露骨です。誰が見ても異様な光景です。しかし、彼の行動に気付いているのは、 私だけのようでした。もちろん、人妻さんも気付いていません。確かに、 女性の髪の匂い(というよりもシャンプーの匂いでしょうが)はいいもんです。 ついつい深呼吸してしまう気持ちも、分からなくはありません。でも、そこまで 露骨にやるか?

朝っぱらから、オヤジの恍惚顔なんぞ見たくもありませんが、彼がそれ以上の 不埒な行為におよぶかもしれませんので、監視の目をゆるめるわけにはいきません。

しばらくは、彼はそうして髪の匂いを嗅いでいましたが、そのうちに飽きたらなくなった のか、人妻さんの髪を口に含もうとしました。2 - 3 本立っている髪の毛を、です。 口を開けて立っている髪に近づけていきます。でも、なかなか実際に含むまでには 至りません。その間も彼は恍惚の表情です。私が睨むように見ているのですが、 それには全く気が付きません。

匂いを嗅いでいるだけならともかく、髪の毛を口に含んだら、そりゃあもう 立派な痴漢行為でしょう。そこまでいったら止めに入ろうと思ったのですが、彼は 微妙なところで、口に含むことをしません。

開けた口を髪の毛に近づけて、半閉じにして髪の毛に沿って動かす、なんて ことはするのですが、なかなかパクリとはいかないのです。それでも、彼は 幸せなのでしょう。なんとも気色悪い恍惚顔は、その恍惚度を一段と増しています。 ベタベタ・カップルのニヤケた顔なんてのは、彼の恍惚顔に比べれば、 まだまだかわいいもんです。

私がもし、サイコキネシス、遠当ての術、または波紋でも使えるのなら、 一発お見舞いしてやりたいところです。

そうこうしているうちに、電車が駅に着き、人妻さんは降りていきました。彼の 行為には、最後まで気付いていないようでした。彼は混雑にまぎれて、 どこかに行ってしまいました。もしかしたら、人妻さんを尾行したのかも しれません。

さて、彼の行為は、女性にとって極めて気持ち悪いことであることは、容易に 想像できるのですが、果たして痴漢行為と言えるのでしょうか?








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