昨日の夜、仕事を終えた私は帰りがけにラーメンでも食って行こうと、最近
お気に入りのラーメン屋に立ち寄りました。
私がカウンターに座って味噌ラーメンを注文し、しばらくボーっとしていると、
店のおにいちゃんが「お客さん、すみませんが・・・」と声を掛けてきました。
何のことはありません。二人連れのお客さんが入ってきたので、席をひとつ移動して、
その二人のために席を空けてくれ、ということでした。
その二人は 20 歳位の学生風カップル。男性が私の右隣りに座り、さらにその右隣りに
女性が座りました。彼らはそれぞれにラーメンを注文しました。男性が味噌ラーメン、
女性が塩ラーメンでした。
ほどなく、私の注文した味噌ラーメンが出来上がり、私は食べはじめました。男性の
ちょうど目の前には、唐辛子やおろしニンニクの容器がおいてあるため、私は
「ちょっと失礼」と言って、手を伸ばしました。彼はその状況を理解しており、
上体をちょっとずらして、私が取りやすいようにしてくれました。
私の味噌ラーメンが出来上がってから、3 分ほど経つと、彼らの注文したラーメンも
出てきました。味噌ラーメンも塩ラーメンも同時にです。
さて、私はものを食いはじめると、それに集中するほうです。複数で食事をするときも、
あまり会話せず、一心不乱に食ってます。ただし、女性とツーショットの時は、
別ですよ。ちゃんと会話します。
要するに、私がものを食べるペースは、決して遅くないのです。かなり速い方だと
思います。
その時も、私には連れがいませんでしたので、グヮシグヮシと食べ続けました。
その店のラーメンのスープはおいしいのですが、塩分の取り過ぎには注意しないと
いけませんので、全て飲み干さずに少し残しました。
貧乏性というかなんというか、私は食べ終わるとすぐに席を立ちたがるほうです。
もちろん、連れがいる場合は、「早く食べちまえよ」なんてせかすことはしませんが、
自分一人の場合は、箸を置いた次の瞬間には立ち上がって会計を済ませます。
昨日も例外ではなかったのですが、私がほぼ食べ終わる頃、隣りの男性の様子が
ちょっとおかしいことに気が付きました。妙にあせってガツガツと食べているよう
なのです。
それまでは普通に食べていたと思うのですが、それほど注意していたわけではないので、
はっきりとはわかりません。でも、私が食べ終わる頃には、かなりガツガツとした
ペースで食べていたのは事実です。彼のドンブリには、まだラーメンが半分程残って
いました。
私のほうが先に食べはじめたのですから、食べるペースとしては私と同程度、若い
男性としては極端に速くもないでしょうが、決して遅いほうではないでしょう。
彼が何故そんなにあせって食べているのかは、わかりませんでしたが、別にたいした
ことじゃなし。私は席を立ってレジに向かいました。そして、そこで気が付いたのです。
彼があせっていた訳に。
彼の連れの女性のドンブリは既に空だったのです。スープもありません。
「速い!」
私は心のなかでアムロ・レイのように叫んでいました。
彼女は私よりも 3 分ほど遅れて食べはじめたにも関わらず、私よりも早く食べ終わって
いるのです。彼のドンブリの中の残量から推定すると、彼女は彼のおよそ 2 倍の
ペースで食べたことになります。
繰り返しますが、彼が特に遅いわけでもありませんし、私だって決して遅いほうじゃ
ありません。
彼女は手持ちブタさんのご様子。「早くしてよう・・・」と言いたげです。
こりゃあ、彼があせる気持ちも分かります。
まあ、他人事ですからどうでもいいのです。ちょっと彼がかわいそうになりましたが、
だからと言って何をどうする訳もありません。
私はお勘定を済ませると、店を出ました。
「あんまり早いと嫌われるぞ」
と心の中でつぶやきましたが、よく考えると、そのセリフは普通は男に言うべき
セリフなのでした。
もちろん、「早い」の意味することは違いますが。