暫く前になりますが、PlayStation2 の仕様が発表されて、話題を集めました。
私もここで PS2 に関していい加減なことを書いたことがありました。
しかし、PS2 で驚いていてはいけません。ソニー・コンピュータエンタテインメントの
久多良木(くたらぎ)社長は、某雑誌のインタービューで PlayStation3 にも
言及しているのであります。
その内容はまさに衝撃、つうか抱腹絶倒というか・・・・
久多良木さんという方は、PlayStation 生みの親でありまして、詳しくは知りませんが、
技術畑の出身だったと思います。つまり、決してコンピュータに関しては
シロートではないのです。むしろ、鋭い見識をお持ちの方だと思われます。
えーとですね、何をこんなに回りくどいことを言っているのかというと、
PlayStation3 の仕様がにわかには信じられないものだからです。
久多良木社長の言葉を借りると、いや正確には某雑誌のインタビュー記事によると、
「PlayStation3 ではフォン・ノイマン型のアーキテクチャと決別する」
なんだそうです。
分からない人には分からないでしょうが、分かる人には抱腹絶倒でしょ?
現在のコンピュータは全て(ごくごく一部に例外あり、かな?)、フォン・ノイマン型
のコンピュータです。
私もそんなに詳しくはないので、あまり詳細を語るとボロがでるのですが、フォン・
ノイマン型コンピュータというのは、メモリ上にプログラムを配置しておいて、
そのプログラム中に存在している命令を、CPU で順次実行していくアーキテクチャの
ものを指します。
ここ 20 年位、あるいはもっと昔から、非フォン・ノイマン型コンピュータの研究と、
その実用化の試みは、数多くなされてきました。しかし、それらは全て失敗で、
まさに死屍累々であります。
現在のコンピュータ技術のほとんど全ては、フォン・ノイマン型がベースになって
います。従って、「フォン・ノイマン型のアーキテクチャと決別する」ということは、
既存のコンピュータ技術のほとんどが利用できないことになるのです。
仮に利用できるとしても、それなりに手を加える必要があるでしょうから、一朝一夕
にはいかない話です。
こういうことを知らないはずのない久多良木社長が何故、「フォン・ノイマン型の
アーキテクチャと決別する」などという、たわけたことを言うのか、全くもって
不可思議であります。
仮に、PlayStation3 のハードを非ノイマン型で作ることが可能だとしても、
ソフトの開発環境はどうするのでしょう? そもそも言語から新しく作る必要が
あるのでは?
仮にそれも出来たとして、ゲーム開発を行う方々がそれについて来れるので
しょうか?
そんなこんなを考えてみると、どうしても非ノイマン型 PlayStation3 というのは
現実的だとは思えないのですよね。
久多良木社長が誇大妄想である、と結論付けるのは簡単ですが、それは失礼ですし、
私などよりはずっとコンピュータ・アーキテクチャに詳しい人でしょうし。
そこで仮説です。
「PlayStation3 のグラフィックス処理系は非ノイマン型のアーキテクチャを持つ」
こういうことではなかろうかと思うわけです。メインの処理系は従来通りのアーキ
テクチャで、3D グラフィックスの処理を行う部分だけ非ノイマン型のアーキテクチャ
にすれば、開発環境の問題も解消とはいいませんが、かなり小さくなるでしょう。
ゲームで使われる 3D データを、最近はやりのシーングラフ(3D の世界全体を
ある特定のデータ構造で表現したもの)という形で保持して、それに対する
レンダリングを非ノイマン型のアーキテクチャで行う、というのはなにらや効率が
良さそうな気もします。
そもそも、現在のグラフィックス・アクセラレータだって、データと命令を
同時に受け取って処理をしているわけで、その意味では非ノイマン的ではあります。
ただし、そのデータは細切れのポリゴンとか三角形の集合体(トライアングル・
ストリップと言います)なので、シーングラフ全体に対して、新しいアーキテクチャで
レンダリングすると言うのは、アイディアとしてはあり得そうです。
この仮説が正しければ、高樹の見識もまんざらではない、ということになりますが、
果たして真相は如何に・・・?