2001年4月10日 ディアブロ


時には深夜の首都高を走ったりもするのであります。 もちろんジョギングじゃありません。何か用があって出かけるのでもありません。 単に走りたくて走るのであります。

深夜の首都高はいわゆる走り屋が多いのであります。彼らのクルマは、 ランエボ、インプレッサ WRX、スカイライン GT-R、シルビアあたりが定番ですね。 排気系統をいじくってうるさい音に仕立てていて、そのくせちっとも速くなかったり、 レカロのスポーツ・シートを入れていながら、シート・ポジションがやたら後ろで 折角のレカロを台無しにしていたり、色々とオチャメな改造で楽しませてくれるのも 彼らの特徴です。

そんな彼らとバトルを繰り広げる・・・、なんてことはするはずもありませんが、 よく見かけることは事実です。時にはバトルを挑まれることも。もちろん、 乗りませんけど。いや、コーナーひとつだけなら乗ることもあるかも。

そういう走り屋と出会うのは珍しくもなんともありませんが、 先日はちょっと珍しい状況になりました。

ある日の深夜、私が首都高に乗って本線に合流し、クォーーーーンと加速していると、 後ろからえらい勢いで追い越し車線を走って来るクルマがありました。 ヒュンと私を抜いていくクルマを見ると、ホンダの NSX でありました。

「オトモダチめっけ!」と思ったわけではありませんが、ちょっくら付いていこうかと。 もちろん、絶対的な性能では私のクルマが NSX にかなうはずもありませんが、 全開で限界走行しているわけではないので、付いていくだけなら充分に可能です。

あまりにもペースが速いなら、早々に離脱するつもりでしたが、ちょうど先が S 字コーナーだったこともあり、NSX のペースはさほど速くはありません。 周囲に他のクルマもなく、制限速度は超えてはいましたが、 さほど危険なスピードには達していません。

「直線では負けてもコーナーでは勝つ!」なんてことは考えてませんよ。 「NSX のくせに意外とゆっくりとしたコーナリングだなぁ」とは思いましたけど。 つうことで、私と NSX はランデブー状態で S 字コーナーを抜けました。 もう少し速いペースだったら、私はステアリングを小刻みに操作しながら、 「幻の多角形コーナリング!」(←古い)と叫んでいたことでしょう。

そうそう、NSX はずっと追い越し車線に居座ってました。良くないことです。

それはともかく、S 字コーナーを抜けたところで前方にクルマ発見。 妙に平べったいクルマです。タダモノではありません。タダモノではありませんが、 その時は走行車線をゆっくりと走ってました。

近づいて見るとそのクルマ、なんとなんとランボルギーニ・ディアブロでございます。 排気量もシリンダーの数も私のクルマの倍でございます。最大出力は倍以上。 恐れ入谷の鬼子母神でございます。

私の前を行く NSX はそのままディアブロを抜いていきます。 私はちょっと迷ったのですが、やはり NSX の後についてディアブロを抜いて しまいました。

NSX はすぐに走行車線に戻りました。良いことです。もちろん私もすぐに戻りました。 ふとミラーを見ると、抜いたはずのディアブロがすぐ後ろにいるではあーりませんか。 恐るべき加速性能です。当たり前ですが。

「あらら」でございます。NSX と私に相次いで抜かれて、きっと「オトモダチめっけ!」 と思ったに違いありません。カリカリになって競争しよう、という感じではないのです。 そこそこのペースで走りながら、ムキにならずに一緒に楽しみましょう、てな感じです。

私は NSX とディアブロに挟まれてしまったのです。だから「あらら」なのです。 彼らがマジで走り出したら、付いて行けませんのことよ。でも、 ここはサーキットじゃないし、彼らの走りもガキンチョ走りじゃなさそうだし、 そんなにムチャはしないよな、などと涙目で考えておりました。

私は 5AT をマニュアル・モードにセットし、サードまでシフトダウン。 アクセルを床まで踏み込むと、DOHC ストレート・シックス・エンジンが咆哮を上げ、 タコメーターの針は一気にレッド・ゾーンめがけて駆け上がる!

などと勇ましいことを書いてみたいのでありますが、ディアブロのエンジンは V12 です。アホ臭くて、そんなことは書けないのであります。

いや、書ける書けないの問題ではありません。マニュアル・モードにセットしたのは 事実ですが、アクセルは床まで踏み込んでませんし、咆哮も上げてません。

つまり、NSX もディアブロもジェントルなペースで走っていたので、 私としてもお気楽に挟まれていられたのでした。まあ、少数ですが他にクルマも いましたし、首都高バトルを楽しみにしているような人種ではないのでしょう。 多少(?)速めのペースではありましたが、余裕を持って走ることが出来たのでした。

そんなこんなでしばらく走っていると、都心環状線への合流が近づいてきました。 私は左で外回りに乗るつもりでしたが、NSX もディアブロも右車線に出て、 内回りに乗るようです。レインボー・ブリッジ経由で湾岸線に出るつもりなのかも しれません。

聞くところによると、深夜の湾岸線では、信じられないようなスピードで 走っているヤツがいるとか・・・

そういうヤツでも、さすがにディアブロに対して仕掛けたりはしないだろうな、 と思うのでありました。そもそも、ディアブロのドライバーは大人のようなので、 仕掛けに乗ることもないでしょうが。







                        
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