2002年2月6日


弱い怪物


漫画でもアニメでも映画でも小説でもよいのですが、 宇宙生物とか妖怪とか突然変異生物とか怪獣とか、 そういったモノが登場することがあります。これらを総称して「怪物」 と呼ぶことにしましょう。

ほとんどの場合、それらの怪物は人間にはない超常的な能力を持っていて、 人間を殺したり、街を破壊したりします。そして、 人間側の攻撃はあまり効果がありません。何か特別なことをしないと、 その怪物を退治することは出来ないのです。そして、その「特別なこと」 がストーリー展開上、重要なファクターになることも多いようです。

そういった設定に文句をつける気などさらさらありませんが、 もしそういう怪物が実在したとしても、人間より強いとは限らないと思うのであります。

例えば、宇宙船がどこかの惑星に不時着して、クルーがそこで怪物と出会ったとします。 常識的に考えて、その怪物が人間より強いとは限りません。強いかもしれませんし、 全くお話にならない位弱いかもしれません。

アニメや映画のように、人間にとって大いなる脅威になるとは限らないのです。 見た目は、映画「エイリアン」の怪物のように恐ろしくても、 実際はナマケモノ並みののろい動きしか出来ず、 身体の構造は豆腐よりもヤワなのかもしれません。

そのような彼らから見ると、人間こそが大いなる脅威です。彼らにとっての人間は、 目にも止まらぬ(彼らに目があるとしたら)スピードで動きまわり、 その体は驚異的に頑健で、二本の「腕」からくりだす「パンチ」は一撃必殺、 ということになります。

人間からしたら軽いジャブのつもりのパンチが、彼らにとってはライトニング・ ボルト並みの破壊力を持つことになるのです。そればかりか、唾をペッと吐きかけたら、 彼らの体がドロドロと溶けてしまうやもしれません。恐るべき超常的能力です。

そんな弱い怪物であっても、エイリアンのように、 その性質は極めて攻撃的なのかもしれません。人間がいくら強くても、 それにめげずにノロノロと攻撃を仕掛けてくるのです。 牙だらけの口をクヮーと開けると、その中からノロノロと小さな口が出てきます。 でも、あまりに動きがノロイので、それを待ちきれない人間がコツンとやると、 彼らの体は爆発したようにふっとんでしまいます。もちろん、爆発する前には 「ひでぶ」とか「あべし」とかいう音を発することでしょう。

仲間の死にもめげず、彼らは次々とノロノロと人間に襲い掛かってきます。 そして、次々と爆発してしまいます。スプラッターですね。阿鼻叫喚ですね。

まあ、可能性としてはこのようなことも考えられるわけです。でも、 そんな映画や漫画はほとんどありませんね。同人誌なんかではありそうですけど、 少なくともメジャーではありません。

そういう話は盛り上がりに欠けるからなんでしょうけど、「怪物は人間より強い」 という決めつけは良くないのではないかと思うのです。

実際のところ、漫画や映画などに弱い怪物が登場することもあります。でも、 それはほとんどの場合、人間にとって友好的な存在なんですよね。「怪物」 という言い方は適さないかもしれません。つまり、友好的ならば人間より弱いが、 敵対する存在なら人間より強い、という図式が一般には成り立つわけです。

時代劇の悪代官が、昼行灯で手下からもバカにされている、 なんてことがないのと同じことなのでしょうが、我々の好む設定というのは、 かなり画一的なものなのだな、と思った次第です。




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