2002年3月15日


「一歩目からフルパワーだった」


ふと思うに、私は文章を書くことが好きなようです。以前から自覚はしてましたが、 ここ最近になって、そう思うことがしばしばあります。

4 年以上もここで駄文を書き散らかしているわけですから、嫌いなはずもありません。 こういった軽い文章だけではなく、技術解説や何かの論評などの重い文章であっても、 文章を書くこと自体が好きなんだろうと思います。

小学生の頃から、作文は嫌いではありませんでしたし、大学入試の小論文も、 実際は私の受験した大学に小論文の試験はありませんでしたが、 苦手意識は全然ありませんでした。大学時代には、 下手な SF 小説を書いて同人誌に載せたこともありますし、 どこにも発表していない未完の作品もありますし。

仕事においても、最終的に文章にまとめるような仕事というのは、 何となくとっつきやすくはかどるものです。

ただ、文章好きの弊害としては、プレゼンの資料を作る時にも、 ついつい文章での説明に走ってしまい、文字が多くて見にくい、 ということになってしまうのでありました。

ただ、文章を書くことは好きでも、文字を書くことはあまり好きではありません。 文字が下手で自分でも嫌になりますし、ペンの持ち方がいけないのでしょうが、 すぐに疲れてしまいますし、書き損じを直すのは面倒ですし。

そういう意味では良い時代になったもので、テキスト・エディタであろうと ワープロであろうと、PC 等で文章を書けるようになり、 文字を書くという苦手な作業からは解放されたのです。 目が疲れやすいという欠点はありますが、PC 等で文章を書くことは、 基本的には全然苦になりません。携帯電話のテンキー入力は楽じゃないですけどね。

自分の書く文章が他人からはどのように思われているのかは分かりませんが、 文体や言い回しなどについては、何人かの作家の影響を受けていると思っています。

思いつくままに挙げてみましょう。ここで普段書いているような軽い文章だと、 椎名誠、夢枕獏、筒井康隆あたりでしょうか。 もう少し堅くて重い文章を書くとしたら、上記の他に平井和正とか竹島将、 もしかしたら小松左京も入るかもしれません。もちろん、 ここに挙げた作家の作品はかなり読んでいるわけですが、読んだ量と受ける影響は、 必ずしも比例するわけでもありません。菊地秀行なんかは、 かなり多くを読んでいますが、あまり影響を受けてないと思います。

自分で書いていて、「あ、これは○○さんの良く使う言い回しだ」 と思うことがしばしばあります。あまりにもそのまんまだと、 自分で恥ずかしくなって、言い回しを変えることもありますが、 敢えて似せたままのこともあります。もちろん、 意識せずに似てしまうことだってあるでしょう。

完全に某作家そのままの言い回しなのですが、いつかどこかで使ってみたい フレーズもあります。「一歩目からフルパワーだった」というフレーズです。 「走り始めの一歩目から、全力疾走に入った」という意味なのですが、 そもそもそういうことが言える状況も限られていますので、 そうそう使える機会がないのです。

かなりクサイ表現なのですが、何故か「一歩目からフルパワーだった」 は好きなのです。某作家の作品を読むと、水戸黄門の印篭のように、 ここという場面で「一歩目からフルパワーだった」が出てくるのです。 主人公のアクション・シーンです。敵役に対しては「一歩目からフルパワーだった」 が使われることがなかったと思いますし、ある小説においては、 最後の一言が「一歩目からフルパワーだった」で締められたこともあったので、 きっと、その某作家にとっても、愛着のあるフレーズだったのでしょう。

「だった」と書きましたが、その某作家は 90 年に交通事故で亡くなっています。 32 歳の若さでした。もう「一歩目からフルパワーだった」が読めないと思うと、 寂しかったですね。

ということで、「一歩目からフルパワーだった」を使う機会を狙っている 高樹なのでありました。




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