2002年3月18日


ラーメン屋の行列に女性がひとり


昨日一昨日の土日は、いつものようにラーメンを何杯か食べました。 意識したわけではないのですが、何故か大勝軒系のお店を回る結果と なってしまいました。

ここでいう「大勝軒系」とは、東池袋の「大勝軒」で修行経験を持つ方のお店、 ということです。

まず土曜の昼は、池袋の「麺屋ごとう」でした。私にとってはお馴染みです。 定休日や営業時間の関係で、普通に生活していると、土曜日にしか行けない店ですが、 他にも同じような事情で土曜日にしか行けない店もあるので、 ここんところしばらくご無沙汰でした。いつものようにしっかりと旨かったですね。

土曜の夕方は、最近開店した大塚の「大勝軒」です。特に当てもなく 山手線に乗っていて、大塚駅に着いた瞬間に最近開店したことを思い出し、 行ってみたのでした。旨いか不味いかというと、間違いなく旨いのですが、 どうもスープに力が足りないように思います。池袋の七福神(ここも大勝軒系です) と同じ感じですね。まあ、開店間もないので、今後に期待です。

そして、日曜の夕方は王子の「滝野川大勝軒」でした。これまた当初の予定では 別の店に行くつもりだったのですが、そこが売りきれ閉店でして、 ハプニング的に訪れたのでした。これまでに何回も「滝野川大勝軒」で食べてますが、 この日は歴代のベストだったと思います。スープのコクが素晴らしく出てました。

ということで、「大勝軒系」三軒で食べた土日だったのでした。

さて、今日の本題は「滝野川大勝軒」での出来事です。

私が店の前に到着した時点で、店の中に 2 名、店の外に 4 名程の 待ち行列が出来ていました。もちろん、私はその後ろに並びます。 ほどなく、私の後ろに中年のご夫婦が並び、さらにその後ろに 30 歳前後と思われる小柄な女性が一人で並びました。

女性が一人でラーメン屋さんの行列に並ぶのはあまり見かけません。 極めて珍しいわけではありませんが、ありふれた光景でもありません。 ということで、なんとなく注目してしまう存在ではありました。 女性が一人で並ぶのですから、かなりのラーメン通であることが予想されます。

しばらくすると、その女性がトコトコと行列の前の方に歩いて来ました。 「すみません、すみません、ちょっとメニューを見せて下さい」 ということです。行列の前の方では、店の中のメニューを見ることが出来るので、 彼女はそれが見たかったのです。どうやらこの女性、この店は初めてのようです。

しばし店の中のメニューを眺めていた彼女は、満足したのか、また 「すみません、すみません」と言いつつ、元の場所に戻って行きました。 行くときも戻るときも、別に並んでいる人達をかきわけて進んだ訳でもないので、 「すみません」と言うほどのことはないんですけどね。

10 分後くらいでしょうか、私が店に入って座って注文をすますと、 ちょっとして彼女も座りました。私の隣の隣の席です。

その時点では、私は彼女には注目してはいませんでした。 彼女が店のおにいさんに話しかけるまでは。

彼女はこんなことを言ったのです。

「すみません、つけめんってラーメンですか?」

あっけにとられるおにいさん。何と答えて良いか迷ってました。 すると彼女はもう一度質問を繰り返します。

「つけめんってラーメンですか?」

つけめんがどのようなものか知らない人は珍しくはないでしょうが、 こういう質問の仕方をする人は初めて見ました。まして、 彼女が店に入る前に見ていたメニューには、 ラーメンとつけめんはしっかり分けて書いてあったのですから。

ラーメン通の間では、つけめんをラーメンの1ジャンルとして良いか、 などという議論がされることはあるようですが、彼女の質問の意図はそういうことでは ありません。「つけめん」が何だか分からなかったのでしょう。

ということで、彼女はラーメン通ではないことが明らかになりました。 ラーメン通でもないのに、女性一人でラーメン屋の行列に並んだのです。 行列マニアなのかもしれません。

で、店のおにいさんは、つけめんについて説明してました。動揺は隠せません。 「つけめんってどんなのですか?」と質問されたのなら、 そんなに動揺はしなかったのでしょうが、「つけめんってラーメンですか?」 ですから、虚をつかれたのでしょう。

結局、彼女が注文したのはラーメンと餃子でした。因みに私は、 ラーメンと餃子を同時に食べることはほとんどありません。餃子は大好きですが、 餃子のタレのラー油の影響で舌が麻痺して、 ラーメンの味がよく分からなくなるからです。 それで悔しい思いをしたことが、過去には何回かあります。 多少のラー油には負けない強いスープの場合には、餃子を頼むこともありますが、 それは例外的なことですね。

さて、私の前に私が注文したのりラーメンが出てきて、そのすぐ後には、 彼女の前にもラーメンが届けられました。ただ、自分の前にラーメンの丼が 置かれて数秒間、彼女は手を出しませんでした。おにいさんは 「ラーメン、おまちどうさまでした」などと言ってから丼を置いたのですが、 彼女にはそれが聞こえなかったのか、数秒間固まった後に、「すみません、 これラーメンですか?」と確認していました。

彼女の両脇の人は既に食べ始めてますし、 彼女の目の前に置かれたものは、どう見ても「ラーメン」です。 チャーシューが異様に多い、なんてこともありません。 麺の量は多めですが、ラーメン以外の何者でもありません。

その 2 - 3 分後、餃子も彼女の前に供されました。さすがに「これ、 餃子ですか?」とは確認しませんでしたが、もっとすごい一言がありました。

「あの、すみません、すみません。これ、宇都宮餃子ですか?」

またまた店のおにいさんが困ってます。

「いや、その、自家製の餃子ですけど・・・」

彼女はおにいさんが困っていることを知ってか知らずか、

「あ、そなんですか、ふーん」

と食べ始めました。そして、独り言のように、

「うん、でも美味しいわ、これ」

独特の世界を持った方のようです。




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