原付のスクーターに乗っている若い男女に多く見られる摩訶不思議な現象に、
おわん型ヘルメットの「後ろかぶり」があります。「後ろかぶり」
というのは私が今、勝手に名付けました。きちんとかぶらずに、
後ろにずらしてかぶっている状態、あるいはかぶっているとは言えない位まで、
後ろにずらしきっている状態を指します。
世の中、何事にもメリットとデメリット、良い点と悪い点があります。
個人的価値観や社会のルールの中で、そのメリットとデメリットを秤にかけて、
我々は自らの行動を選択しているのが通常の姿であろうと思います。
例えば、サラ金で多額の借金を抱えた人が銀行強盗をはたらくのは、
その行動の動機に理解出来る部分があります。支持は出来ませんが、
「そういう事情なのか」と理解は出来ます。犯罪を犯すことにまつわる様々な
デメリットはありますが、現金というメリットがあり、
そのメリットとデメリットを秤にかけた結果、彼(または彼女)
は銀行強盗を行うことを選んだのでしょう。
もちろん、それが正しい判断かどうか、理性的な判断かどうかは全くの別問題ですが、
少なくとも、犯人の心情を想像することは出来ます。
そういう意味において、おわん型ヘルメットの「後ろかぶり」については、
私は何一つ理解できる部分がないのです。デメリットは色々と思いつきますが、
「後ろかぶり」のメリットが全く分からないのです。
私はこういうパターンの言動が苦手なようです。「何もメリットがなく、
デメリットしかないことを何故するのだろう?」ということです。
以前にも、コンビニの駐車場でクルマをアイドリングさせていることの
無意味さを書いたことがありますが、それも百害あって一利なしのパターンです。
暴走族の暴走行為はまだ分かるのですよ。自己顕示欲だったり、示威行動だったり、
スリルだったり、彼らの勝手な言い分ではありますが、
彼らなりのメリットが想像できますから。
もちろん、私がここで言う、理解できるとか理解できないとかと、
その行為の社会的影響の大小や、罪の重さ軽さは別ですよ。
理解とは、単に行動の動機だけに限定した話です。
「後ろかぶり」をしている人は、何故そうしているのでしょうか?
もしかして、「かっこいいから」なのでしょうか?
ファッションというものは、しばしば理不尽さや不合理さを「かっこいい」
と主張したりもしますので、あのヘンテコな「後ろかぶり」が「かっこいい」としても、
それは驚くにはあたらないのかもしれませんが、それにしても、「後ろかぶり」
はかっこいいのでしょうか?
他にメリットが見当たりませんし、若い男女の間に多く見られることなので、
やはり「かっこいいから」という理由なんでしょうね、きっと。
男子高校生がズボンをずり下げてはいていて、彼らはそれをきっと
「かっこいい」と思っているのでしょうが、私は全然そうは思いません。
パンツ(ズボン)の上からスカートを履くような、
色気のない妙な格好が流行ってますが、私は好きにはなれません。
でも、それはそれで良いのです。ファッションですから。
極端な話、単なる自己満足だってかまわないのですよね、ファッションですから。
ヘルメットにステッカーを貼ったり、何やらペイントしていても、
それはファッションですから、どうぞご自由に、というところです。
しかし、「後ろかぶり」については、ファッションだからご自由に、
では済まされないのです。自分一人でコケて、頭を打って勝手に死ぬだけなら、
どうぞご自由に、です。
仮に、私と「後ろかぶり」の彼(または彼女)が 50:50 の過失の事故を
起したとしましょう。低速での接触事故にもかかわらず、
彼(または彼女)は運悪く頭を打って死んでしまったとしましょう。
「後ろかぶり」さえしていなければ、助かったと思われる命です。
私は彼(または彼女)の死にも 50% の責任があることになってしまいます。
きちんとヘルメットをかぶっていれば、
全治 2 週間の打撲だけだったのかもしれないのに。
事故が起きた時に、シートベルト、チャイルド・シート、ヘルメットなどの
安全器具を正しく使用していなかった場合、それに見合ったペナルティなり、
事故の相手に対する救済があれば良いのですが、現状ではそれはないに等しいです。
だから、「後ろかぶり」を「ご自由に」とは言えないのでありました。
それにしても、「かっこいいから」という仮説は正しいのでありましょうか?