例えば、田中一朗(♂)さん(頭にRは付けないように)と佐藤花子(♀)さんが
結婚するとしましょう。
多くの場合、この夫婦は田中姓を名乗り、田中一朗(♂)さんと田中花子(♀)
さんになります。逆に佐藤姓を名乗り、佐藤一朗(♂)さんと佐藤花子(♀)
さんになることもあります。
ここ数年、夫婦別姓の問題が色々なところで議論されております。
私自身の夫婦別姓問題に対する考え方は、もう 2 年以上も前ですが、
ここでちょっとだけ書いていますので、
それを繰り返すことはしません。
それはそれとして、実はこの前、夫婦別姓について考えていたら、
よく分からなくなってしまったのです。上の例で考えてみましょう。
佐藤花子(♀)さんが結婚後も田中姓ではなく佐藤姓でいたい、
と望むパターンは最も典型的でしょう。そして、田中一朗(♂)
さんもそれに同意したら夫婦別姓を選択出来る。・・・ということが出来るように、
法律を作る(あるいは改正する)動きがあるわけです。
と考えて疑問に思ったのは、自分で無意識のうちに付加した「田中一朗(♂)
さんもそれに同意したら」の部分です。
夫婦別姓には配偶者の同意は必要なのでしょうか?
本来の趣旨からすると必要ではなさそうです。むしろ、配偶者の同意が必要だとすると、
色々と不自由な事態が想像されますので、そういう制限は良くないと思われます。
つまり、婚姻にあたって、両性は自分の姓と配偶者の姓のどちらかを任意に選択出来る、
ということです。これを前提として、ちょっと考えてみましょう。
佐藤花子(♀)さんは佐藤でいたいので、婚姻にあたって「佐藤」を選択する。
ところが、田中一朗(♂)さんは佐藤になりたいから、やはり婚姻にあたって「佐藤」
を選択する。
こういうことが起こりうるわけです。これでは夫婦別姓ではありません。
選択の自由を認めた結果としての、夫婦同姓ということになります。
もっとも、佐藤花子(♀)さんにとっては、
夫婦で別の姓を名乗ることが重要なのではなく、
自分が結婚後も佐藤であることが重要なのかもしれませんので、
そういう場合は、田中一朗(♂)さんが佐藤一朗(♂)さんになっても、
特に問題はないかもしれません。
もちろん、佐藤花子(♀)さんがそう思っているわけではなく、
夫婦でそれぞれ結婚前の姓を使うべき、と思っているとしたら、
こういう事態は好ましくないわけです。
別の事態も考えられます。佐藤花子(♀)さんは「田中」を選択し、
田中一朗(♂)さんは「佐藤」を選択する、という姓のスワッピングが起こり得ます。
それで両者が幸せなら、別に他人が文句を言うような筋合いではありませんが、
本来の夫婦別姓の議論とは、全く別の話になってしまうような気がします。
などとアホなことを考えてしまうと、やはり結婚においての姓の選択においては、
両性の合意が必要なのかもしれません。
しかしながら、家柄のよろしい環境で育ったお坊っちゃんが、
両親の意向に逆らえずに、「絶対に俺の姓にしろ!」などと言うと困りますよね。
やはり個人の選択の自由は大切です。
・・・ということで議論はめでたくループするのでした。
夫婦別姓というか、婚姻後の姓の選択において、両性の合意を必要とするか、
個人の自由にするかは、なかなかに慎重に考えるべきものだと思うのです。