私が血圧を測ってもらうのは、通常は年に 1 回です。会社の健康診断の時です。
その他の場面で血圧を測ってもらうことはほとんどありません。
20 代の一時期、健康診断での私は高血圧でした。自分では決して高血圧だとは
思っていなかったのですが、測定してもらうと、下はそれほど高くないものの、
上が 150 とか 160 とか。
それ以前は高血圧のきざしなど何もなかったので、私としてはその測定結果に納得は
していませんでした。とはいえ、数字は正直です。実際に、
測定結果は高血圧だったのです。
それには理由があると思っていました。普段の私は高血圧ではないのですが、
血圧を測る時だけ高血圧になるのです。きっと。おそらく。ある年の健康診断で、
たまたま体調のせいか、高血圧と診断されてしまい、それ以降、
血圧を測る時になると、「また高かったらイヤだなぁ、落ち着け落ち着け」
等と思って、逆に緊張してしまうのです。
結果、やはり高い数字になってしまいます。自分で意識すればするほど、
アドレナリンが分泌されるのかどうかは分かりませんが、
緊張して脈拍は速くなり、血圧も上がるのでした。血圧測定の時は、
脈が速くなっていて心臓がバクバクいっているのが自覚できたほどですから。
「脈も速いし、血圧も高いですねぇ。深呼吸してみて下さい」などと言われて、
深呼吸の後で測り直したりもしましたが、結果はほとんど変わらずでした。
本番に弱い性格なのかもしれません。
そんなことが何年か続きました。健康診断の結果には、必ず「高血圧」
の文字がありました。でも、自分では「普段の俺は絶対に高血圧じゃない!」
と思っていたのです。
ある年、私は膝の手術のために、一週間ほど入院することになりました。
入院中は毎日、検温と血圧測定がありました。健康診断という場でなかったのが
幸いしたのか、その入院期間中、私の血圧は通常範囲から逸脱することは
一回もありませんでした。
それで自信がついたのでしょう。自信と言うと大げさなのですが、
自分が高血圧ではないことが確信できたのは大きな収穫でありました。
その時以降、健康診断においても、私の血圧は正常な値を示すようになったのです。
そして、それは現在に至るまで変わっていません。ここ 10 年以上、
一回も高血圧にはなっていません。めでたしめでたしです。
一時はどうなることかと思いましたよ。普段は正常なはずなのに、
血圧測定の時だけ血圧が高くなるのですから、数字の上では立派な高血圧です。
「俺は高血圧じゃない!」と主張したところで、それを証明出来ないのです。
20 代の私からすると、高血圧というとオヤジくさいイメージがあって、
自分が高血圧であることが、かなりかっこ悪く思っていたのです。それで、
俺は一生、高血圧のレッテルを貼られてしまうのか、と苦悩したものです。
ウソです。苦悩なんてしてません。苦笑ならしたかもしれませんけど。
ともあれ、私は高血圧の冤罪を晴らすことが出来たのでした。
そして、今年の健康診断です。久しぶりに緊張してしまいました。
だって、血圧を測ってくれたのが、20 歳そこそこ位の巨乳美女だったもので。
シャツの右腕をめくって、肘を台の上に乗せるようにして腕を差し出すと、
指が彼女の胸に触れそうになったのですから、平常心でいられるはずもありません。
彼女はやや前屈みになって作業していて、更に巨乳と私の指の距離が近づいています。
心臓が軽くバクバクしているような気がします。
20 代の頃の悪夢が甦ってしまいました。またしても高血圧の悪循環に
突入するのでしょうか・・・?
彼女の胸に触れそうな指を見て、「ここで『結んで開いて』をしたら、
もしかしたら指先が触れてしまうかも。いやいや、それをするのは献血の時だった。
血圧測定の時に『結んで開いて』をしたら、変質者だと思われるよな。自重自重」
などとしょうもないことも考えてしまいました。
結果、68 - 118 でした。正常です。
まあ、正常なのは良いことです。でも、自分の指が彼女の巨乳に
触れそうになっているにも関わらず、血圧の上では落ち着き払っている自分が、
どことなく情けないような気持ちになったのは何故でしょう・・・?